植物は憶えている

植物の感覚シリーズとしては最終回になります。

記憶
植物は、例えば木であればとても長く生きるので
昔の色んな事を覚えているだろう
絵本では、老木は昔語りをしてくれます。

さあ、果たして、植物には記憶というものは存在するのだろうか

エンドウマメのまきひげ
最初に記憶らしきものを立証したのは、マーク・ジャッフェ

エンドウマメのつるがものに巻き付く仕組みに興味を持った。
ジャッフェと豆の木ですね

巻き付く対象を見つけるまでは真っ直ぐ伸びて
対象を見つけるとくるんと回る

十分に真っ直ぐ伸びたつるを用意
途中から切り取っても
巻きひげの部分にさわっただけでくるっと回ることを発見した。

この実験を明るいところと、真っ暗なところで行ってみる
すると
明るいところではくるっとなるのに
真っ暗なところではくるっとならないことが分かった。

巻き付く仕組みには光が関係している事が分かった。

おおお、そうなのか

問題はここから

実験で使った暗い場所に置いた豆のつる
もういいやと1~2時間後に明るいところに出したら
どこにも触っていないのにくるん

さっき触られた事を覚えているのね

記憶の立証
このあとも続々と、覚えていると思われる実験が
色んな実験に付随される形で発表される。

このシリーズで紹介した色んな実験にも含まれます。

例えば、ハエトリグサはひとつめのひげに触られた事を覚えていて
二つ目のひげに触られた時、間の距離で獲物の大きさを判断する

タバコの草は最後に見た光の色を知っている

どうも覚える事ができるのは間違い無さそうだ

そうなると、興味は、次の段階へ
どういうものをどういう方法でどれくらい覚えられるのか

短期記憶
ハエトリグサの記憶の仕組みが、時期の異なる数人の学者により解明された。

答えから言うと「電気」だった
ここでいう電気とは電荷、言い換えるとカルシウム濃度の差

ひとつめのひげに触られた段階で電気が起き、周りに伝わっていく
二つ目のちょうど良い場所でちょうど良い時間に触られると
二つが総合されて判断される

時間は20秒
それ以上になると拡散し「忘れて」しまうことになる

長期記憶
もう少し長期での記憶はないのだろうか

これは、桜が春に咲く仕組みに関わっている

ここで関連してくるのはDNA

DNAって良く見る絵だとねじれている配列ですね

配列自体が記憶だと言ってしまえばそうなんだけど
その配列は、記憶というよりは一生ものですね

この配列を記憶にも利用していることが近年分かってきた。
「エピジェネティクス」というらしい

配列はねじれていますが
普通にねじれているのと、「ものすごい」ねじれているのがあるんです。

「ものすごい」ねじれているとそのあたりの遺伝子情報は読み取ることが出来ない。
「どこどこでものすごくねじれているか」が記憶となる

春と秋は同じぐらいの気候だけど
冬を経過すると、花咲き遺伝子のねじれが解放される
逆に夏にはまたねじれる。
だから秋には花は咲かない。

桜が咲くメカニズムはそれだけではないんですが
この冬の記憶も関連している。

若いときにストレスを受けた植物は、このねじれる仕組みで記憶をとどめ
それ以降の自分の形を変えていく。

さらにこのねじれ具合は自分だけではなく、次の世代にも受け継がれていく。

実は短期記憶の仕組みも、長期記憶の仕組みも
人の記憶の仕組みに同じものがある
もちろん、植物には脳はないので、脳を中心とした感情を伴う複雑な記憶システムがあるわけではない。

ただ、記憶はすなわち自らをより進化させようとする働きに他ならない。

今後の研究と共に、今後の植物の変化に要注目、となるかも知れない。

索引はこちら
[植物]シリーズはこちら(少し下げてね)


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