[縄文] 縄文人は生きている
[縄文]2 ムラづくり
[縄文]3 森をひらきイエをつくる
の続きです
火と炉

11.石がこい炉用の石を集める
イエのなかには、中央からやや奥よりの床に、火を燃やす炉をつくる。
炉には、床をただほりくぼめてつくった地床炉(じしょうろ)、ほりくぼめた周囲を石でかこった石がこい炉、土器の底を打ち欠いて床に埋めた埋甕炉(うめがめろ)などいろいろな種類がある。

「これぐらいの石でいいかな」
石がこい炉用につかう石は、近くの河原から集められた。
このようなイエのなかにつくられた炉は、
種火の保存、食料の調理、冬の暖房、照明などさまざまな役割をもっていた。
また、縄文人にとって火は神聖なものであり、
炉のまわりで火にたいする祭りごとがおこなわれたこともあったであろう。
ムラができる
12 完成のよろこび

縄文人は、それぞれの役割をもちながらも、
つねにムラの仕事はみんなが協力しておこなった。
とくにムラをつくるというような大きな仕事には、
ムラびと全員が共同してその作業にあたったのはまちがいない。
それだけにムラの完成のよろこびは大きい。
「やった! 新しいイエができた」
こうして、人びとは力を合せて、一軒一軒とイエをつくり、
やがてムラ人みんなが安心して住めるムラができあがった。
ムラは中央の広場をとりかこむように数軒のイエがたちならび、
さらに共同の作業をする場所や墓、祭りごとをおこなう神聖な場所などがきちっと定められていた。
とくにムラびとのまとまりを保つうえで大きな役割をはたしていたのが
中央の広場である。
広場はムラびとにとって、共同の作業や集会、
神聖な行事をおこなう大切な場所であり、
広場を中心としてムラの生活が営まれていた。
苦労してムラをつくりあげた人びとは、
全員が広場に集まってムラの完成をよろこびあった。
