[織田信長]1 まむし殿の娘、濃姫
[織田信長]2 二人だけの時間では
[織田信長]3 美濃はそなたに差し上げる
[織田信長]4 血戦桶狭間
[織田信長]5 天下をお取りになるまでは
[織田信長]6 上洛の大義名分
[織田信長]7 義昭を将軍に
[織田信長]8 姉川の戦い
[織田信長]9 武田信玄西上
[織田信長]10 長篠の戦い
[織田信長]11 石山本願寺、松永久秀との戦い
[織田信長]12 毛利攻めと石山本願寺
[織田信長]13 武田滅亡
の続きです
甲府から
武田攻めで信長は天正10(1582)年4月10日まで甲府に滞在した
ここまで来たのだ。富士を見物しておくかな
行きと同じ木曽路を戻るのではなく、東海道に出て富士山を見物しながら帰ることにした。
信長はまだ富士山を見たことがない
駿府の家康に伝えられた。
さあ大変
信長の機嫌を損ねては大変な事になる
準備周到、破格のおもてなし
この時の様子は過去にも家康の立場から書いたのでそちらに譲ります
家康6、武田崩れたり!富士山見たい
4月20日に安土城に戻るまでの10日間
家康は、生きた心地がしなかった
信長は大満足だった
弥助
信長が安土城に戻って、久々に大爆笑する出来事があった
その1年前、宣教師オルガンチノが信長を訪れた時、
黒人が随伴していた
26〜7歳、身長は2メートルを超える長身
一目見て信長は驚き、興味を持って、オルガンチノに譲って欲しいと頼んだ
黒人は「弥助」と呼ばれ、厚遇を受け、信長には大変な恩を感じていた。
弥助は、戦いにはついて行かなかった。
ゼウス様は殺しを禁じています。どうかご勘弁ください、との嘆願が受け入れられたのだ
久しぶりに合うお気に入りの弥助を呼ぶ
ところが、いつもなら何をおいても駆けつける弥助がなかなか姿を表さない
どうかしたのか
侍女がくすりと笑った
弥助は、上様にお仕置きをされるのではないかと恐れているのでしょう。
お仕置き? 弥助が何かしたのか?
八重の事で・・・
八重? あの色の黒い太った鼻のつぶれた女か
あの女がどうしたのだ
弥助が八重に思い焦がれているのでございます
聞いた瞬間、大爆笑
弥助が、あの、狸が下痢したような八重に惚れおったか
ーーーー
弥助が八重の履いた草履に、こっそり口づけしているのが目撃された
みんなの大笑いの種になり、城中に噂が広がった
八重は、いつも容姿で引け目を感じていたので
黒人にまでバカにされたと思い、カンカンに怒った
ただ、国が違えば美人の基準も違うもので
弥助の国では八重こそが美人だった
お八重さん、あなたは美しい。私はあなたが大好きです。
八重は、生まれて初めて美しいと言われた
どうも真剣に言っていることが分かった
私をみんなの笑いものにしないでおくれ。これから私に近づかないでおくれ
と、言いつつ、頭を包んでいた手ぬぐいを投げた
それ、あげる。人に見せないで。
ーーーー
侍女に引っ張られるようにして、弥助が信長の前に連れてこられた。
もしかしたら打首にでもされるかと、ひどく怯えている。
弥助、惚れたそうだな
はい
惚れたら口説け
は?
口説き落としたら、一緒にしてやろう
そう言うと、笑いながら御殿へ引き上げていった。