「ん」がなかった。続き

「ん 日本語最後の謎に挑む」から
「ん」がなかった話の続きです。
前回は「ん」がなかった

中国で
中国での話で途中になっていましたね

中国では、んの発音は3種類もあったという話でした。

中国にも太古から辞書があって
「切韻」という辞書には、漢字の発音が書いてある

なんでそんな必要があるかというと
時代や地域で同じ漢字でも発音が全然違うから

代表的なのは呉音と漢音
日本にも両方入ってきちゃうんだけど
桓武天皇は紛らわしいので
漢音しか使っちゃダメと決める

漢音使えなきゃ、お坊さんとして採用しませんよ
当時、お坊さんって国家公務員なんです。

言わば公務員試験に漢字の発音が出るわけですから
みんな一生懸命漢字の発音を勉強する

「切韻」という辞書にはどういう風に発音が書いてあるか
不思議ですよね
もちろん中国にはカタカナもなければ発音記号もない
漢字しか分からない筈

二つの漢字を組み合わせるんですね

例えば「酸」だと
素官
と書いてある
素の発音はローマ字的に言うとso
官の発音はkuan
suan(スァン)

賢いぞ中国人

さあ、じゃあ日本人はどういう風に発音を勉強していったかなんですが
その前に一番重要なこと。

考えてみりゃその通り!
の根本原因。

中国で「ん」という文字
中国には「ん」を単独で表す漢字がありません。
ん、の発音はあっても文字がない

先程の辞書でいうと
下側の漢字で「ん」だと分かるけど
ひとつの文字だと「ん」を表せない
漢字の発音の中の一部な訳です

この辺の話は私としては個人的に思いっきり興味深い
前回、昔、英語の単語を思いっきりいっぱい調べた話をしましたが
同様に、いっぱい調べて法則性を発見したものがあります。
漢字の二音目です。
漢字の音読み
よろしければ読んでみてください。

先程の辞書でいうと、下側の漢字はそれほど多くないということに繋がる。

話を戻して、漢字には「ん」という漢字がない。

さあ、困ったのが日本人

前回お話ししたように
それまで存在していた日本語
文字はなくて、言葉だけ
中国から文字が入ってきた。
仮借(かしゃ)といって漢字を当て字にして記録できるようになった。
この時点ではカタカナもひらがなもありません。
あは安、いは伊というふうに表現。

もし、この時点で日本語にもともと「ん」の発音がなければ
「ん」の漢字がなかったところで問題にはなりません。
ここ、後でまた話しますが
全部漢字の仮借で書かれている、古事記、日本書紀、万葉集には
一切、んは使われていません。

でも、どうしても困ることがあります。
漢字の発音のお勉強です。

公務員試験に受かるため
漢字の発音を正しく覚える必要があります。

今なら、漢字にフリガナを振りますね
愛なら「アイ」と振る。
当時は「安伊」と振ってノートを取った。

門「母・・」
困った。「ん」ないやん。

大パニック。

漢字には、発音の一部として「ん」があるくせに
文字として「ん」がないことで生まれた悲劇ですね
オーマイガー

さあ、どうしたか

散々困ってやったのが
とりあえず、こう書いとくけど本当は違うからね作戦。

これ、仮の作戦だから
人によってバラバラ
二と書いておいたり、レと書いておいたり、ムと書いておいたり
イと書いておいたり
(もちろん漢字でね)

面白いのが、三種類のんの発音をちゃんと聞き分けて
書き分けてたりもする

でも、トラブル続出。
そりゃそうよね
二のつもりで書いたのか、んのつもりで書いたのか
書いた本人以外は全く分からない。
本人だって、時間がたてば
えぇっと・・

面白いのが経という漢字
ケイと読むと思ってますよね。
あれ、実はケンなんです。
こう書いとくけど作戦で、誰かがケイと書いたのを
ケイだと思って、そのまま定着しちゃった。

そんなこんなで
もう限界。
誰か何とかして状態です。

なかなか、んの文字の発明に至りませんね

まだまだ続きますので
またここで区切って、
あとはシリーズの次回。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です