[百人一首]79 秋風に~

秋風に たなびく雲の 絶えまより
もれ出づる月の 影のさやけさ

夜空を秋風は吹きわたる たなびく雲の 切れ目から
ひとすじ さっともれ出た 月の光の明るさよ

藤原顕輔
藤原顕輔(あきすけ)は顕季(あきすえ)の子供で
このあと84番で出てくる清輔(きよすけ)のお父さん。
顕季は六条家という歌道の名門流派の創始者
茶道や華道みたいに、裏千家みたいな家元みたいなのがあったんですね
全く知りませんでした。
顕輔は末っ子だったんですが、歌がとても優れていたんで、跡取りとしてお父さんからご指名

六条家を継ぐのはお前だ

鑑賞
分かりやすいですね
現代人にも、現代語訳がなくてもすぐ分かる

あえて、現代と違うのをあげるとすると
「影」でしょう

現代では影は、光に対する暗いところを指しますが
昔は、光も影も両方とも指すんです。
だから、影のさやけさ、は、光の明るさ。

元々、影と輝きは同じ語源らしいです。

万葉集の時代には、月は真ん丸なのが最も美しいとされた
歌に読まれるのはほぼ満月がこうこうと明るいさま。

ところが時代が変わると美意識も変わるもので
月も欠けていたり隠れていたり、が風流。

この歌は典型です。
月が雲に隠れていて
ああ、今日は月は楽しめないなあ

ところが、雲の隙間から、急に月の明るい光がぶわっとさしてきた。
おおおっ
いやあ、今日は良い日やわあ

そういう歌ですね。

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