[神社] 八幡神社が一番多い理由、その3

八幡神社はこうして出来た
八幡神社が一番多い理由、その1
八幡神社が一番多い理由、その2
の続きです。

八幡神社は、積極的に神仏習合をリードしていった
お告げをうまく活用した

と言うことでしたね。

律令制度の崩壊
天武天皇、持統天皇の頃に作り上げられた律令制度という仕組み
始めての「国家の統治制度」でした。

全ての土地を「国のもの」と宣言
国からは、幣帛(みてぐら)という、神の霊力の宿った特別の米の種を、春、各農民に渡す。
秋、収穫があれば、ありがとうございました、と神様が冬の間食べられるだけのお米をお返しする。

長年、各地域の神社で行われてきた儀式を、国家という枠組みで行う。

税金と言うことのなんたるかが、経験無くて分からない国民から
収穫した米の一部を徴収するにはこんな良い説明の仕方はない

最初はうまく行っていたんですけどね。

八幡宮がリードしつつ、神社が仏教化していくと
各農民の関心事が、幣帛(みてぐら)から仏教に変わってしまい
幣帛を取りに来ない農民が続出
幣帛を取りに来ない農民からは、収穫した米も徴収できません。

そもそも、聖武天皇が大仏作って、国家を大きく仏教へとシフトしたので
仕方なく、八幡神社たちは神仏習合へと向かっていった訳で
今更何言ってんの?なんですけどね。

失敗した。やり直し
ってことで、土地の私有を認めつつ税金を取るための仕組みに変えていく
納得してもらわないといけないので、薄氷を踏むような、ドキドキの展開です。

御霊会(ごりょうえ)
そんな折り、庶民の間に、あるムーブメントが発生します。
神様の野党勢力みたいなものです。

天皇家は、常に内部抗争を繰り返しながら、勝ち組が残っていっている訳です
日本人の特性で「判官びいき」即ち負け組の方にも可哀想にと、同情票が集まる。

恨んで死んでいったろうな
恐ろしや、恐ろしや
祟りが起きないように、その人たちを逆に神様として祀っちゃいます。
御霊会(ごりょうえ)と言います。

無実の罪で幽閉され、潔白を証明するため絶食して785年に死んだ早良親王(さわらしんのう)辺りから
強烈に意識されはじめます。

勝ち組の天皇家としてはこんな恐い事はありません。
せっかくねじ伏せた積もりが、加害者の極悪人のように言われる訳です。

一番恐いのは、この御霊会と神仏習合勢力が手を結ぶ事。
特に、八幡宮の、お告げという強い武器は、諸刃の剣
道鏡の時に危なかったように、権威が高すぎて
野党勢力に使われてしまうと、どうしようもありません。

石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)
その様な背景のもと
天皇家としては、今まで協力的だった八幡宮をもっと完璧なまでに味方につけたい

九州じゃ遠すぎる

京都においでやす。

都の鬼門(きもん)の方角、北東には、比叡山延暦寺
裏鬼門、南西の方角に860年、石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)が出来ます。

二所宗廟(にしょそうびょう)という言い方をされ、伊勢神宮と同格扱いされます。

何かというとすぐにお参り。
とても近いと言うことから、実質的には伊勢神宮よりは頼りにされることになります。

菅原道真(すがわらのみちざね)
そして、903年、菅原道真が亡くなります。
御霊会界のスーパーヒーロー誕生です。

非業の死を遂げた後
誰がどう考えてもこりゃ祟りでしょ、と言わんばかりの
明確な偶然の積み重ね
藤原時平の周辺の人達が次々と変死を遂げ、天皇が執務を行う清涼殿には雷が落ちる。

ああ良かった、石清水八幡宮を勧請しておいて。
宇佐八幡と太宰府は近いので、八幡と天神(菅原道真)が結託して、天皇に対峙するようなことになったら
九州との大戦争になるところでした。

その後は、天神様も、京都に大規模な北野天満宮を作り
八幡宮と天神様は徹底的に優遇して、取り込み作戦。

平将門の乱
939年、大事件勃発
平将門(たいらのまさかど)が関東一円を制定し
我こそは新しい天皇なり
と宣言しちゃった。
日本分裂の危機です。

しかも、新天皇である根拠が
八幡神と天神様からのお告げがあったから。

出ました。またまたこうなっちゃいました。

徹底優遇作戦を取っているので
八幡神と天神にはそんなつもりはないでしょうが。
利用はされちゃいます。

朝廷はあらん限りの勢力を注ぎ込み、鎮圧を図ります。
甲斐あって、かなり素早く平将門は殺されてしまいます。

これを契機に
少なくとも神社が天皇に歯向かうような事は、
全く素振りも見せなくなります。

その後も天皇と八幡宮の密月時代は続いていきます。

めでたしめでたし、になりそうですが
ご存じの通り、そもそも天皇中心の世の中がずっと続く訳ではありません。

新しい時代になると、八幡宮は、天皇と相まって存在感を薄めていくのでしょうか

いえいえ、
宇佐八幡宮、石清水八幡宮と飛躍を遂げた八幡様

ホップステップジャンプの第三段階に突入します。

続きは、シリーズの次回でね

索引はこちら
[神社]シリーズはこちら(少し下げてね)

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