奇跡の前にひざまづく

砂場の本店で
の続きです。

千住大橋を渡るところでしたね

千住大橋
隅田川の橋を渡るときの楽しみは、橋の上からの隅田川の眺め
ありゃりゃ。ここは横に水道橋がわたっちゃっているから見えないよぉ

渡り終えると足立区
ここの一番のウリは松尾芭蕉
奥の細道に出かける出発地点
公園が整備されています。

橋までは弟子たちが見送りに来てくれたけれど
ここからは弟子たちとも別れ、いよいよ旅立ち

行く春や鳥啼き魚の目は涙

春が過ぎ去ろうとしているところに、旅立つ別れを惜しんでいたら、
鳥たちは悲しそうに鳴き、水の中の魚も涙をためているではないか。
より悲しみが沸き上がってくる

こらこら、魚の目の周りは水やないかい
涙は見えんやろう

というツッコミ期待の句ですね
ボケとツッコミの基本が分かってらっしゃる。さすがは芭蕉、とうらなせる句です。


隅田川テラスにも出られました。

下から見ると、さっきの水道橋も大迫力

おおおっ、良いじゃないですか
さっきは邪魔者的言い方してごめんなさい。

千住大橋に関わる色んなエピソードが書いてあって
かなり楽しめました。


例えば大緋鯉の話。

川の主である小さい鯨ほどもある大緋鯉(赤い色のきれいな鯉)がいました。
ずいぶん深いところを泳いでいても良く見えて、みんなに親しまれていました。
ところが大橋を架ける事となり杭を打込み橋脚を作っていくと
脚と脚が狭くて大緋鯉が通れなくなり、巨体がバンバン当たります。
橋奉行は捕獲を指示しますが、ものすごい力なので、網ではどうにも捕まえられません
仕方なく、鳶口を打ち込みましたが、逃げていってしまいました。
しばらく姿を見せませんでしたが
傷が治ったのか、また姿を見せ、暴れるようになりました。

ごめんよ、俺たちが悪かった。

大緋鯉の為に橋脚を一本外したら
うまくそこをするりと抜けて泳ぎ回るようになり
ぶつかることもなくなりました。

潮待ち茶屋というのも面白いです。
満ち潮に変わる時間帯は、下流から上流へと川の水が流れるんですね
その時間に舟を出すと、勝手に何もせずに上流への戻れるから
その時間まで待つ時間潰しのために、茶屋が出来た。

橋戸稲荷神社

私にとっては奇跡とも言うべき事がここで起きます。

案内板に、伊豆長八さんという名人が作った鏝絵(こてえ)があると書いてありました。

鏝絵って過去2回見たことがありますが、漆喰を左官の名人が鏝(こて)一本で絵を書いちゃう。
過去に見たのはお寺の壁面に荒波の絵だった

期待したんだけど、少なくとも前面には、鏝絵はない

神社仏閣は色々回りましたが
「これこれの貴重なものが保管されている」とあっても
外にある石仏石碑だったり墓の類いでない限り、見れることはほぼ無い

そもそも、寺務所や社務所に人はいないし、
住職さんが住まれているんだろうな、という住居のチャイムを押すほどの勇気は出ない。

でも今日は、砂場本店で14代目とお話が出来、気持ちがハイになっている。

最初の写真に写り込んじゃったおじさん
普段着なので、神職の方では無さそうだけど、中の片付けをしていたから
何らかの関係者かもしれないので声をかけてみた。

すみません。鏝絵があると見たんですけど、どの辺にあるんでしょうか

ああ、ハイハイ。裏なんですよね

裏に連れていっていただいた。
鍵のかかった柵で区切られている一画

おかしいなあ

20個くらいの鍵の束が2つ

色々やってみるんだけどどうにも開かない

全部持ってきたんでどれかのはずなんだけど。

ようやく開いて中へ
蔵がある

ええっと、この鍵は、と

どうなってるんだろう、この構造は

とっても古そうなごっつい鍵。
ようやく開いた。

狐の立体的な絵。
はっきり言って、今まで2箇所で見た鏝絵と全然レベルが違う、見事なもの


この母狐の何とも言えない表情

失礼ですが、こちらの住職さんなんですか?

いや、そういうんじゃなくてね
そういう代々の人がいないもんで、僕らが何人かで管理しているっていうか。
ここは滅多に開けないからね。
一年に一回も開けないと思うよ。

一握りの有名な神社仏閣仏閣以外のお寺や神社に共通する深刻な問題。
いくつかのお寺を掛け持ちしたり、
このケースのように氏子の誰かに管理を頼んだり。

20年くらい前になるかなあ
長八さんのお弟子さんの代々の方が来ていただいて、神社に泊まりがけでね
修復してくれたんだよ。
その時は真っ白になってね。
でもだいぶ黒ずんじゃったなあ

もうひとりのおじさんに声をかけてくれた。

僕は何にも分からないから解説したげてくれる?

僕も良くは分からないけど
下から見るらしいんです。

どういうことですか

こうやってひざまづいて拝むものらしいです。
そうすると狐と目が合う。

ひざまづいて見ました。

ほんとですね
目が合いました。
すごいです。


(もう一方は残念。撮影失敗)

あと、ここの線ですけど、洪水でここまで水が浸かったという事のようです。

えっ、そうなの?
僕は66歳だけど、そんな洪水の経験無いなあ

もっと昔は堤防とか無くて、隅田川は結構氾濫してたのかも

少なくとも20年前の修復以降はそんな洪水ないから
その線は修復出来なかったかしなかったか

今後、お弟子さんの連絡先も分からなくなっちゃったから
修復も今後は無理かも。

私はひょっとして、修復以降ほとんど何人かしか見ていないものを今見ているのかも知れない
たまたまおじさんがいてくれて良かった。
声をかけて良かった。
鍵が開いて良かった。

考えられないような確率の奇跡
でも、ウォーキングをずっと続けていると、
そこそこ起きるんだよな、そういうこと

砂場の14代目のご主人といい、
今日は、貴重な貴重な1日

ウォーキングはまだ続きます。
続きは明日ね

[おでかけ]シリーズはこちら(少し下げてね)

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