[三十六歌仙]21 源重之。事情を分かってあげたい

源重之

なつかりの たまえのあしを ふみしだき むれゐるとりの たつそらそなき

夏刈が行われて、美しい入江の蘆《あし》はすっかりと刈り取られてしまった。
その蘆の切り株を踏みしだいて鳥が群れている。
せっかくの住みかが荒らされて、途方に暮れているのだ。
空へ飛び立っていかないのは、そういう気分でもないだろう。

人には人の事情があるけれど
鳥には鳥の事情がある
勘弁してよ、という歌

うちのセキセイインコにも、そのつど事情があるんだろうなあ

そんな感じで、源重之もこのあと、色んな事を考えたんだろう
幸せってなんだろうとか

百人一首はこちら
風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな
どどーん、という歌です。

素直な歌が多いです。

憂きことも 春はながめて ありぬべし 花の散りなむ のちぞ悲しき
(辛いことも、春は心を空にしてじっと堪えているべきであった。桜が散った後こそが本当に悲しいのだ。)

素直なんだけど、何か余韻が残るというか

音もせで 思ひに燃ゆる 蛍こそ 鳴く虫よりも あはれなりけれ

(音も立てずに、ただ「思ひ」の火に燃えて飛ぶ蛍こそは、声立てて鳴く虫よりもあわれ深いのだ)

[短歌]シリーズはこちら(少し下げてね)

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