ラフカディオハーンが見た、変わり行く日本

「外国人が見た、幕末・明治の日本」からのシリーズになります。

日本を愛した外国人、と考えて、一番先に頭に思い浮かぶのは
ラフカディオハーン、小泉八雲ですね

このシリーズで、日本の事を好意的に捉えてくれている外国人を多く見てきましたが
そりゃあ、一番日本の事を好きだったのはラフカディオハーンでしょ、って
そう思っていました。

この本を読んで、少しその認識は変わったと言いますか
より深くなったと言いますか

ラフカディオハーン
1890(明治23)年、ラフカディオ・ハーンは39歳で、長らく憧れていた日本の地を踏む

まるでなにもかも、小さな妖精の国のようだ。
人も物もみんな小さく風変わりで神秘的である。
青い屋根の小さな家屋、青いのれんのかかった小さな店舗、
その小柄な売り子が微笑んでいる。

イギリス人のハーンは、アメリカで新聞記者として働いた後、
ハーパー社の通信記者として日本にやって来る。
いわゆるお雇い外国人ではない。

その後、日本人と結婚し、日本に帰化し、二度と日本から出ることがないなんて
この時は考えていなかったでしょう。

来日から、4か月後、島根県松江市の松江尋常中学校に英語教師として着任する。

町の暮らしの始まりを告げる早朝の物音に起こされて、私は障子の窓を開け放つ。
そしてまず、川沿いの庭に芽吹き始めた柔らかな新緑の茂みの向こうに、
朝の様子を眺めわたすのである。
眼下に流れる大橋川の幅広い鏡のような水面が、すべてをうつろに映し出し、
きらきらと光っている。
その水面は宍道湖へと注ぎこみ、灰色に霞む山々の縁まで、
右手方向に大きく広がっている。

学校から家に帰る途中、お城の広場を抜けて近道をしていると、
しばしば楽しげな光景に出くわす。
三十人くらいの小さな男の子たちが、着物に草履履きの帽子を被らない格好で
これも和服を着た若いハンサムな先生から、行進しながら歌を教わっている。
男の子たちは、歌いながらみんなで列を作り、小さな素足で拍子をとっている。

翌年、熊本第五高等中学校に異動するんだけど
松江の同僚や生徒たちとの別れの時に、こう綴っている。

彼らを目の前にして、私はこう自問するしかなかった。
このうれしい顔ぶれを 「もしどこか別の国で、同じ期間、
同じ仕事をして暮らしたとして、これほどたゆまぬ温かな人情の機微に触れる喜びを味わえただろうか」と。
私はどの人からも、親切で丁重な扱いしか受けなかった。
ひとりとして不注意からでさえ、私に卑劣な言葉を発した者はいない。
五百人以上の学生を教えていて、堪忍袋の緒が切れそうになったことは、一度としてなかった。

至福の日々。
しかし、熊本では、全く同じ感覚で進んではいかなかった。

西南戦争で荒れ果てた地は、出雲の神々が住む松江とは異なった風景だった。
それにしても、住む人と松江の時と同じように触れあえたら

問題は、そこ
それは決して、熊本がということではなく、日本全体が
少しずつ、軍国主義的な方向へ進んでいってしまう。

そしてとうとう、1894(明治27)年、日清戦争勃発

出征の時に見かけた兵士達。
たまたま、彼らが凱旋帰国する時に遭遇する。

見ているわたくしには、これがみな、さきに出征の時に見たのとおなじ兵士たらだとは、
どうしても思えなかった。
どれもこれも日に焼けたこわい顔をして、髭をぼうぼうと生やしたのが大ぜいいる。
紺いろの冬着の軍服は、すり切れたり破れた靴などは、もう形もないまでになっている。
しかし、威勢のいい大股の足なみは、いかにも鍛錬された兵士の歩調だった。
かれらは,もはやただの若者ではなくて、世界中のどんな軍隊すら相手どることのできる荒武者であった。

変わってしまった
と嘆くところだろうが、次の瞬間に不思議な気持ちになる
下男の万右衛門に、「彼らは今夜、帰らぬ戦友を偲ぶことだろうね」と問いかけた時。

西洋では、死んだものは帰らないとおぼし召すでしょうが、
わたくしどもは、そうは思いません。
日本人はだれでも、死ねばまた帰ってまいります。
帰る道をみんな知っております。
へぇ、みんな、もうわたしどもといっしょにおりましてな。

何を言っているのだろう。

単純に日本礼賛の時期を越え
かといって、変貌した日本人を嫌悪するかと思うと
不思議な日本人の精神構造に出会う

一体彼らは。

生涯をかけた研究テーマになるんだけど
向こうにいる日本人を観察する、という方法を取らなかった。

自分が日本人になるという道を選ぶ。

我々日本人
我々日本人は、どういう日本人だろう。

小泉八雲も含めた日本人達から
何を引き継いだろう

何を伝えていけば良いんだろう。

索引はこちら
[外国人がみた日本]シリーズはこちら(少し下げてね)


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