[ことば日本史]いざ鎌倉

ことば日本史、鎌倉時代から

いざ鎌倉
出ました
鎌倉時代といえば「いざ鎌倉」

執権職をゆずった北条時頼は、出家して僧侶となる
諸国を回る旅に出る。
上野佐野のあたりで大雪にあい、
道沿いにあった家に一夜の宿を乞う。

その家の主人は佐野源左衛門常世。
かつては名のある武士であったが、財産をだまし取られて、
今では貧乏暮らし。
それでも飯を炊いて、ふいの客をもてなした。
その客が時頼だとは知る由もない

ところが、それでもう、いろりにくべる薪もなくなってしまった。
それほどギリギリの生活を送っていた。

大雪のなか頼ってきてくれたお客様に、寒い思いをするわけにはいかん

やむをえず常世は、昔から大切にしてきた鉢植えの松梅桜を使って
暖をとらせた。

いろりを囲んでの話題は常世の身の上におよぶ

みすぼらしい姿をお見せしていて申し訳ない
今いかに落ちぶれているとはいえども、
鎌倉に一大事あらば必ずや御奉公に駆けつけるつもりでいる

時頼は、常世の言葉を試してみようと、鎌倉に戻ると、
御家人に非常召集をかけた。
常世は、たしかに駆けつけてきた。

北条時頼は、その姿をみつけだすと、
あの時は世話になった。あなたの心根、心に染みましたぞ
そして、その忠義、しかと確認いたした

褒めて領地を与える。

この伝説は、謡曲「鉢木」となって、広く知られるものとなり、
「いざ鎌倉」という言葉は、
駆けつけるべき一大事のことをさして使われるようになった。

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