[将軍の演出] 「しー」は静かに。えっ知らないの?

「徳川将軍家の演出」の本から
将軍の顔をみちゃだめ
とお話しました

今日はその辺をもう少し詳しく

お目見得
幕府直轄の人材は、将軍に会えるかどうかで旗本か御家人かが分かれる
ということは、旗本は全員将軍に会えます
会えなきゃ「嘘つき!」
と言われちゃいますから

さあ当日
スタンバイして待ちます

しー

これから将軍がおでましになるという合図
異常なほどの静寂が訪れます。

真、行、草、の内、真というタイプの礼
手に鼻の頭が付かなきゃだめ

そのまま動いちゃいけない
襖がすーっと開くんだけど、
将軍様がおられるのか自体分からない
畳の縁ギリギリのところでかしこまるんだけど
緊張のあまり、手足が縁についてしまったりするとさあ大変
下城差留ということになります。

城から帰れないと言うことなんだけど
さすがに永遠にという訳ではない
注意を受けたら、帰してもらえるし
その後それ以上の不利益を被る訳ではない

ただ、武士が一番嫌う「恥」ということになる

何が何でも縁に触れないよう、
その事だけでお目見えの時間はあっという間に終わってしまう

入る前から退席まで
何歩でどこからどこまで歩いて、どの角度で曲がって等
こと細かいこと全て決められていて
何とその練習に丸三日間もかかる

その指導をしてくれるのが
吉良上野介で有名な高家です

しー
しー、と言われるとピタッと無言になり、静寂が訪れる
警蹕(けいひつ)というらしい
しー、に正式名称があったなんて驚きです。
今のように口の前に指を置いたかまでは分からない

しー、と言われると黙る
これはあまりにも当たり前ですよね
疑問の余地がないというか、体が覚えちゃっているというか

おそらく、ものすごい昔からそうで
当たり前すぎるので
どこの文書にも出てくることがなかった

初めて文書に出てきたのが、幕末の開国後
外国人たちがいっぱいやってきて
色んな人が、あまりに不思議な、日本の社会の事をあれこれ文書にしたとき

イギリス総領事、オールコックが将軍にお目見えしたとき
フランス公使ロッシュが同じくお目見えしたとき
この、しー、が極めて不思議な出来事として、長々と語られている。

びっくりしました。
外国人はそんなことが不思議なんですね

一番のお偉いさんに会うとき
外国では賑やかで華やいだ雰囲気にするらしいです

ほんとでしょうか
そんな恐ろしいこと、ホントに外人さんは出来るんでしょうか

その場で何かそそうがあったら自分の人生終わっちゃうと
そもそも体が動かなくなるでしょうに、と
江戸時代の人々の感覚の方こそ良く分かります。
面白いですね
国によって、DNAが受け継がれていくんですね

そそうが有ったとき小さなミスなら、咳払いをして教えてくれるらしい
これも外人さんは意味分からないんでしょうか

面白いのが、天皇と将軍の比較

当時のある人の記録では
天皇にお目見得するときは、お顔を見て良いけど
将軍はだめ、とあります。

いやびっくり
天皇は良いってほんまかいな

[江戸の文化]シリーズはこちら(少し下げてね)

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