本郷散策の続き

フランス弁当と、本郷散策
の続きです。

喜之床旧跡
石川啄木が2年間住んだ場所
盛岡から、同じ学校の先輩金田一京介を頼って上京し、下宿させてもらう。
そのあと、蓋平館別荘に移り、朝日新聞校正係に就職も出来た
その後、この喜之床という散髪屋さんの2階に引っ越す
あまり良いことはなかった。
家族のゴタゴタが続き、家族の病気、自身の病気

最終的にこの前行った小石川の終焉の地へ移る

はたらけどはたらけど、の句は喜之床での作

今も散髪屋さん、理容アライなんです。

かにかくに 渋民村は恋しかり
おもいでの山 おもいでの川

かねやす
本郷も かねやすまでは 江戸の内

兼康祐悦という歯医者さんが住んでおり、かねやすという小間物屋があった。

江戸や明治を考えるに当たって、この「かねやす」は色んな興味深い問題を提起してくれる。

資料によって書かれていることがまちまちなのだけれど
総合して考えるとこんな感じ
芝と本郷に兼康家があった。
どっちが本家でどっちが分家かは不明。
おそらくどっちも歯医者さん

乳香散という歯磨粉を売り始め、大ヒット
キャッチフレーズは
この薬をもって磨く時は、その白さ銀を敷くる如く、一生口中歯の憂なし

歯磨き粉の事を「かねやす」と呼ぶようになるほど

こりゃ歯医者やっている場合じゃない
これをきっかけに小間物屋に転じ、商売を大きく広げる

江戸の人の歯磨きに対する熱意ってものすごく
浅草の仲見世の歯ブラシ屋さんだらけ
虫歯に対する治療方法は、江戸末期まで全くなく
塩茄子を噛んで我慢するしかなかったからです。

文京ふるさと歴史館でかねやすの事が色々出ていました。

こっちは明治のカネヤス
明治のお洒落アイテム洋傘を、晴れているのにさしている人がいるのが微笑ましい。

大したもんだと思うのが、景品なのか販促品なのか、すごろくを出していること。
しかも二種類
すごろくはこれまた大ヒット商品なので
本郷名所すごろく。洋館がずらっと並んでいるので、洋館は大人気だったんでしょう。

扱い商品すごろく。あがりのひとつ手前が歯磨き粉というのが良いです。

こうなってくると、芝と本郷で権利争いが発生します。
こっちが最初だ、どうのこうの
裁いたのが大岡越前守忠相

芝が「兼康」本郷が「かねやす」
一件落着
♪ルールールルルルルー

その大岡越前が、大火が耐えない江戸において奨励したのが塗屋・土蔵造り
屋根は茅葺きを禁じ、瓦で葺くことを許した
享保15(1730)年、大火で本郷辺りまで丸焼けになったんだけど
復興における建て直しではそうしなさい。

その影響で、中山道を歩くと、かねやす辺りまでは、瓦葺きの屋根が目立つのに
それを過ぎると、田舎風の茅葺きの家なみに急に変わる
本郷も かねやすまでは 江戸の内
というのは、そういう川柳

ここで注目されるのが瓦屋根
江戸も初期には瓦屋根ってほとんど存在しない。
瓦屋根って寺だけで、住宅ではダメ
江戸の消防って、ポンプがないため、水をかけるという方法は、初期消火でしかなく
類焼を防ぐために、近くの家を壊すという荒っぽいもの

その時、瓦屋根だと壊す時、瓦が落ちてきて危ない。

この方針が、瓦の方が燃えにくいと、180度転換したことになります。

江戸時代の町並みのジオラマを見るとき
瓦屋根かどうかをいつも注目しています。

これには背景があります。
延宝2(1674)年、近江大津の三井寺の用を勤めていた西村半兵衛が
桟瓦(さんがわら)という今のタイプの瓦を発明します。
それまでは本瓦
この話、長くなるので、詳しくは寺社建築シリーズに譲りますが
大発明で、コストが激減します。

大岡越前が何と言おうが、この大発明がなければ
そんなもん無理なもんは無理、だったのが
良いっすよ。瓦屋根かっこいいし、ってなれた訳です。

本郷薬師


源頼朝の時代からこの地に、小さな薬師堂がありました。
時代は下って、江戸の4代将軍家綱の時、家綱や藤堂高虎の肝煎りで薬師堂が再建されました。

その時、疫病、今でいうマラリアが大流行
薬師様からのお告げが言い渡されます。

草藪を焼き払い、どぶ掃除をして、天水桶の水も取り替えなさい
薬師を拝み、どんどん線香を炊きなさい。

おお、よく分からんが有り難き薬師様のお告げとばかり
みんながその通りにしました。

すると、おそらく藪蚊が退治されたんだと思いますが
マラリアがおさまっていったのです。

さすがは薬師様、有り難や有り難や

薬師様なのか、お告げを伝えた人なのか
かなり科学的にちゃんと考えての事です
信仰というのは、みんながその通りにするということで
方法が正しいときには絶大なる威力を発揮するんだなと
改めて考えさせられます。

薬師如来かと思いきや、十一面観音がありました。

すみません。かねやすで長くなりすぎました。
まだ続きます。
続きは明日ね

[おでかけ]シリーズはこちら(少し下げてね)

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