[迷信]12 妊婦が火事を見物すると赤あざのある子供が産まれる

かつては、「妊婦が火事を見物すると、赤いあざのある子供が産まれてくる」と言われていた。
もちろん、科学的に考えれば、そんなことは起こらない
しかし、妊婦の行動が赤ん坊に何らかの悪影響を及ぼすという言い伝えはほかにもある。

「妊婦が式を見ると、黒いあざのある赤ん坊が産まれる」
「妊婦が転ぶと赤ん坊にあざができる」
「妊婦に心配ごとが多いと産まれてくる赤ん坊に黒子が多い」などである。

これらは、一見すると妊婦の行動を恐怖によって制限する言い伝えのようにも見える。
しかし じつはその逆で、
妊婦を大切にしようとする周囲の気づかいから生まれたと考えられるのだ。

出産は命がけの大仕事
先史時代には、ひとりの女性が4人から5人の女性を出産したと考えられているが、
当時の人口は約26万人と推定される。
つまり、たとえ産まれても、無事に成長する子供は今よりはるかに少なかった
子供だけでなく、妊娠も出産によって命を落とす確率が高かった。
女性の寿命は平均して20代だったと考えられている。

また古代から江戸時代に至るまで、妊婦は部屋に隔離され、
天井から下げられた「産綱(うみづな)」 とよばれる縄をつかんで出産することが多かった

しかも、出産後も頭に血が上らないように立ったままの姿勢を保たなければならず、
7日間は眠ることができなかったという。

今も昔も出産は女性にとって命がけの大仕事だが、昔は
現在よりもはるかに大変だったのである。

そんな時代に、もし妊婦が火事を間近で見たりすれば、
興奮して体に障るおそれがある。
もしそれが自分の家や知り合いの家の火災であれば、
急性ストレス反応などの精神的な負担がかかり、身重の体には大きなダメージになる。
こうしたダメージは、胎児へも悪影響を与えることがある。

母子にとってストレスになるような事態からは遠ざけておきたいという願いから、
「火事を見ると赤いあざのある子供が産まれる」という話が生まれたのである。

現代 妊婦が受けるストレスは詳しく解明されている。
妊娠の初期には、自分が妊娠したこと自体が大きなストレスになり、
少しずつお腹が大きくなって行動などが制限されると、
それが理由で新たなストレスが生まれる。

そして出産が近づくと、子供を産むことへの不安が大きくなり、
また新たなストレスになる。

ストレスによって母体の筋肉には硬直が起こり、
血流が悪くなることで、胎児に栄養が届きにくくなることがある。

また、ホルモンにも影響を及ぼして、
最悪の場合には流産・早産のリスクにつながることもある。
さらに、母親が力んでしまうと、子宮が狭くなることも知られている。

医学的な知識の広がりや周囲の人々の理解などにより、
近年ではこれらの妊婦のストレスは軽減されている部分もあるが、
それでも妊婦の負担は大きい。

火事のような大きな心理的負担となるものには近づけないということが、
それだけ重要だったのである。

いやあ、書きながら思いました
女性はやっぱりすごいわ
男どもは足元にも及びません

[迷信]シリーズはこちら(少し下げてね)

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