[明治] 元老のその後

[明治] 総理大臣は元老が選んでいた。
の続きです

元老
明治14年の政変後、
長州、薩摩の藩閥政治家たちは、次の首相を選ぶという重要事項を
伊藤博文、山県有朋、黒田清隆、松方正義、井上馨という5人が集まって協議して決める仕組みを作った。

最初の頃は自分達で持ち回りになる

5人の力関係は
どーんと伊藤博文
ちょっと離れて山県有朋と黒田清隆
もう少し離れて、井上馨
さらに離れて松方正義、って感じでしょうか

この力関係はだんだん変わっていくんですけどね。

結局のところ、そんな不思議なインフォーマルな会議がなぜ幅をきかせていたかというと
天皇です。

天皇が5人に声をかける
考えてね

明治って立憲君主制だから
それなら仕方ないね、となる

伊藤博文は海外を回って君主も個人的な気分で統治するのではなく
国の中の一機関として存在するのだということを学んでくる。

大日本帝国憲法を制定するにあたり
明治天皇にその考え方を伝授

まだ若かった明治天皇は、素直に感銘
教えてくれた伊藤博文の事も大好きになる

ただ、だんだん明治天皇も歳を重ね、
色んな事が分かるようになってくると
多少は自分の意見も言いたくなってくる

絶対的に信頼されている伊藤は、
その辺の事も理解している

たまに、5人全部じゃなくて、一人だけに声をかけて意見を聞いたりすると
まずいってことで
二人増やす。
西郷従道と大山巌
どうしても、伊藤と山県と井上が長州で
強くなりすぎるので、薩摩を補充って意味もあるんですけどね

やんわりと
一人とかはダメですからね
こっちで決めた人に声をかけてくださいよ

どうしても天皇としても好き嫌いが出る
圧倒的に好きなのが伊藤で
正直好きじゃないっていうのが、黒田と大山

松方って財政に滅法強く
大蔵相としてはとても力を発揮し、元老に選んでもらえたりした
でも、どうにも次がいなくて、首相になったとき
とても今いちで、すぐに退陣になった。
ところが経験って面白いもので
2回目、3回目と首相をやる機会が出てくると
慣れてきたというのか、どんどん力を発揮していく。

最初は薩摩の筆頭は黒田だったのに
天皇に嫌われちゃったということもあって
松方に取って変わられていく。

元々、政党に対抗して伊藤が考えた仕組みな訳だけど
どうしても、政党の力が強くなってくるとそうもしていられなくなってくる。

部分的に、自由党や進歩党の力を少し借りて、大臣になってもらったりしながら

時には、一回やらせてみようって事で大隈重信を次期首相として指名したこともある

残念ながら内部分裂を起こして、大隈内閣はたった4ヵ月で破綻してしまうんですけどね。

そんな中で、政党に対する考え方で元老の中で考え方が分かれていく。
大隈内閣が失敗したこともあって
山県有朋は政党による内閣はまだまだ早いと思っているんだけど

伊藤は、だんだんそろそろ良いんじゃない?って方に傾いていく。
で、自分で政友会って政党を作っちゃった。

当然藩閥を守ろうと思っている藩閥政治家たちからは嫌われてしまう。

山県有朋の方につくようになっていって、
力的には、伊藤に山県が並ぶようになってくる

でも結局は天皇の影響力はすごくて
ダントツで信頼されている伊藤は
暗殺されるまで、山県に抜かれることはなかった。

どんどん元老たちが歳を取ってくると
マスコミとかは元老を批判するようになっていく。

伊藤が暗殺されたころになると
黒田も西郷も亡くなってしまった。

残された山県は元老制度を守るべく頑張る頑張る

山県の後継者、桂太郎と
伊藤の後継者、西園寺公望
の時代に突入

山県と伊藤は何かと張り合っていたが
この二人は立場は違えど個人的には仲が良い

お互いに次は君ね、さらに次はまたこっちみたいに密約を交わす。
元老の審議は形式だけ

最後まで知らされていなかった山県は大ショック
今までずっと桂太郎を可愛がって来たのになぜ言わん。

さらに桂が政党を作ろうとしたので大激怒
この裏切り者が。

で、元老制度を守るべく
追加した元老がなんと政友会の西園寺公望

政党ですやん

案の定
初めて、元老会議に参加した西園寺は

私は多数党が政権を取るという考え方が良いと思うんですよ

そりゃそう言うわね

その後、おじいちゃんたちの元老は、次々亡くなっていきます。

気づいてみれば、元老は、西園寺ただ一人

でも最後まで、西園寺が頑張るんです。

結局、普通に考えていかにも闇の組織のような元老が
そこそこ適切な首相を選び続けられたというのは
たまたまこのメンバーが優秀だったからでしょう。

伊藤が飛び抜けて私利私欲を考えない人だったからというのもあるんでしょうが
誰一人私利私欲を考えていなかった。
普通に考えて、次の首相を決める人がいたら
首相になりたい人は思いきり賄賂贈るでしょう。

そうならなかったんです。

[明治]シリーズはこちら(少し下げてね)

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