[仏像の見分け方]不動明王。かっこいいー

仏像の見分け方シリーズです。

明王シリーズに入って来ましたけど、
明王といえば不動明王。
代名詞みたいなもんですね。

不動明王
現実的には、不動明王が見分けられないのはあまりないのかも知れません。

不動明王は、超人気者なので
大体、不動明王が祀ってあるところは〇〇不動
と、宣言しています。

いわゆる、お不動さん

不動産と不動さんだと不動さんの方が先輩です。

ちょっと前も高幡不動に行ってきました。

あじさいが綺麗かったですよ

単独行動が出来るほど人気があるのは不動明王だけで
他は皆さんグループ活動されています。
その時も、センターは不動明王。

前川清と、クールファイブの関係ですね
ワワワワー。

ひとりでいると不動明王。

大きく離されて二番人気が愛染明王ってところでしょうか

でも、そんなこと言ったら仏像の見分け方シリーズの意味がないので
不動明王の特徴をお話ししていきましょう。

結構統一されていて、ちゃんと経典で16個の特徴が書かれています。

体の特徴
明王にしては珍しく、顔が一つ、手が二本です。

身の回りを見渡して、
顔が一つ、手が二本で、
怒っている人がいたら
それは不動明王で間違いありません。

(ちがうわっ)

若干の例外はありますが、牙が生えています。

体は幼児体形でぽっちゃりさん。

肌は青黒い
筈なんだけど
実際には、赤不動、黄不動も存在する。

持物
右手に剣を持ってます。

二種類の剣のいずれか
九徹剣(きゅうてつけん)か倶利伽羅剣(くりからけん)
それぞれのお不動さんで好きな方を持っています。

九徹剣
九徹剣では、こんな逸話が残っています。

成田山で修行していた祐天上人
全く経典が覚えられなかったが
不動明王が現れた。

我は成田の不動なり
今からこの長短いずれかの剣をのみ
悪い血を出して、生まれ変わりなさい。

それ
死にますね。
どっちでも死ぬんだったら
長い方でお願いします。

ちょっと祐天さん
ほんま?
短い方が良くない?

明王は長い方の剣を喉に刺した
上人は気絶したが、目覚めたときは、経典が全て頭に入っていた。

倶利伽羅剣
倶利伽羅剣はとても見た目がかっこいいので
不動明王と離れて、倶利伽羅剣だけでも祀られることがあるくらい。

剣のまわりに竜が巻き付いてます。
この竜すごいですよね。
ちょっと興奮して、体をギュッとしちゃったら、血出ます。

分かった気がする
人気の理由。
こりゃ、ゲームになりやすいね。
火焔(かえん)背負って
この剣をふりかざし
倶・利・伽・羅・ケーーン
うん、若者にも人気出るわ

左手には、羂索(けんさく)というひも
煩悩を縛るためですが
先に重りがついていて
武器としても使えます。
お得ですね。

やっぱり一番の特徴は
ど派手な火焔

かっこいいー

泣いているお不動さん
「宝物集」や「発心集」には、泣いているお不動さんが
登場します。
重病に苦しむ信者のために
泣いて身代わりを懇願。
ええとこあるやん。
ずっと怒っているわけやないのね。

[百人一首]60 大江山~ 和泉式部の娘。ちょっと待ったぁそこのおっさん

大江山 いく野の道の 遠ければ
まだふみも見ず 天の橋立

大江山を行く生野の道は遠いから
まだ踏みもしていない〈文も見ていない〉天の橋立よ

小式部内侍
超豪華シリーズ、今日もすごいですよ。

小式部内侍(こしきぶのないし)は、そう
和泉式部の娘。
紫式部が親子(大弐三位)共々、中宮彰子に仕えたように
和泉式部も、親子共々、中宮彰子に仕える。
親子共にそれぞれ近い年齢だったと思われます。

さあ、小式部内侍も親譲りの美貌で大人気。
もちろん、親譲りの歌の才能も

でも、いつの時代もやっかむ人がいるものです。

小式部内侍が作る歌がいつもすばらしいもので
本当は、お母さんに代作してもらっているんじゃないの?

この頃は、和泉式部は数多い男性遍歴に終止符を打ち
地味な新しいお父さんの元へ。
一緒に旦那さんの勤務地、丹後に行ってたんですけどね。

鑑賞
さあ、この歌
そんな背景をふまえた、あるとき。

都で歌会が行われることになった。
小式部内侍も招待された。

藤原定頼(さだより)がやって来た。

今度、歌会に出るってね
歌の準備は出来たのかな
もうお母さんには手紙書いた?
お母さんも考える時間がいるからね

カチーン

ちょっと待ったぁ
そこのおっさん

と、即座に返したのがこの歌です。

大江山、生野、天の橋立はお母さんのいる丹後です。

大江山や生野の道は遠いからまだ行ったこともないわ

ここで、行くと生野をかけている

手紙?そんなもん見とるかいな

行っていない から 踏んでいないに繋げ
文(ふみ)を見ていないと。

見事!

電話もメールもないので
この歌は、100%小式部内侍が作った歌

で、相手のからかいを、見事にうちまかしつつ
このクオリティ

それ以来、代作疑惑は晴れたばかりか
この話でもちきり

どこぞの作曲家とはえらい違い

藤原定頼
藤原定頼ってそんな嫌な奴?

いえいえ、素晴らしい人です。
百人一首にも選ばれています。

朝ぼらけ 宇治(うぢ)の川霧(かはぎり) たえだえに
 あらはれわたる 瀬々(せぜ)の網代木(あじろぎ)

ただねえ。
あんたがそれ言っちゃいかんだろうと。

藤原公任(きんとう)の長男。
あんただって超大物の子供

実は小式部内侍のことが好きだった。

良くありますね
好きだが故に、ちょっかい出しちゃう。

カミさんが良く言ってました。

私ねえ
小学校の時モテモテだったのよ
授業受けてると、後ろから髪の毛引っ張られたり
向こうから消しゴムが飛んできたり。

もう、男子ったらぁ

あっそう。
そうかもしれませんね。

私には、
消しゴム投げつけたくなる気持ち
よぅぅく分かりますけど。

[徳川名参謀]15 慶喜→島津久光

徳川名参謀シリーズ。いよいよ最後の15代になります。

あれっ、名参謀じゃないよね
むしろ敵。
痛いとこ突きますね。

最後の慶喜の時代に一番影響を与えた人、くらいに、
フワッと捉えていただけますでしょうか。

そうすると

ほら、間違いなく、島津久光。

島津久光
島津久光って、薩摩藩主ってついつい思っちゃうけど
よくよく考えると、藩主じゃない。

藩主の後継争い、いわゆる「お由羅騒動」に負けた方
負けたあとはおとなしくしている筈だったのに、あら不思議。

勝った方の斉彬(なりあきら)が、数年後、死んじゃった
遺言で、久光の子、忠義が次の藩主になった
忠義はまだ幼かったので、後見役に久光、という次第。
忠義も偉かった。
後見役というだけでは、実の父が自分の部下
それちょっときまづいし、ということで
上通り、という役職を新設。
これで藩主と同等ね

上洛
元々、野心家で出たがり
そんな風にしていただけるなんて、ありがとう。

そして、部下からも。
大久保利通がおだてながら、色んな知識を身に付けさせて
その気にさせていく。

ところで、西郷隆盛の方は、久光とはどうにもそりが合わなかった。

元々、先代の斉彬は超切れ者で
やりたいことがあった。
率兵上洛。
兵を引き連れて京都へ行くということはどういうことか。
武力をちらつかせて、主張を通そうという、大それた行為。

薩摩藩は、石高こそ大きいが、外様です。
異例中の異例というか、前代未聞
死んじゃったから実現できなかったが
久光も密かにその計画を聞いていた。

死に際に、久光を呼び
この計画はあと引き継いでくれ・・・??
ということにしとこう。

久光は色んな条件や環境が整ってきて
いよいよ、その時がやって来た
ここは、遺言があったということにすれば、何かとやりやすい。

寺田屋事件
そんなすごいことをやるとなると
藩内が盛り上がっちゃいます。
攘夷派の、薩摩藩のメンバーが過激に動き出した。
朝廷のなまっちょろい面々を殺そうと計画。
これには、元々攘夷派の朝廷も、おお恐っ

久光、せっかく兵を連れてきたんだから、それで何とかして。
はいよ

説得するも言う事聞かず、決裂。
仕方なく、実力行使。
京都寺田屋で鎮圧

この事で、朝廷から絶大なる信頼を得ることになる。
単純な攘夷派ではないという意味を込めて
公武合体派という表現を使うようになっていきます。

例の和宮ですね
お兄様ぁ

もう止まらない。
よし、このままの勢いで、江戸まで行っちゃえ。

江戸でねじ伏せたのが
慶喜のかつぎだし。
家茂の後見人として、一橋派の大将、慶喜を据える。

自分もそうだから
後見人良いよ
好きなように出来るよ
後継者争いで負けたのを帳消しに出来るよ。

ここまでならば、15代慶喜の産みの親みたいなもんで
名参謀と言えなくもないですね。

さあ、その帰り道
あんなことが起きるとはねぇ

この後、歴史がガンガン動きます。
続きは次回。

劇作は最高のしょうもない文学

江戸の娯楽をいくつか書いてきましたが
今回は、江戸の文学

とは言いましても、堅苦しいのではありませんで
しょうもないやつです。

杉浦日向子さんの、「江戸へようこそ」からです。

戯作
江戸の文学に大きく戯作(げさく)と言われるジャンルがあります。

洒落本、滑稽本、読本(よみほん)、人情本、草双紙(くさぞうし)
草双紙は絵の入った本で、赤本、黒本、青本、黄表紙に別れる
内容と対象年齢で色が分かれるんだけど
赤は桃太郎の類いの子供向け、
黒は男の子向けの勇ましいやつ。武勇伝とか仇討ちとか
青は芝居噺が中心のいわゆるおんな子供向け。

黄表紙は、嘘。
実はそんなものは江戸時代にはない。
青本の発展形で、高級って訳じゃないけどちょっと大人向け
子供が読んでたらおませさん。

青本は日に当たると黄色に変色しちゃう。
じゃあ、最初から黄色に塗っちゃえ。

後の時代の人が黄表紙と名前をつけた。
江戸時代には、黄表紙も青本って呼ばれていた。

内容
ちゃんとした正道を行くものに対し、ちゃんとしてないやつ全般が戯作。

ブログでいうと、でーこんのブログ。

時期的に言うと、一番戯作的な戯作が華開いたのは、田沼意次の時代。
その後の松平定信の寛政の改革で弾圧を受けたので、
風刺の文学だと思われがちだけど
全くそんなことはない。

もっと内容がない。
教訓も主張もない。
パロディというのともちょっと感覚が違っていて
当時の流行り言葉がわんさか無理矢理押し込まれている

金々先生栄花夢
「江戸へようこそ」の中で
恋川春町の、金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)が全編紹介されている。
黄表紙、すなわち絵物語なので絵がそのままで
字のところは、読みやすいように杉浦さんが書き直している。

ストーリーは、片田舎の青年が江戸へ出ようと目黒不動に来て
名物の栗餅を頼み、できるのを待つ間に居眠り
その夢の中で、金持ちの養子になり、吉原とかで遊びたい放題
あまりの散財に勘当されたところで目が覚めると餅がつきあがっていた。
やっぱり田舎に帰ろう。
それだけ。

これを教訓と感じ、真面目に働こうという人が十人に一人くらいはいるかもしれないけど
まず、そういう目的では読まない。
黄表紙は、物語を楽しむ文芸ではない。

ありがた山のとんびがらす
うっちゃっておけ煤掃に出よう
等々、当時の芝居とかの流行り言葉が散りばめられているので
口に出しながら当時の口調で読み、本人はご満悦だったんだろうなあ。

今の我々が読むと、
はい?これがまたなんで空前の大ヒット?


こういうのを「茶」というらしい。
おそらく茶化すの茶

明るい無意味、吹っ切れた無目的
腹の足しにもならぬ笑い。

アバウト党の党首である私としては
とてつもなく魅力を感じるのです。

社会の多くがそういった方向を向いている。
子供たちはほぼ例外なく義務教育でもない手習いに通い
当時世界的にも例を見ない85%の識字率。
おそらく、大半は立派な人間になろうと思っているわけではなく
こんなとりとめもない本が読めるようになりたい。

平和って最高!

おそらく弾圧をした松平定信は
どう読んでも風刺的要素がないこれらの文学に
内容として問題ありとした訳ではないだろう。

松平定信のくそ真面目な性格からして、逆
こんなあまりに内容のない文学を読んでいる暇があったら
もっと真面目に働けと

でも、庶民は「茶」の精神で
茶んちゃらおかしいやいっ