[ことば日本史] 陣笠とすっぱぬく

ことば日本史、戦国時代から

戦国時代には、戦場から生まれたことばもありました

陣笠
戦場で、下級武士は兜をかぶることはできない。
雑兵(ぞうひょう)は、目印になるよう主家の紋を入れた大量生産品の笠を貸し出された。
これが陣笠。

江戸時代には、下卒の訓練用に用いられるようになり、
やがて陣笠をかぶっている下級武士自身が、この名で呼ばれるようにもなった。

現代では、新人の国会議員をさして「陣笠議員」と呼んだりします

すっぱぬく
戦国大名に召し抱えられた、野武士や強盗出身の忍者たちが、すっぱ「透波(素破)」、または、らっぱ「乱波」とも呼ばれた。

武田信玄は信州のすっぱを七十人も使ったといい、
北条氏直(うじなお)は二百人のらっぱ「風魔一党」に夜討ちをかけさせたという。

高坂弾正は、美濃・近江のすっぱ二千人のなかから忍の名人「変化ノ六平」と、
早道の一番「竜馬の小六」を選び出して召し抱え、
豊臣秀吉は近江のすっぱで早道忍(はやみちのしのび)の名人「走りノ一平」を扶持した。

こうしたすっぱたちが敵の秘密を探り出すことの連想から、
人の秘密を暴露することを「すっぱぬく」と表現するようになった。

ふいに刃物を抜くことも「すっぱ抜く」といい、
こちらの言葉が先にできてから、忍びのすっぱに連想が働いて、
秘密暴露の意味でもすっぱぬくというようになったものとみられる。

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