[ことば]様や殿や方やあなた

足利将軍シリーズのために「室町の覇者 足利義満」という本を読んでいるのですが
義満を理解するために必要だとして
義満が作り上げた新しい概念「室町殿」や「公方様」という考え方が解説されています。

かなり長いのですが、極めて興味深いので
番外編として、日本語の成り立ちを話していくことにします。

日本語に特有な「婉曲表現」
直接的な表現を避け、オブラートに包んで、回りくどく表現する

貴い人を名指しで呼ぶのは畏れ多く、婉曲に呼ぶべきだ、という基本的考え方に始まります。

肩書き、住んでいる場所、住んでいる建物などで
直接表現しないものの誰の事を言っているか分かるようにする

建物の名前で住んでいる人を表すのは便利な方法で
殿というのは元々、建物の事。御殿、ですから
九条大路に面していれば「九条殿」という感じ

殿はかなり万能で、一定以上の位の人は全て殿をつけて良い
あまりに便利なので、建物に限らず官職や地域にもつけるようになっていく

「右大臣殿」
「鎌倉殿」

それ以外にも、「坊」「院」「軒」「斎」「局」など全て建物由来の言葉

建物由来以外の婉曲表現による呼び方には「方」がある
方角
どこどこ方面に住んでおられる方

さらに「様」が登場してくる
元々「〇〇の様な」を語源とする方角を表す言葉
あなた様、なんて婉曲の局地
あちらの方に住んでおられる方、という事

「殿」があまりに一般化しすぎると、言葉というのは面白いもので
いやいや、もっと貴いと感じているんですよ、と表現するため
殿を使える人たちの中でさらに位の高い人に対して区別のために「様」が使われるようになっていく

このあたりまでの基本の基本を踏まえ
次回、「室町殿」や「公方様」とは何なのかに進んでいきたいと思います。

[ことば]シリーズはこちら(少し下げてね)

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