フランスの公使、ロッシュ

幕末明治の外国人が見た日本、シリーズ

アメリカとイギリスを行きましたので、今度はフランス

フランス
フランスの初代公使は、ド・ベルクール
性格は穏和で、敵を作らないタイプ
その頃は、イギリスの公使もオールコックで
米英仏蘭の4か国は何をするにも共同歩調

でも少しずつ、アメリカとオランダが引いていく感じ
そうなると、イギリスとフランスの宿命のライバルが
主導権争いを演じる事になります。

そして、個人的感情がそこにプラスされていく訳です。

イギリスの公使がオールコックからパークスに
フランスの公使がド・ベルクールからロッシュに変わったのです。

ロッシュ
ロッシュはお金持ちの息子として産まれ、恐いもの無し
自由気ままな生活を送るが
お小遣いをせびる技は超一流。

学業をほおり出して遊んでいる息子を見て
アフリカのアルジェリアにも大農園を経営している関係で、アルジェリア行きを強く勧められる

しぶしぶ向かったアルジェリアで彼の生き方が大きく変わろうとは

ある娘に一目惚れするんです。
それからというもの、アラビア語を猛勉強
カトリック教も捨て、回教に帰依します。

ところがまだ数回しか会っていない娘、カデイジャが忽然と姿を消します。
聞くと、年老いた醜い族長の妾となり、南部に連れ去られたとのこと

その後、クローゼル将軍がフランスから赴任
その通訳に任ぜられたロッシュは仕事の中で、大首長アブデル・カデルと親密になる
アブデル・カデルはアルジェリアのほとんどを制するほどの大種族を率いていた。

そこにクーデター事件が勃発
クローゼル将軍はアブデル・カデルと協力し、制圧に動く。

なんとその首謀者は、カデイジャを連れ去った、族長だったのです。

ロッシュは、クローゼル将軍とアブデル・カデルを前にして
私にやらせてください。

ロッシュにとって、全てはこの日のための準備だったと言える
カデイジャ奪回大作戦。

待ってろよー

奇跡のような快進撃を重ね
敵は降伏

カデイジャは?
カデイジャという娘がいる筈

はい、確かにおりましたが
カデイジャなら
昨日殺されました。

お 遅かったか

その後、数々の交渉ごとをまとめあげ
外交官としての才能を大いに花開かせます。

その評判は、フランス本国に響き渡ります。

そして、大役が任ぜられます。

日本に行ってくれ

日本で
前任のド・ベルクールがとっていた仲良し路線
燃えたぎるような熱血漢、ロッシュにとっては物足りないものでした。

アブデル・カデルに惚れ込み
この男のためならと全力で取り組んだように
ロッシュには、徳川慶喜や小栗忠順(おぐりただまさ)や栗本鋤雲(くりもとじょうん)が
惚れ込むに値する男達だった。

違和感あります?
「惚れ込んだ男」ってところ?
まあまあ、そこは

一方のイギリスのパークス
これもまた、劣らぬ熱血漢。

うまくベクトルを合わせられれば、最強のコンビになったんでしょうが
どうにもうまが合わなかった。

パークスが薩長に肩入れするならば
こっちは幕府だ
ってところは多分にあったと思う。

カションというフランスの宣教師がいるんだけど
前任者とうまが合わず、函館に住んでいた
そこで、知り合って大いにうまがあったのが、栗本鋤雲
栗本鋤雲や、塩田三郎(後にカションとともにロッシュの通訳になります)を中心として
フランス語の学校を函館で開いていました。

このカションを呼び寄せ
通訳にするとともに
横浜にもフランス語の学校を開きます。

小栗忠順と組んで、横須賀に製鉄所兼造船所を作る計画
資金面で大きくバックアップします。

そして軍事面
フランスの近代的な軍事のノウハウを幕府に余すところなく教授していきます。

具体的に指導に当たったフランスの教官たちは、やはり幕府の面々に気持ちが入り込んだんでしょうね
戊辰戦争で、榎本武揚らとともに、函館まで行動を共にします。

どんどん肩入れが極端になっていくのですが
結果はご存知の通り

イギリスとフランスは大きく明暗を分ける事になります。

結果として勝ち馬に乗れなかったし
大政奉還の時点で、勝負あった、と判断すべきだったでしょう。

でも、それがロッシュという男なんでしょう。

大政奉還か、
じゃあやっぱり幕府はやめて
なんてなことが出来ますかって

勝ち馬に乗ることだけが人生ですかって

まあ国としてのフランスは、
おいおいロッシュ
状況みたら分かるだろう
今やるべきことはそれじゃない

解任

その解任届けが本人の手元に渡ったときには
もう、幕府はありませんでした。

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