渋沢栄一 その4 明治新政府はあれもこれも

渋沢栄一シリーズの4回目

今までのはこれら
渋沢栄一 その1 クーデター計画
渋沢栄一 その2 パリ万博から諸外国
渋沢栄一 その3。日本に帰って見たもの。そして何をしたのか

呼び出し
新政府から呼び出された栄一に
一枚の紙が渡される

租税頭に任ずる

そのまま面会したのは大隈重信
いきなり超大物
ここは挨拶程度だったんだけど

やっぱりどうしても意味が分からない
新政府にただの一人も知り合いはいないし
何かの間違いとしか思えない
賊軍に声をかけるなんて
第一、租税って何?
畑違いも甚だしい
合本組織が軌道に乗り始めたというのに迷惑千万

再度出向いて、お断りします
すると、大隈重信が出てきて、今忙しいから
日を改めて、もう一回来て

ええい、ややこしい

もう一度行くと、今度は大隈重信の大熱弁が始まった

今日本は何をなすべきか
新政府内はどういう状況か
優秀な人材がどうしても必要だということ
そのためには特に外国に行って見聞きしてきた人がどうしても欲しい
慶喜公の恩に報いたいと言うが、その慶喜公を含めた日本全体のために働くのはより良い選択ではないのか
駿府で合本組織を成功させるより、桁の違う仕事がここでは出来る

日本はやおよろずの神の国、どうだ、その神の一人になってみないか

分かりました。

渋沢栄一の一番良いところです。
クーデターを思い止まった時もそうだけど
強い信念を持ちつつも
人の意見を素直に聞く柔軟性がある

しばらく門外漢の仕事に懸命に取り組み
ひとつだけ分かった事がある

大隈に面会を申し入れる

このままじゃダメだと思います。
大きな声で怒鳴りあっているだけ
核になる少数精鋭部隊を作り
全ての改正ごとはそこの調査を経てから行うべきです。

大隈も大隈でやはり大したもんです。
漠然と近い事は考えていたけど
そうか
って事で即座に改正局改正掛(かいせいかかり)というのを作ります。

省内の横断的組織
色んな部署から精鋭が集まり
租税司からは、渋沢栄一
掛長は渋沢栄一です。
明治2年11月

仕事
合点がいきました。
ずっと不思議だったんです。

以前、大久保利道の本を読んで
まあすごい人で、あれもこれもすごいスピードで
進めていく訳だけど
廃藩置県以外の明治三大改革って留守中に留守組により実現する
岩倉具視使節団で、岩倉具視、大久保利道、木戸孝允、伊藤博文がいない間

西郷隆盛はいるにしても
不思議だなあとは思っていた。

そうか
中堅の実際に仕事をバリバリ進めていくところに
核がいたのか

本を読むと、それはそれは八面六臂
ええっ、それも?
またこれも?

あらゆることが、渋沢栄一を経由していく。

三大改革でいうと、渋沢は大蔵省なので
税制改革
年貢での徴収をやめ、一定割合の貨幣で徴収する。

ただ、扱う範疇は
経済活動全般にあたる

貨幣や会社、産業
関わらないことを探す方が難しい

鉄道を引く
度量衡の基準
郵便
富岡製糸場
簿記の導入

そして、廃藩置県にも関わる

井上馨(かおる)が上司としてやって来た
井上馨とはとてもウマが合い
よく守り、力にもなってくれた。
以降、井上渋沢コンビでガンガン仕事を進めていく

やりたいこと
日本にも産業を根付かせたい
その一念でありとあらゆることに取り組めば取り組むほど
もどかしさがつのる

ああ、自分でやってしまいたい。

これ、痛いほど分かります。
経営コンサルタントをやっていた時、同じ経験をしました。
忙しい、という理由で新たにやるべき事がいつまでたっても動かない
結局私も、経営コンサルタントをやめて、クライアントの会社に就職しちゃった。

井上に相談

全くもって言っていることは良く分かるけど
あなたに今抜けられるとどうにもこうにも何も進まなくなる
もう少し目処がつくまで続けてもらえんだろうか

亀裂
そうこうしている内に
大蔵省と各省の関係が悪化していく。

各省も一からあらゆることを作りあげないといけない状況は変わらない
これにこれだけ、あれにもこれだけかかります。
ガンガン削っていくのが大蔵省の仕事

世界二位じゃダメなんでしょうか、みたいに

特に司法省との関係が決定的に悪化した。
大久保利道等の主要メンバーは岩倉具視使節団で海外
留守組は西郷隆盛が取り仕切っているはずが
島津久光がゴネにゴネて
鹿児島に行ったっきり

西郷さんは人望があるから
調整ごとは得意なんだけどね

ようやく東京に戻ってこれた時は、もうほぼ手遅れ

半分に削った筈の司法省の予算
満額に戻す閣議が通っちゃった

やっとれん

井上が激怒して、辞表を提出

ちょっとちょっと
引き留めたあなたが先に辞めてどうすんの

あなただけは残って
と言われても
説得力ないよね

ありとあらゆる近代化の基礎を作り上げた
明治2年12月から明治6年5月まででした。

索引はこちら
[人物]シリーズはこちら(少し下げてね)

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