[平将門]2。桔梗どのにございましょう。

[平将門]1 父の死。頼んだぞ。
の続きです。

桔梗
話せば何とかなるのではないかと訪ねたが、淡い期待は脆くも崩れ去った
ただ、まさか半殺しの目に会わされるまでは、予想していなかった。

何とか足を引きづり帰る途中
伏見掾(ふしみのじょう)の屋敷に泊めてもらえた

手厚く看病もしてもらえて、体は徐々に回復していくのだが
心の方が付いていかない。

思い出す度、悔しくて腹がたって、気がつくと泣いていた。

すると近くで泣き声がする
桔梗(ききょう)という娘

何を泣いておる

だって、あなた様が泣いておられるから

何も付き合って泣く必要はない

付き合っている訳ではありません。
私も悲しくなるのです。

それ以来、将門は泣くのをやめた。

黙然人(もくねんじん)
ようやく、弟たちの待つ家に戻れた。

どうしようか
もう泣きはしない

黙然人(もくねんじん)になろうと決めた。
馬鹿みたいになってしゃにむに働く

全てはおじさんたちに略奪されていたが
元々未開拓部分が大きかった。

田畑を開墾すると、確実に自分の農地が広がっていった。

当時、国から与えられた田を持つ百姓は年貢に苦しめられ
ひとたび飢饉とかがあると、どうにもたち行かなくなった

最後の手段として、土地を捨て、家を捨て、里を捨て
一家離散して、自らわが身を奴隷に落とした

力あるものなら寺だろうが官家だろうが誰だって構わず、奉公した。

将門のところにもやって来た。
まだ、とても人を雇えるような状況ではないが

分かった。
ならば、一緒に耕そう。
働くところに飢饉なし

時が流れ、黙然人の将門は35歳になった

弟たちの前でこう切り出した。

わしもそろそろ所帯を持とうかと思う。

ほうそれは。
意中の方でもおありか

無いではない。
当ててみよ

問われて即答だった

桔梗どのにございましょう。

な、なぜそれを。

分かりますとも

家庭
父から授かった土地の広さを考えれば、比べるべくもないが
なんとかやっていけた

この平和にも慣れてきて
あの時の煮えたぎる復讐の念も薄らいで来ていた。

悪くない。

桔梗と家庭が築けるならば
ささやかながらも、幸せな家庭に違いなかった。
もちろん桔梗に異存はなかろう

源護
源護(みなもとのまもる)という常陸大掾(ひたちのだいじょう)
今でいうと茨城県のナンバースリーくらいの実力者

長男が扶(たすく)次男が隆(たかし)
二人が賭けをした。
この賭けに勝ったらいかにする

そうじゃのう
伏見掾のところの娘、桔梗を娶るというのはどうじゃ

よし、それでいこう。

人の家の娘を勝手に賭けるなんて

さあ、えらいことになる予感

続きはシリーズの次回でね

[歴史]シリーズはこちら(少し下げてね)

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