大阪弁、その不可思議なるもの(必死のパッチ)

大阪弁にはコミカルな言葉があります。
そんな、いくつかを集めてみました。
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ごうわいた
自分の母が使う大阪弁で、とても好きな言葉がありました。
「ごうわいた」と「へらへえともない」です。
よくどっかから帰ってきて
「あんな。(これこれこういうこと)があってな。ごうわいて、ごうわいて」
漢字で書くと「業沸いた」
恐らく「はらわたが煮えくりかえる」と同じ感じなんでしょう。
すごく腹がたった、という意味です。
すごく腹がたってる感じがよく伝わるけれど、言葉自体が持っているコミカルさから、どっか笑えてしまうとてもいい言葉だと思っています。
関西の中でもあまり使われていない言葉かも知れません。
少なくとも、好きな言葉ではありながら自分で使うことはありませんでした。

へらへえともない
これは大好きでした。
これを聞いたとたんに吹き出してしまいます。
これを聞きたいがために、ずいぶんいちびった気がします。
(いちびりは「悪ふざけ」。またあとで説明します)
シチュエーションとしては、
お茶碗にご飯を盛るように言われて、いちびって、お茶碗の上にてんこ盛りに盛る
それを見て
「あんた何これ、へらへえともないに盛ってからに」
限度を越えて、目一杯、むちゃくちゃに、みたいな感じでしょうか。
その度に、笑いながら
「お母さん、へらへえともないって何?」
「へらへえともないはへらへえともないやないの。
もう、しょうもないことゆうとらんと、はよ食べ」
食事前に交わされる、我が家では定番の応酬でした。
これを使うのは、かなり限定的な地域かも知れません。
インターネットでは、兵庫県の明石近辺となっていました。
母親以外でこの言葉を聞いたことはありませんでした。
自分でも使ったことはありません。

いちびり
これも、今となっては死語なのでしょうか。
少なくとも私が子供の頃は普通に交わされていました。
意味は「悪ふざけ」に近いかな。
小学校低学年位の子供に対して使われる言葉の気がします。
めったにない、法事のような親戚一同が集まる機会。
小学年低学年の男の子は大張りきりです。
目一杯いちびって色んな事をやって、親戚のだれかが
「ほんまに、いちびりやねえ。おおきなったら、吉本入ればええね」
と言ってくれれば最上級の誉め言葉です。
天にも上る気持ちになります。
いちびりでは、笑いの質は問われません。
ただ変な顔をするとか、どっかに上るとか。
言葉で笑わせるんじゃなくて、ピエロのように動く方がイメージにあいます。

必死のパッチ
これは今の人も使っているはず。
おそらく、若い女の子でも使っているはず。
パッチというのは、ももひきのこと。
ズボンの下にはく防寒用の肌着です。
意味は尋常ではなく必死に、という意味です。
必死さと関係あるとは思えない「パッチ」が引き合いに出されていることが面白くて、関西人はこの言葉が大好きです。
さらに、使う機会がやたらに多い。
それほどではなくても「必死で」やっていることをアピールしたいのにピッタリです。
大阪弁では「むっちゃ」「むちゃむちゃ」を超えて「必死のパッチ」は最上級なので必然的にこの言葉に集中していきます。
以前、大阪に本社がある会社の東京支店に在籍していたことがありました。
女性の美人社長だったのですが、何周年かの記念パーティが東京で行われたとき、
「私も今まで、必死のパッチで頑張ってきましたが・・」
これには笑えました。
懇親会で
「社長。東京では、必死のパッチは通じませんで」
「ほんまか。そんなんゆうたって、必死のパッチやがな」
正しいっ!

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