[百人一首]88 難波江の

難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ
みをつくしてや 恋ひわたるべき

難波江の刈られた芦の根の一節のような
短い一夜の仮寝のために
この身をつくしてあなたを愛し続けなければならないのでしょうか

皇嘉門院別当
皇嘉門院別当は、皇嘉門院に使えた「別当」という役職の人という意味
皇嘉門院とは藤原聖子、せをはやみ、のあの鬼になった崇徳天皇の奥さんです。
本名は分かっていません。
かなり活躍した女流歌人なんですが
それでも名前が分からないんですね

今、「課長」とか呼ぶとしても名前分からんて有り得ないけど
当時はおそらく記録に残っていないというだけじゃなく、
自分達も皇嘉門院別当とか呼びあっていたのかな
寂しい

源俊高の娘というのは分かっています。

鑑賞
難波江とは、今は埋め立てられちゃって、オフィス街の真ん中(大阪市中央区)あたりの湿地帯
澪標(みおつくし)とは船が入り江を航行する上での目印となる杭のことで
現在、大阪市の市章にもなっています。

大阪市のみなさん
この札をおはこにしましょうね
なんなら、下の句の札の右上にこのマークを書いておいても良い

この歌は、九条兼実の開催した歌合わせで、「旅宿に逢ふ恋」というお題で詠んだもの
行きずりの旅の、一夜限りの契り

良いとこのお嬢様ですのに、よろしいんでしょうか
そんな破廉恥な

おっしゃっている意味が分かりませんわ
とか良いつつ
ばんばん技巧を駆使します。

難波江に生えている芦の「刈根」と「仮寝」
その根っこの一節(よ)は短いんだけれども
その短さからたった一夜にかける
澪標は「身を尽くし」

愛し続けなければならないのかしら
って、もちろん忘れたって全然良いわけですけど
それじゃ歌になりませんね

ああつらい
つらいけどちょっと嬉しい

女心、分かってらっしゃいます。

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