[ことば日本史]金槌はなぜ「げんのう」

ことば日本史から

玉藻前(たまものまえ)
平安時代のこと、天竺と中国とで悪の限りをつくした果てに日本へと飛来した狐がいた

金毛九尾の狐
その狐が美しい姫、玉藻前に化けた
それはそれは美しいと大評判
狐が化けていると知らない鳥羽法皇が呼び寄せて、寵愛を受けていた。

鳥羽法皇の体の具合が日に日に悪くなっていった
誰に見てもらっても原因が分からない

法皇にもしもの事があったら私も自害いたしますわ

おお、そうかそうか、そうはならないようにせんとなあ

陰陽師安倍泰成がやってくる
安倍晴明の子孫です

その病、玉藻前の仕業でしょう
とんでもない化け物ですぞ

そんな馬鹿な
こんなにもわしのことを思いやってくれているのに

安倍泰成が真言を唱えると
玉藻前は狐に戻り、飛び去ってしまいました

妖狐は那須野へと逃れますが、とらえられ
射殺されてしまった。

それでも妖狐の霊は石と化し、力を持ち続けました

近寄る人は具合が悪くなり
鳥獣であれば、近付くと死んでしまいます
「殺生石」と呼ばれ、恐れられます

玄翁(げんのう)
それから、ずいぶん時へた南北朝時代、
那須野へやってきた曹洞宗の僧、玄翁が、噂を聞き付け、殺生石の元へ

えいやあ

大きな槌でその石を打ち砕き、祟りを鎮めたのです。

それで石を砕く大きな金槌を玄翁と呼ぶようになったのです

不思議だと思っていたんですよね
なぜ金槌でもトンカチでもなく、げんのうと呼ぶのか

学校で教わってから
金槌でいいじゃん、と思いつつも
なんだかプロっぽいからかっこいいな
と、私もそれからげんのう、と呼んでいます

ところで、さらにさらに時は流れ、去年
その殺生石が割れちゃった

周りにイノシシの死骸

あれれ?
玄翁が割って、たたりも鎮めたんじゃなかったんだっけ

[ことば]シリーズはこちら(少し下げてね)

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