家康2、感動の里帰り

前回の続きです。
家康1、人質時代。我慢我慢ひたすら我慢

普通なら、まだ成人していない14歳
結婚もできないんですが
そこはアバウトな時代
無理矢理元服しちゃえ

1月15日、元服と結婚式を同時にしちゃいます。
相手は10歳年上の強烈キャラ築山殿

築山殿についてはあまりに色んな話があるのですが
実は、また新シリーズ「大奥」っていうのを考えておりますので
そちらに譲ろうかなと思います
築山殿に関わる話はガサッと割愛。

14歳で女性を知ってしまった竹千代改め元康、後の家康
(ここでは今後、家康と表現しますね)
しかも相手が築山殿
その後の異常なまでの女好きが形成されてしまいます。

里帰り
初夏に、築山殿のお父さん、関口親永に頼みます。

一度、岡崎に里帰りし、
元服を終えた自分のすがたを郎党たちに見せてやりたいんですが。

まあ、それぐらいだったら良かろう。

人質の家康は大人になって初めて、岡崎に里帰りすることになります。

もう、岡崎では、ひっくり返っての大騒ぎ。
三河衆にとって、家康は生きる支え。

若が、若が帰ってくる

野良仕事が忙しい時期ですので、仕事をほっぽらかす訳にはいかないんですが
若が通る道端に集まり、飛び上がらんばかり。

立派になられて・・・

そんな中、急に家康に尻をむけ、こそこそと隠れたものが。
でも、家康が顔を見ちゃった。

「近藤登之助ではないか」

松平家における身分でいえば堂々たる物頭
外出の時には十数人の供に諸道具をもたせ、
戦場でも尾張衆にまで名のひびいた男

いまでは知行を駿河衆にとられ、
命をつなぐために自分が食べるため米をつくっている。

こんな姿、若に見せられる筈がない。

瞬時にその意味を察した家康は、そこに止まり出てくるのを待った

田の水で手と顔をあらい、笠をとって家康の前にまかり出た登之助に、

「憂き目を見させることよ」

このひとことで近藤登之助は声をあげ、号泣した

岡崎城へ
さあ、いよいよ岡崎城
6歳の時、あとにして以来です。

本丸には、駿河今川家から派遣されている城代で、山田新右衛門という男がいます。
とはいえ、本来の城主が里帰りしてきた訳です。

家康のほうからさきに、
「貴殿が城をまもってくれていればこそ、岡崎も安泰なのです。
私はまだ年若であり、古老たちの話もききたいゆえ、
二ノ丸をもって宿所とします」

ある夜、古くからの年老いた家臣、鳥居伊賀がやってきて、
「こちらへ候え」 と、家康の手をひくようにして外へ。
わざと灯をつけなかったから、真っ暗。

自分の城内屋敷に入り、奥の蔵の前にまで来た。
音を立てないようにして、錠を外す。
蔵の中ではじめて灯をつけた

ぱあっと、光が照らしたもの、それは。

天井にとどくばかりに米俵が積まれている
さらに、山積みにされたぼう大な青銭

今川家に絞り取られ、もはや何もない。はず

いったい

「それがしが、かようにつかまつった」と、小声で言った。
今川の城代の目をぬすんで旧領内からあがる年貢や運上金をくすね、
こつこつと貯めに貯めたのがこれでござる

「すべて殿のものでござる」
鳥居伊賀は、すでに泣き出していた。

殿が将来、帰られたあと、これをすべて軍用におつかいなされよ
これだけあればよい侍を多く召しかかえることができましょう
いつまでもこのような三河であってはなりませぬ
なりませぬ。

家康を蔵から連れ出し、静かに錠をかけた。

この年、家康が駿府へ帰ってほどなく、
鳥居伊賀は安堵したように生涯を閉じた。

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