待っていたのは社長。そして

前回、電話がかかってきたというところまで話しましたね

待っていたのは
指定の日に指定の場所に。
待っていたのは

社長だった

システム部長はどうされたんでしょう。

それがな
失踪した。

辞めたんだろうとは思ったけど
失踪したとは思わなかった。

突然来なくなって
家に行ってみたら
家にもいなかった。
家族を残して。
家族も訳が分からない。

お願いがあってね。

また来て欲しいと思っているんだ。
この前とは違った形だけど。

実は、社長にも簡単ではあるけど
ノンプログラミングのデモを見てもらったことがある。

前、見せてもらった、ノンプログラミングっていうのかな
面白かったね

やらせていただけるんでしょうか。

もちろん、そのつもりだ。

ありがとうございます。

で、違った形という意味なんだけど
今度は、社員として来てほしいんだ。
もう少し言うと
システム部長として来てほしい。

システム部長ですか。

危ない
どう考えても危険極まりないですね。
支払いが滞って、引き上げざるを得なくなった会社。
さらに、システム部長が失踪している。

末期的状況。
私は会社を潰している人間
そういったことには敏感。
まあ、どんなひとでも分かるか、この状況。

待ち合わせ場所に行くまでに
色々予想した。
失踪とは思わなかったけど
システム部長は辞めたんだろう。
私に直接声をかけるとなると
派遣ではない。
どうする。
聞きたいのは、ノンプログラミングをやらせてもらえるのか
その一点。

返事
お世話になるとすれば
お給料はどれくらいになりますでしょう。

そうだね
どれくらい欲しいかな

かなりの金額をふっかけてみた。
なにせ危険料を上乗せする必要がある
いずれにしても長くないから
会社がつぶれたら、そのあとまた就職活動をして
どこかの派遣会社にお世話にならないといけない

分かった。
その金額なら大丈夫だ。

お世話になります。
よろしくお願いします。

やっちゃった
あああ
やっちゃいました。

バカですね。
とてつもなくバカ。
ここで、はいって言うやつはいないでしょう。
なんでつぶれるのが分かっている会社に入るのか。

こういうことをカミさんには相談も無しでするから、
むちゃくちゃ怒られて
いまだに頭が上がらない。

でも、会社やるて言ったときも、会社潰したときも、この時も、
不思議と離婚しましょうとはならないんですけどね。
今、家事手伝って、命令には一切逆らわず、罪滅ぼししています。

それだけノンプログラミングに対する想いが強かったということ。
あんなにお客さんに喜ばれて。
業界をガラッと変えられるものなのに
毎週土日ひたすら組んでいるのに
派遣でやっている以上、
日の目を見る可能性は、かなり低い。

入ってみて
さあ、ノンプログラミングやるぞ

に、ならなかった。

公益法人向けの会計パッケージと
国公立大学向けの会計パッケージを持っていたんだけど

特に、国公立大学向けの会計パッケージがひどかった。
それでも、いくつか地方の大学に導入が決まっていて
打ち合わせで出張が続いた。
九州で4大学、広島1大学。
打ち合わせ、カスタマイズのプログラミング、元々の機能の直し。
ずっとそればかりで追われた。

そして、とうとう
ひたすら目の前の仕事をこなすことに終われ
時が過ぎていった。

一年は経っていないと思う。
とうとう、その時、が訪れた。

給料遅配。

給料日なのに給料が出ない。

ノンプログラミングなんて、結局何一つ出来なかった。

どうする
どうするもこうするも無いんだけど

仲の良い4人で集まった。
山ちゃんという営業さん。もうひとり営業さん。
システムの新人一人。

何と、ここからドラマが始まります。

何をしたのか
続きは次回ね。

IT業界、支払が遅れて

ノンプログラミングの堅苦しい話が続いたので
一旦、IT業界での奮戦記に戻ります。
もちろん、ノンプログラミングは絡んでいますので
ノンプログラミングのなんたるや、
みたいな話と行ったり来たりにいたします

公益法人は
公益法人の会計のシステムは結果、大成功。
お客さんには喜んでもらえたし
会社にも大きな利益が出た。

私はそこに派遣で行っているだけなので
ボーナスが出ることもなく
何の変化もなしですがね

そのプロジェクトが終わっても
同じところに派遣させてもらっている限りは
またチャンスがあるかもしれません。

また、普通の組み方でひたすらにこなしていきます。
そして、土日にはまたノンプログラミング。

他のプロジェクト
他の人がやっているプロジェクト
どうもうまく行っていなかったようです。

そして、事件が起きました。

その会社から私の会社への支払が滞ったのです。

最初はちょっとした事務的なミスで遅れただけだと思っていました

小さな会社ですからね。
でも、次の月も、また支払が遅れた。

残念ながら、私があげた利益も補填しきれなかったんでしょう。

うちの会社から、
引き上げてください
との指令

残念ですが仕方ありません。
他の会社に行って地道に普通の組み方を続け
何年かして、もし良いリーダーさんに巡り会えたなら

長い長い、いつあるかもしれないチャンスを待つことになります。

色んなプロジェクト
色んなプロジェクトに参加しましたね
大阪に単身赴任で行ったりもしました。
オーダーメイドのカーテンのシステムは面白かったな

固定資産のシステム
超大手の旅行会社。
グループの会計システムをひとつに統合することになった。
でっかい、システムなのでいくつかのサブシステムに分かれる。
私が入ったのは、固定資産のチーム。
その中で通信に関わるところとのやり取りのプログラムがあった。

なんか、使いづらいな
改良しちゃおうかな。

これが受けて、メンバーから注目してもらえることに。
プロジェクトのサブリーダーがとてもいい人で
さらにその上の本部長にも注目してもらえた。

ひょっとしてひょっとしたら

あのう
ちょっと見ていただきたいものがあるんですけど

デモを見てもらって

面白いんじゃない?

それを使ってというのは
ずいぶん進んじゃっているので
今さら難しい。

でも、その帳票の設計の部分だけを
うち用に改良して作ってもらえないかな。

えっ、良いんですか。

ちっちゃなチームを作ってくれて。
2ヵ月くらいでしたけど
天国のような日々でした。

そして
ある日
一本の電話がかかってきます。

電話の相手は、営業部長でした。
どこの営業部長かというと、公益法人の会計パッケージ作っていた
仕方なく引き上げたあの会社。

変だな。
なんでシステム部長じゃないんだろう。
システム部長にはとても可愛がってもらった。
電話がかかってくるとしたらどう考えてもシステム部長からのはず。

会いたいとの事。

何があったのか
長くなりますので、次回お話しします。

ノンプログラミング、ああしてこうして

かなり前からお読みいただいている人は、覚えておられるかも知れません。

ノンプログラミングって初めてではない。

社会に出て初めての会社で、ノンプログラミングを発想して
お客様には無茶苦茶喜ばれたけど
会社のみんなには嫌われた。

結局断念して、全く違う業界に行く事を選択した。

それから、まあ色んな事があって・・
これも、ずっと話してきましたね。

もう一度?
ノンプログラミングやったらどうなるか、経験済み。
結局良いことなんてなかったじゃないか。
敢えていばらの道を進むことはない。

でもなあ・・・

でもなあ・・・

準備だけしておくか。

派遣
あの時より、状況は悪くなっている。
あの時は正社員。今はしがない派遣社員。

もし、プログラムを組まないで良いとしたらどうですかね
なんてな事を言ったら
は?
そんなことより、さっきの今日中に仕上がんの?

当たり前です。
言われたことを黙々とやるのが派遣社員の役割。

どうするか。
一つしか方法はありません。
土日に組む。
家のパソコンでコツコツと。
土日しか使えないのでちょっとずつしか進みません。
生きてるうちに形になるんだろうか。

何のあてが有るわけでもない。
発表の場なんて一生かかっても無いかもしれない。

一度会社を潰した身の上。
いつかは会社を起こして、みたいなつもりもない。

でも、やる。

カミさんからはボロカス言われます。
一銭にもならないことはやめてちょうだい。
それ、何なのよ。

ひたすらガマン。

何年もそういうのを続けていると
自分でも何のためにやってるのか、訳が分からなくなってきます。

楽しいからやってる訳ですけど
趣味って言われちゃうと、若干カチンと来ます。
何なんでしょうね。

そうこうしていると
会社では、どんなことやってたか。

色んな現場に行って色んなシステムを組みました。

多少余裕が出てきてますから
派遣の身ではありながら、
恐る恐るちっちゃな提案をしたりします。
家で組んでるノンプログラミングとは全く別ですが
いわゆる「効率の良いプログラミング」というくらいのレベルであれば
ちょちょいのちょいです。

普通はそれもダメなんですけどね。
組み方の作法まで細かく指示されて
こんな感じで組みなさいよ。
それ、守らないと、後で他の人が見直したときに理解に時間がかかる
所詮、派遣はいつまでも要る人ではない。

結果をみて
いいねえ。
じゃあ、悪いけど、こっちもやってくんない?

良いリーダーさんだな。
ひょっとして、この人になら。

ちっちゃいけど、大きな
一つの転機が訪れることになります。

続きは次回にね

IT業界、これさえなければ

ハッタリ期も過ぎ、ひたすら期もそこそこ進んできました。

そうすると頭の中にもたげて来るのがノンプログラミングです。

ノンプログラミング
ノンプログラミングって、私が作った造語かも知れません。
有るような無いような。
少なくとも一般的な用語ではない。

どのようなものか。
出来るだけ簡単な言葉でしゃべりますので
しばしお付き合いください。

IT業界の全体的な漠っとした説明の中で
コンピューターに教えるプログラミングというのが必要で
それを書く言葉が言語です、と話しました。

色んなシステム(プログラムのまとまり)があるので一概には言えませんが
会社で使う、業務のシステムに限定させてください。
経験を重ねると、千差万別のシステムにもパターンが有ることが分かってくる。

ちっちゃい所で言うと、数字の項目だと4桁以上を入れられる場合には
3桁ごとにカンマで区切って表示する場合が多い。

注文データの箱の中に得意先コードが有るとすると、
別に得意先の箱があって、そこに得意先名を入れておく
画面や帳票には、得意先コードの横に、得意先名を出してやる。
0001 でーこん商会
みたいな感じ。
入力の際には、得意先コードは直接入力してもいいけど
横に虫眼鏡みたいなボタンがあって、それをピッと押すと、
得意先の一覧表が画面に現れて、そこから得意先を選んでも良い。
仕入先や、商品でも、コードと名がつくと大体そう。

普通はそういうのも一から組んでいく。

考え方
そういうワンパターンものは、
コンピュータが勝手に考えて作ってしまう

それがノンプログラミング。

まずは箱を考える。
注文があって、得意先があって、商品があって・・・
それぞれの中にどんな項目が欲しいかな。
住所とかメールアドレスとか注文金額とか
数字なのか文字なのか日付なのかと区別と、最大何桁まで入れたいか
ちょちょいとエクセルでまとめる。
後でいくらでも変えられるから、
適当で全然大丈夫。

そのエクセルをノンプログラミングにドラッグしてちょんと放り込む。
100個くらい箱がある、そこそこのシステムでも
数十秒でシステムが出来上がる。

それぞれの箱の入力をするプログラム100個。
画面で一覧表示してどこかの行を選択するとさらに詳細が見られるってプログラムが100個
一覧表が帳票として出てくるのが100個。
合計300個が数十秒です。

DBコンシェルジュ
もちろん、最初っからコンピュータに、あんじょう考えてねと言っても
ピクリとも動かない。
ノンプログラミングのためのプログラミングを
コンピュータに読み込ませる必要がある。

名前がついてまして、DBコンシェルジュ
DBってデータベースの略です。
私がほとんど作っちゃいました。

さらに略して愛称が
Dコン(でーこん)
はい。
私の名前は商品名だったんですね。

諸悪の根源?
この前、IT業界の概要をお話ししたときに
IT業界って山谷が激しいので
人をかき集めて解散しての繰り返し
常にみんなが不安定、って話をしました。

でも、良くするやり方があるとも書きました。

それは方法論ではない
考え方です。

IT業界ってバクっと言うとプログラムを組むための業界。

そこ、ホントにそうなの?
プログラムって本当に要るの?

全員が全員、
プログラムが要らない世界なんて考えたこともなく
「プログラムを」どう効率よく組むかの議論ばっかり。

もちろん、私もプログラムをどう効率よく組むか、を積み重ねて来ました
でも、ある程度を越えると、その先が見えてきた。
「そもそも出来上がっちゃってる」所をスタートにできる。

もちろん、最初っからやりたいことの全てが出来ている訳ではない。

最初っから出来上がっているものは
こんなんでどうでしょう、という元々動いちゃうシステム。

それを使うお客さんが見て、使って
ここ嫌だなと思ったら、その動いてる画面の中で
お客さんが、自分でちょちょいと直せる。
ここ、ポイントです。
SEやプログラマー達がやるんじゃない。

システムって誰のもの?
使うお客さんのものに決まっている。
システムをSEやプログラマー達の専門家集団の手から
お客さんの手に取り戻そう。

でも、勢いで言っちゃいましたけど
これ、言っちゃダメですね。
お客さんには大受けに受け入れられるんだけど
業界のみんなに総スカンを食らいます。

現実に動いてるそのものをその場で見ても
絶対にダメ。
システムは、そんな、簡単なものじゃない。
こういう時は、ああいう時は?
その質問にも全部答えられるんだけど
それでもダメ。

まあ当たり前ですね。
自分達が今までやって来たことを全面否定されちゃう。
私だって逆の立場なら嫌です。

こいつ嫌い。

長くなりました。
まだまだお話出来ていないので
次回から、実際にその中で、どうしていったのかを含め
長い歴史と、ノンプログラミングが何であるかを
お話ししていきたいと思います。