貝原益軒。養生訓で長生きくん

江戸の理系力シリーズ

有名どころです。
貝原益軒
かいばらえきけん 本草学 1630~1714

貝原益軒は寛永7(1630)年福岡に生まれる
お父さんはお医者さん
子供の頃は平家物語や太平記を読んだ好奇心旺盛な少年

8歳年上のお兄さんも、お医者さんで、藩から
5年間京都での医学修得留学を許される。

そんなお兄さんに教えてもらいながら、益軒も医学を修得していく。

そして19歳の時、藩主に召し抱えられ、可愛がられる。
すぐに、藩主の江戸参勤にお供できるほどになる。

江戸だあっ
見るもの聞くもの珍しくて、大興奮だったんだけど
参勤交代なので、翌年にはもう戻ることになる

でも、すぐに
今度は、1年間、長崎に勉強に行って良いよ。

ここまでは順調だったんですが
可愛がられていたはずが、何があったんでしょう。
藩主の逆鱗に触れて、クビ
浪人になっちゃいます。

悲しみにくれ?
って事にならないのがひと味違うところ

良いんでないの
良い機会だから、好きなことをいっぱい勉強しよう。

6年後
そろそろ江戸に出てみようかな
江戸は面白かったからなあ

江戸の藩邸にいた父を訪ねる
父のつてで、藩のお偉いさんとも会え
よほど人柄が良かったんでしょうね
人気者になります。

福岡藩主が代替わりしたとき

殿、とても面白い人物がおります。

ほんまか

口添えしてくれて、あっさりと赦免

さらに、京都へ遊学を命じられます。

色々あっても結局は自分の方へと引き寄せていく力があるんでしょうね。

京都では、様々な人に教えを乞い学問の範囲を大きく広げます。
その中でも生涯をかけて最も中心になる「本草学」は
稲生若水(いのうじゃくすい)に師事した事が大きい
薬草を中心にした植物学です。

どんなお偉い大先生かと思いますが
なんと益軒より25歳若い、ほぼ少年に近い人
素晴らしいですね
自分より優れている面を持っていれば、誰でも即、先生として教えを乞いに行く。


益軒の特徴は、全て実践的であること
日本国中、旅して回り、有用なものを集め
帰って、それを自分で育てるというところまでやる

それまでの本草学は中国が中心だから
膨大にある中国の本をひたすら読んで翻訳するタイプの人は何人かいたけど
見たことも無い薬草がどんなに効くと言われてもねえ

日本の気候でちゃんと育てられる、日本のための本草学
ということで、「大和本草」全16巻の大書です。

本草というくらいだから、植物の本だと思いきや
植物、動物、天文、地理、歴史等
早い話が今の百科事典だと思えば良い
あらゆることがすぐに引けるように分類されている。

それをひとりで作れるもんでしょうか
旅をしながらですよ

でも、実はそれは序の口
本草学を中心としてあらゆる分野の本を膨大な量、書いていきます。

大和本草(16巻)。本草綱目校正(38巻)。本草名物附録(1冊)。其の外花譜(5冊)。菜譜(3冊)。和漢名数(3冊)。日本釈名(3冊)。
まだまだいっぱい

参った!

養生訓(ようじょうくん)
どれだけバイタリティのある人よ、って思いますよね
最終的に書いたのが、あの、超有名な「養生訓」なんですが
訓ってくらいだから
人生成功するためには、こんな風にしないといけませんよ
みたいなこと書いてあって、
ははーっ、
的な

違うんです。

そもそも、虚弱体質。
虚弱体質だから、子供の頃は本ばかり読んでいた。

でも、大人になってこんな事していたら体に悪いと思って
できるだけ外に出るようにしたら
今度は、旅行の楽しさに気づいた。

そもそも益軒って名前は、かなり晩年になってから名乗ったもので
それまでは「損軒」って名乗っていた。
損ばかりの人生だって良いじゃない、ってことかな

残り少なくなって、もうそろそろ益でも良いかなって思ったんでしょう。

はい、良いです。全然良いです。

養生訓は、なんと84歳の時に書いたもの

歳の離れた奥さんが亡くなって
ああ、もうちょっとやってあげられる事があったんじゃないかって、後悔
自分の体も月を追うごとに急激に衰えていくことを感じて
何か残しておきたいなって
遺書のような作品

ベースには儒学があるから
前に出ることなく、
人への気遣いも忘れずに
不摂生は極力控えて
慎ましやかに生きていけば
薬なんかに頼らなくても
十分健康で生きていけるんじゃないかって

自分は薬の専門家なのにね

そんな等身大の訓を、誰にでも分かる
優しい文章で書いていく
「訓」じゃなく「くん」って感じ

ちょっとした心がけで良いし
確かにそうしていたら体の調子も良いよねって
本当は分かっていることを、改めて言ってもらっているような内容。

こりゃ売れますわ。
益軒、人生で最大の大ヒット作

そして、その翌年
静かにこの世を去ることになります。

索引はこちら
[江戸の理系力]シリーズはこちら(少し下げてね)


オシロイバナ

花カレンダー始めました

貝原益軒。養生訓で長生きくん」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 丹羽正伯。日本全部を元気にする方法。 | でーこんのあちこちコラム

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です