[迷信] 人気のない山奥に雪男が生息している

「科学で読み解く迷信・言い伝え」からのシリーズ

雪男
世界各地の雪山には雪男伝説が残されている。

もっとも有名なのは、1967年10月20日にアメリカのカリフォルニア州北部ブラフ・クリークという場所で撮影されたとされる16ミリ動画「パターソン・ギムリン・フィルム」にとらえられたビッグフットだろう。

カラーで捉えられたビッグフットは、全身が赤茶色あるいは黒色の毛で覆われている、身長2~3メートルの巨大な生物とみられる。全部で954フレーム、1分足らずの時間の中で、
ビッグフットはしっかりとした足取りで2足歩行し、深い藪の中に消えていった。
のちの調査の結果、捏造の証言が出てきたため、このフィルムは撮影者であるロジャー・パターソンとボブ・ギムリン2人によるイタズラであったという結論に落ち着いている。

しかし、それでも「このフィルムは本物だ」「これはニセモノだったとしても、巨大生物の存在までが否定されたわけではない」と考える人は一定数いる。

ビッグフットの他にも、イエティ、雪男など、呼び名はさまざまだが、人が立ち入ることがない山深い雪原に残された大きな足跡、木に絡まった体毛、目撃証言などから、その存在はミステリー愛好家たちの興味を惹き続けている。

そんな中で、巨大生物の存在を科学的に検証した人物がいる。
2012年、オックスフォード大学のブライアン・サイクス博士によって
イエティの体毛とされる標本の遺伝子解析が行われた

ホッキョクグマ
イエティの体毛とされるいくつかの標本から抽出されたDNAは、
2004年にノルウェーの北極圏で発見された12万年前のホッキョクグマの骨の遺伝子と
特徴が一致した。
比較に用いられた標本はインドやブータンで発見されており、
それぞれの地で少なくとも12万年前のホッキョクグマの子孫が生きていることを示唆している。

ホッキョクグマはそのほとんどが北極圏沿岸に生息する世界最大の陸生肉食獣。
流氷の海にもぐってアザラシやペンギンなどを捕食する

ところが、イエティの体毛としての標本が採取されたのはインドやブータンなどの高地
当然海はない
となると、氷河期に他のクマから隔離され
独自の進歩を遂げつつ、子孫を今に繋げているということになる

「雪男」という人間に似た生物の謎というより
別の観点の生物学的進化の謎に一気に取り変わった感がある
極めて興味深い研究結果である

[科学]シリーズはこちら(少し下げてね)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です