こより

風呂敷から連想して、
「今は全く使わなくなったけど、思い出したが最後、気になって仕方がないもの」関連です。

こより
今は亡き母さんが教えてくれたこよりの作り方。

こよりの作り方教えたるわ
こよりも作れんようなら大人になれんからな。

まずな、手をなめて湿らすねん。
ここ、ポイントやからよう覚えとくんやで

紙をな
すうっと破るんやで
これぐらいの幅で、上から下まで均等でないとあかんのやで
これが出来たら一人前や。

それで一人前やな
大人とはちゃうんやな

そらそうやがな
こっからが本番や

ハサミ使こうたらあかんのん?

そんなハサミみたいな西洋のもん使こうてこの幅になるかいな

あんたがいらんこと言うから指が乾いてもうたがな
よう見ときや

・・

うわあ、すごい
あっちゅう間やなあ
やりたいやりたい、教えて

こっからこれぐらいの斜めで
きゅっきゅっといくんやで

ふんふん
出来たあ

でも、出来上がったものは
母さんの作ったものとは
大きく違っていた。

母さんのは、片方を持つと真っ直ぐにピンと立った。
私のは、ぼわっと太めで曲がってる。

ほら、引っ張ってみ

えっ、切れへん

自分のを引っ張ってみるとすぐに切れちゃう。

すごいわ
お母さん
これが大人やな

使い道
こよりって何に使うんでしょう
まあ、一番には紐なんでしょうね

あとは掃除
今の綿棒的使い方
赤ちゃんの鼻の穴とかも掃除できる

最後のところを旗みたいに残しておけば、いろはを書いて
識別に使える
付箋紙みたいな感じかな

あとはやっぱり
くしゃみを出したい時に鼻にツッコむ

それから、ストレス解消かな
母さんは結構何度かこよりを作ってた気がする。

なんでこより作ってるん?

こうやってな
いくつかこよりを作って置いとかんと
さあの時の用意にな

さあの時て、どんな時よ

さあの時は、さあの時やがな

その、さあの時が訪れた記憶はありません。

おそらくストレス解消というか気持ちを落ち着けるために
こよりを作っていた気がする。

使わない
こよりは作らなく、使わなくなりましたね。
チリ紙が近くに無いからかなぁ
久々にティシュペーパーで作ってみましたが
出来るには出来ましたが子供の時の習いたてのぶっとい奴。

ああ、まだまだ大人にはなれないのね。

紐はありますし、付箋紙もありますし。
こよりを必要とする場面があまりね。

でも、風呂敷同様、そういう考え方が大量消費型社会を作っているんでしょうか。

大人
私の中での、「これが出来たら大人、三大要素」は
1.こよりが作れること
2.玉子をまぜて、泡がたつこと
3.タオルを絞ったら、そのあと濡れてないこと

後の二つをちょこっと追記しておきましょう。
玉子をまぜて、泡がたつのは母さんです。

箸で玉子をカカカカカッとすごい勢いでまぜる。
そうすると、細かい泡が全面にぼわあっと。
あんなすごいことが大人になったら出来るんだ。
早く大人になりたい

でも不思議です。
大人になった今
どんなに必死でカカカカカッとやっても
あんなふうにはなりません。
表面に数個の泡がたつだけ。

あれは、うちの母さんにだけ出来る特技だったんでしょうか
それとも、もう少し大人になれば出来るのか。

ところで、玉子はああすることで味が美味しくなるもんなんでしょうかね。
何のための特技なんだか。

タオル絞り。
これは父さんです。
タオルをギュッと絞る。
そうすると、そのあと
私が全身全霊を込めて頑張っても
一滴も滴が落ちません。

これはもう、濡れていないと言えるんじゃないか。
大人はみんな鉄腕アトムなのか。

こっちはどうなんでしょうかね。
大人になってから
父さんとタオル絞り対決をしたことがありません。

子供心には大いなる憧れでしたね。

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