吉田兼好が好きです。

名僧シリーズです。

兼好
1283?~1352? 天台宗?

卜部兼好(うらべかねよし)
身分はそう高くないが、卜部家は、天皇に仕える家
兼好も天皇に仕えるようになる

亀山系は大覚寺統(だいかくじとう)、後深草系は持明院統(じみょういんとう)という
天皇家が二系統に分かれて勢力争いを繰り広げた異常な時代
そのあとの南北朝時代に繋がっていきます。

兼好は、大覚寺統系
仕えている間にも、ころっころ、浮き沈みがあります。
元々、家的に大出世が見込めそうにもありませんし
元々出家志向が強かったので
30代そこそこで、出家してしまいます。

元々兼好(かねよし)だったので、そのまま音読みにして、けんこうと名乗ります。
吉田、っていうのは全くの嘘です。
卜部家が、後々吉田家に変わるんですが
その後、江戸時代に、それまで全く注目されたことのなかった徒然草が急に人気が出て
誰かが、吉田兼好と言い出しただけです。

徒然草
私にとって、兼好は特別な人です。
大好きです。

古文で、最初から最後まで全部読んだのは
後にも先にも徒然草だけです。
高校の時だったと思います。
古文の勉強のための参考書
現代語訳との対比で、文法とかの解説もあって。

どうせだったら、ひとつ何か丸々読んでみようと
おそらく、ボリューム的にちょうど良かったんじゃないかな
読み始めると、これがまた面白い。
物事の見方のひねくれ度合いが、私とぴったり合ってたんですね。

つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、
心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、
あやしうこそ物狂ほしけれ。

残念ながら、ひとつを除いて、全く思い出せませんが。

その一つは
ふたつもじ 牛のつのもじ すぐなもじ 曲がりもじとぞ 君はおぼゆる

子供が習字でひらがなを覚えるときに、
興味を持てるように、そのかたちを楽しく言い表したもの。

ふたつもじとは、横に二つの棒、すなわち「こ」
牛のつのもじとは、牛の角のように縦にふたつで「い」
すぐなもじとは、まっすぐなもじなので「し」
習字だと、途中で曲げないんでしょうね
曲がりもじとは、途中でくっと曲がるから「く」

ということは、「こいしく」
君の事を恋しく思っています、という恋の歌。

これだけをなぜ覚えているかというと
告白のラブレターとして使った文章だから。

高校から、大学に行って、東京へ。
中学の時のクラスメートで、片想いしている彼女
すごく仲の良い友達だったから
中学卒業で、別々の高校へ行くとなったときに
勇気を出して

文通せえへん?

ええよ

でも、文通の中で思いを伝えることが出来ないまま、3年が経過
4年目に突入。

思いを伝えたい
でも伝わっちゃまずい
うぶな男心ですなあ

で、徒然草のこの歌を見つけて
これ、このまま解説書かずに送ったら、絶対言っている意味解らんで。
むっちゃラッキーやん

ということで、この歌を文通の中で書きました。

君に贈る歌です。
ふたつもじ 牛のつのもじ すぐなもじ 曲がりもじとぞ 君はおぼゆる

案の定、何の反応もなし
良かった良かった。

結局、そのあと、会ってちゃんと告白して、振られちゃったんですけどね

[名僧]シリーズはこちら(少し下げてね)

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