[ことば日本史] 合点。ぬれぎぬ

「ことば日本史」平安時代
引き続いて和歌に由来することばです

合点
和歌を評価してすぐれたものに符号をつけることを「点合う」といった。
やがて室町時代になると、和歌や俳句の合評会などで、
回ってきた作品中のよいと思うものにつける印について「合点」というようになった。
また回覧される文章に賛意を示すときにつける印も「合点」といわれていた。

それを江戸っ子が、「承知した」という意味で、
威勢よく「がってんだ」 と使うようになり、さらに「がてん」と縮んで、
納得できるときには「合点がゆく」、
承知しかねるときには「合点がいかない」というようにもなったという。

へっぽこフレーズシリーズでは「がってん承知の助」という言葉もありました
へっぽこフレーズ大集合

ぬれぎぬ
これは和歌の用語ではなくて、歌を通じて広まった言葉。
天暦5(951)年、村上天皇の宣旨によって第二の勅撰和歌集「後撰和歌集」が編まれた。
無実の罪を「ぬれぎぬ」と呼ぶことは、その歌にある、次の歌がもとだという。

目も見えず 涙の雨の しぐるれば 身のぬれぎぬの 干るよしもなし

目も見えないほど涙の雨がしぐれているので、身にかけられた濡れ衣のはずもありません。

悲しい物語です

先妻の娘の美しさを妬んだ継母が、夫に嘘を吹き込んだ。

「あの娘は、若い漁師と恋仲のようよ」

そう告げた後でさらに、娘の部屋にこっそりと、漁民が着るような服を
潮水で濡らして置いておいた

こ、これは!
ばかもーん

父親は、その濡れた服をみつけるや、
怒りのあまり、話も聞かずに娘を殺してしまった

娘は幽霊になって父親の夢枕に立って
無実を訴える歌を歌ったと言います。

この話を題材にした歌です。
作者は小野好古。小野道風のお兄さんです。

この伝説の残る博多のとある場所に「濡れ衣塚」というのがあります。

[言葉]シリーズはこちら(少し下げてね)

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