関西人、その不可思議なるもの(お好み焼き)

前回、たこ焼きについてお話ししました。
今度は、お好み焼きです。
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ごはんと一緒に
東京でよく聞かれる質問が、
関西の人って、お好み焼きをご飯と一緒に食べるって本当?
というもの。

とても不思議です。
その質問がなぜ出てくるかがよく分からないのです。

そんなん、当たり前やん。
お好みはおかずやん。
おかずだけやったら、ご飯食べとなるがな。

いつも、晩御飯で一緒に食べてる家族ですらそう。
お好みの時は、ご飯は食べません。

炭水化物と炭水化物って言うけど、
それ、何かあかんのやろか。

モダン焼き
かなり前の情報ですので、今違っていたら教えてください。
神戸(兵庫県)でモダン焼きと言うのがあります。
神戸のモダン焼きは、焼きそばを焼きそばとして作ります。
それを丸く集め、薄く小麦粉を溶いたものをかけながら、お好みのような形に成型していきます。
焼きそばを丸く固めました焼きです。
モダンでんなぁ

総合市場の横の、きたないお好み屋のおばちゃんがよう作ってくれた。
おいしかったなあ。

大阪に行ったとき、お好み屋でモダン焼きを頼んだ。
すると、何もしてない、焼きそばの麺が出てきて、お好みの生地の中に混ぜくる。
ちょっとちょっと何すんのん。
そんなん、美味しい訳ないがな。

これひょっとして、
尊敬申し上げる大阪さんに、神戸が勝った瞬間ちゃうん。

東京に来てから
東京に来てから、モダン焼きの違いを友達に熱く語っておりました。
すると、広島から来ている友達が、横から入ってきました。
広島の方がおいしいに決まっとるけん
(広島弁あってる?)

焼きそば入ってんねんで。
広島は、基本全部のお好みに焼きそば入ってる。
モダン焼きやなくてもか。
そうや。
それで、それはうまいんかい。
うまいなんてもんやない。

そんなに言うならと、当時B&Bがやってる広島焼きの店に連れていってもらうことになった。

広島焼き
作り方見てる時点で衝撃を受けた。
キャベツの千切りをうず高く積み上げる。
こんなん、ひっくり返せるんかい。
焼きそば

なんじゃこりゃー

一口食べた瞬間に
完敗や。
むちゃむちゃうまい。
これがホンマにお好みか。
今後、お前の言うこと何でも聞くわ。

マヨネーズ
東京で、お好みを食べたら、マヨネーズをかけていた。
東京さん、あほかいな。
何すんねん。
邪道もええとこやがな。

ところがです。

そもそも、美味しかった。
うーん、おいしいがな。

そして、よくよく聞いてみると
大阪で始まったことらしい。

私が東京に来ている間に、そのような歴史的大変革が大阪で行われていたのか。
しかも、おいしい。

これには困りました。

小さいころのお好みの味やない。
こだわりたい気持ちと、
うまいもんはうまいという気持ちと、
進歩に貪欲な関西人を賞賛すべきではないかと言う気持ち

今、お好み食べるときは、6対4でマヨネーズつけない食べ方かな。

ヘラ
東京の人は、お好みを箸で食べます。
関西人はヘラから直接、はふはふ言いながら食べます。
鉄板の上でヘラで切り分けては、そのままその部分を食べます。
全く、おんなじもんやのに、食べ方で美味しさが全然違う。
ああ、もったいない。
何でわざわざおいしくない食べ方を。
熱いからおいしいのに。

ちなみに、ヘラは、テコといつたり、コテといったり、地域によって違うようです。
正直、加古川でどうやったか記憶があいまい。
今回は、ヘラにしときました。

もんじゃ焼き
ここまできたら、もんじゃ焼きにも触れないといけませんね。
昔、小麦粉を溶いて鉄板の上で文字を書きながら、子供に文字を教えてもんじゃ焼き。
そんな、基礎知識があったので、最初にもんじゃ焼きを食べた時
まあ、関東ではこんなんやろと、上から目線。
特にうまいもんではないなと。

ところが、しばらくたった後、再度もんじゃ焼きを食べる機会がありました。
あれれっ。どないしたん。
うまいやん。

どうも店によるようです。
失礼しました。関東さん。
反省しております。

これおいしいわ。

関西人、その不可思議なるもの(たこ焼き)

関西人といえばたこ焼きとお好み焼き。
まずはたこ焼きから
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たこ焼きが好き
東京に来て自分にビックリしたことがあります。

自分はこんなにまで、たこ焼きが好きだったのか。

禁断症状が出ます。
食べれないんだわ、たこ焼きが。

関西にいるときは、好きだという感覚は有るものの、あまりにも日常的すぎて、まあ好きやわなあ、くらい。

そうそう食べれない状況になると、

俺はたこ焼きがすっきゃあああ

と満月に向かって叫んでもまだ足りないくらい。

たこ焼き機
東京でよく聞かれるのが、関西人って全世帯にたこ焼き機があるって本当?
っていう質問。
そんなの当たり前。
住民票みたいなもん。
もし持ってない人がいたとしたら、よほどの事情があったに違いない。
例えば、独り暮らしをすると決まったら、とりあえずたこ焼きプレートを買いに行く。
そうしないと気持ちが悪いし、万が一新居をたこ焼き機の無い形で迎えてしまったら、縁起が悪い。

でも、どんなたこ焼き機かが色々ある。
まだそれほど収入が無い時期には、レンジの上に乗っけるだけの丸っこい7個くらいしか焼けないプレートだけ。
多少余裕が出てきたら、10個くらい焼ける長四角のやつに変わる。
これもまだプレートだけ。
もちろん、丸っこいのも捨てはしない。
バチが当たるから。
一度は愛した元カノみたいなもん。
時々取り出してさびさびになったのを眺めつつ、あの頃、金はなかったけど夢があったなぁ、などと郷愁に浸る。

友達の家にお呼ばれしたら、その家のたこ焼き機がとても気になる。
裕福さのバロメータだから。
下にガス台までくっついた立派なたこ焼き機だったりすると、明日からこいつの言うことは何でも聞こうと思う。
電気よりはガス。何ともプロっぽい。
ただ、卑屈にはならない。
何といっても、もったいない、つつましやか、を良しとする関西人。
子供ながらに、我が家で無理してこんなの買ったら、借金まみれになると思っている。
うちはプレートで良かったと変にホッとする。

明石焼き
もし世の中に芸術品というものがあるとしたら、その筆頭にあげられるのが明石焼きだと思う。
何とも、繊細で、上品で。
一つ一つを、
「ありがたや、ありがたや」
と拝みながら食べる食品ってそうそうない。
次女も同意見です。

何とこの明石焼きをはじめて食べたのが東京に出てきてから。
新宿の「たこぽん」が最初。
何やろ、明石焼きって。
明石は隣町だからよく行ったけど、関西にいるときそないなものは全く知らなかった

私が大好きなブログ、メタぽっちゃりシードリームで、明石焼きは穴子が入っているのもおいしいとの情報を読んだ。
そないな斬新な。
世の中の進歩は凄まじい。
どんなんやろ。おいしいんやろな。

あかん。
辛抱たまらん。
たこ焼きか明石焼き、食べとうなってきた。

大阪弁、その不可思議なるもの(敬語)

敬語
関西人は、標準語での敬語が苦手です。
(これは、おそらく僕だけ)
なぜなら、大阪弁にはとても便利な敬語があるんです。
どんな動詞だろうがその後ろに「はる」を付けるだけでいい
しはる、してはる、言わはる、来はる
いらっしゃる、だの、おっしゃる、だの言葉ごとの敬語を覚えなくてもよい。
親だろうが天皇陛下だろうが全てこれでOK

敬語が通じていない
東京に出てきて程なく、自分の敬語が相手に敬語として認識してもらっていないことに気付きます。
逆の例としては、昔いた会社で上司が関西から出てきている人だったのですが、お前はいつもちゃんと敬語で話すなあと言われたことがあります。
そうなんです。
使ってはいるんですれどね。

なまじっか通じてしまうが故に、関西弁が抜けない、私のような「東京に出てきている関西人」はとても苦悩します。
敬語を話さないといけない場面のみ、全面的に標準語を話さないといけないのです。
もちろん、大抵の「東京に出てきている関西人」はちゃんと努力するのでしょうが、なんせ日本アバウト党の党首を自認している私の性格、どうにもなりません。

解決策
解決策は一つ。
偉い人には近づかない。

それで「今に至る」です。

出世なんてするわけありませんね

もうちょっと努力せぇよ、という話でした。
失礼しました。反省します。

大阪弁、その不可思議なるもの(必死のパッチ)

大阪弁にはコミカルな言葉があります。
そんな、いくつかを集めてみました。
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ごうわいた
自分の母が使う大阪弁で、とても好きな言葉がありました。
「ごうわいた」と「へらへえともない」です。
よくどっかから帰ってきて
「あんな。(これこれこういうこと)があってな。ごうわいて、ごうわいて」
漢字で書くと「業沸いた」
恐らく「はらわたが煮えくりかえる」と同じ感じなんでしょう。
すごく腹がたった、という意味です。
すごく腹がたってる感じがよく伝わるけれど、言葉自体が持っているコミカルさから、どっか笑えてしまうとてもいい言葉だと思っています。
関西の中でもあまり使われていない言葉かも知れません。
少なくとも、好きな言葉ではありながら自分で使うことはありませんでした。

へらへえともない
これは大好きでした。
これを聞いたとたんに吹き出してしまいます。
これを聞きたいがために、ずいぶんいちびった気がします。
(いちびりは「悪ふざけ」。またあとで説明します)
シチュエーションとしては、
お茶碗にご飯を盛るように言われて、いちびって、お茶碗の上にてんこ盛りに盛る
それを見て
「あんた何これ、へらへえともないに盛ってからに」
限度を越えて、目一杯、むちゃくちゃに、みたいな感じでしょうか。
その度に、笑いながら
「お母さん、へらへえともないって何?」
「へらへえともないはへらへえともないやないの。
もう、しょうもないことゆうとらんと、はよ食べ」
食事前に交わされる、我が家では定番の応酬でした。
これを使うのは、かなり限定的な地域かも知れません。
インターネットでは、兵庫県の明石近辺となっていました。
母親以外でこの言葉を聞いたことはありませんでした。
自分でも使ったことはありません。

いちびり
これも、今となっては死語なのでしょうか。
少なくとも私が子供の頃は普通に交わされていました。
意味は「悪ふざけ」に近いかな。
小学校低学年位の子供に対して使われる言葉の気がします。
めったにない、法事のような親戚一同が集まる機会。
小学年低学年の男の子は大張りきりです。
目一杯いちびって色んな事をやって、親戚のだれかが
「ほんまに、いちびりやねえ。おおきなったら、吉本入ればええね」
と言ってくれれば最上級の誉め言葉です。
天にも上る気持ちになります。
いちびりでは、笑いの質は問われません。
ただ変な顔をするとか、どっかに上るとか。
言葉で笑わせるんじゃなくて、ピエロのように動く方がイメージにあいます。

必死のパッチ
これは今の人も使っているはず。
おそらく、若い女の子でも使っているはず。
パッチというのは、ももひきのこと。
ズボンの下にはく防寒用の肌着です。
意味は尋常ではなく必死に、という意味です。
必死さと関係あるとは思えない「パッチ」が引き合いに出されていることが面白くて、関西人はこの言葉が大好きです。
さらに、使う機会がやたらに多い。
それほどではなくても「必死で」やっていることをアピールしたいのにピッタリです。
大阪弁では「むっちゃ」「むちゃむちゃ」を超えて「必死のパッチ」は最上級なので必然的にこの言葉に集中していきます。
以前、大阪に本社がある会社の東京支店に在籍していたことがありました。
女性の美人社長だったのですが、何周年かの記念パーティが東京で行われたとき、
「私も今まで、必死のパッチで頑張ってきましたが・・」
これには笑えました。
懇親会で
「社長。東京では、必死のパッチは通じませんで」
「ほんまか。そんなんゆうたって、必死のパッチやがな」
正しいっ!