カズオ・イシグロを読んでみて

カズオ・イシグロさんノーベル文学賞おめでとうございます。

村上春樹さん残念でしたけどね

長女
長女は親の口から言うのもなんですが
天才文学少女でございます。

あの新潮社がやっている新潮ファタジーノベル大賞
リングとかで有名な鈴木光司や畠中恵などすごい人たちが
この賞出身という権威ある文学賞ですが

なんと高校生の時に、一般の作家さんたちに混じり、最終選考に残りました。
異例中の異例でございます。

速読も出来、ものすごい量の小説を読んでいます。

長女が
カズオ・イシグロが村上春樹について言及したのは嫌味だったね

へえ、そうなんだ
ところで、カズオ・イシグロって読んだことあるの?

大体、話題になった作家や作品についてこういう聞き方すると答は一緒です。

あるよ
面白かったよ

そうなんだ
どれ読んだの?

新聞の記事を指差しながら
これとこれとこれとこれ

すごいな4冊もかい

貸したげよか

今、持ってるの?

うん
好きな作家だよ。
好きな作家がこんな大きな賞取るのは初めてだから純粋に嬉しいわ。

この受賞理由
数々の小説を通じ、世界と繋がっているという我々の幻想の下に隠された深淵を暴いた
って何よ

何言ってるの、って感じよね

どういう小説を書く人なの

んーとね
例えば、今度の会社どうって聞かれたとするじゃない
楽しいよ、とか、やりがいあるよ、とか答えるのよ
それは嘘じゃないけど、それだけじゃない
もっと色々あって大変だなと言うところもあるけど
それを言っても仕方ないから言わない訳

でも、カズオ・イシグロは
そんな訳ないよね、それだけじゃないよねってことを
小説の中でちゃんと書く人なの
お父さんにも分かりやすい例で言うとそういうこと。

はいこれ、読んでみな
「私たちが孤児だったころ」
私はこれ好きだけどちょっとマニアックかな

うわっ、分厚っ
これ何日ぐらいで読めるの?

なにそれ
何でそんなに頭の悪い質問するの?

じゃあこっち、
「わたしを離さないで」
日本じゃこっちの方が、綾瀬はるかでドラマ化されて良く知られているから
こっちの方が良いんじゃない。

うん、こっちの方が若干薄いね。

手に追えないなと思ったらすぐに返してね
変なの、と思っても、そういう小説だから、そういうつもりで読んでね。

わたしを離さないで
読んでみた。
450ページほどの文庫本。
小説はほとんど読まないので
さあ、どれくらいかかるだろうと思いつつ。

これに関してはSFなので、あり得ない想定
でも、将来あるのかも知れないという想定

ノーベル賞かつ翻訳ものということで、難解なのを想像していたけれど
それはなかった。

ちょっと変わった施設で育つ主人公とその友達たち
起きる出来事がいわくありげでぐいぐい引き込まれる。

ついつい、ネットで想定を見ちゃって
うわあ、参ったなあ
そんなテーマなの?こりゃ重すぎるだろ
そういうところに繋がるわけね

でも1/3くらいのところでもう背景が明らかに
えっ、こんなところで、明らかにしちゃっていいんだ。

そのあとも、頃よいタイミングで色々変わっていく。

半分を過ぎた頃に長女が言っていた例の意味が分かってきた。
なるほど、こういう繋げ方と展開が特色なのか
確かにこういう小説は読んだことがない。

手に終えなくて途中でやめるかも、と思いつつ読み始めたけど
読むのが大変とかいうことじゃなく
別の意味で迷い出した

キツすぎる
これ、最後まで読んで、私の心は持つだろうか
張り裂けてしまうんじゃないか

これはSFなんだということがせめてもの救い。

それでも、主人公たちの感情にいやがおうにも入り込まされる。

大きく息を吐く
ダメだ。どうにも途中でやめられない。

これ、小説だよね
ここまでガンガン向こうからぶつかってくるものに出会ったことがない。

丸一日かけてラストまでとうとう来てしまった。

ネタバレになっちゃうので
どんでん返しがあるのかないのか書けないけど

涙でぐちゃぐちゃになる

ノーベル賞
まだ一作品しか読んでないけど
これは間違いなくノーベル賞だ
受賞理由のおかしな文章も、今なら分かる。

日本で産まれたかどうかなんてどうでもないつまらないこと。
カズオ・イシグロだという事で良い

こんなものをいくつも書いているのか
どんな心の構造をしているんだろう。

作品ひとつずつにノーベル賞で4つも5つもあげられないんだろうか。

ずっと引きずる気がする。

長女はこんなレベルのものをすでに4つも読んでいる
長女にしてみれば好きな作家の一作品に過ぎないかも知れない
我が娘は、私のような凡人の子供で良いんだろうか

私はもう心がへとへとなのに。

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