江戸のアルバイト事情、月半分で暮らす方法

前回、江戸時代はみんなそこそこ裕福だった、という話をしました。

もちろん、例外もあります。
今日は、その例外になっちゃった人の話。

一日江戸人に書いてあった話です。

だめになったら
農業でうまくいかなかった。
食ってけない。

首くくる?
痛そうやし

そうや!
江戸、行ってみよ

ということで、江戸へ。

なんとかなるさ
江戸良いわ。
大好きっ。

何とかなりそうな気がしてきた。
訳分からんけど、みんな明るいのなんの。

あっちでもこっちでも、
色んな人が色んな事やってる。

二人一組で
一人が顔を真っ黒に塗る

江戸は浅草、京は四条河原、浪速は天満天神内におきまして
ご評判に預かりましたる
紀州熊の浦で生け捕りました河童でござーい。

黒い男は舌を握って
からららら

そうすると、足を止めて、笑ってくれる。
江戸の人はそれだけでは終わらない。
チャリンチャリーン。

江戸って何とかなる場所。
その日食ってく分をその日に稼いで
宵越しの銭ゃ持たねえ
パーッと使っちゃう。

江戸にものをもっていきゃあ、何だって売れる。

上方の人たちだって、自分達はコツコツ貯めてますけど
羽振りの良い江戸の人達は、大のお得意様
決して悪く言わない。

ウケた変な人
■閻魔さま
顔を真っ赤に塗って、納豆箱で細工した冠つけて、すりこぎ持って、眉毛をゲジゲジに書く。
■半分マン(ありゃりんと)
体を右半分女性の扮装、左半分男性の扮装。
ありゃりんとといいながら、女性の方で腰をくねらせ
男性の方ではいかめしく六方を踏んで、ありゃりんと
■ごみ太夫
全身ごみで装う
てれつくてんてん天道まかせ、昔は花もやるせなき、花のお江戸のお取立て・・・
このごみ太夫、あまりにウケたので、中村座で歌舞伎になったほど。

あと、親孝行、天王様、仙人、ちょろけん、等々いっぱいあります。

あの葛飾北斎も、食っていけるようになるまでは、
やあれそうれとんがらし、ひりりと辛いは山椒の粉・・
と、巨大な唐辛子の張り子を背負って歩いた。

個人でなんとか
商工業は発達しているのに、商店レベルはあるにしても、会社が有るわけではない。
坂本龍馬が作った、亀山社中が日本最初の会社って言われるくらいですから。

基本は、個人でなんとかする。

でも、気質としては怠け者で、働きたがらない。
不思議に物価と収入のバランスがよく
月のうち、半分も働けば、妻と子供を養っていける。

女房が、「お前さん、お米が一粒もないよ」と言えば
外へ出て
米つこうか、薪割ろか、風呂焚こうか
と言えば、どこかからかお呼びがかかる。

坂の下に立っていれば、日に何回か重い荷物が通るから後を押す。

町を歩いている物売りの中でやってみたいものがあれば、
その人に聞くと親方のところに連れていってくれる。
商売道具一式貸してくれるので、その日のうちから商売が出来る。

経済って
改めて、経済って何だろうと思っちゃいます。
選挙の度に成長率をどうたらこうたら言うけど
経済発展なんているんだろうか。
物価と収入のバランスが江戸並みであれば、
みんなそこそこに働くだけで、十分に食っていける。
成長率よりバランスを崩さないように保っていく事なんじゃない?

気質
そのバランスを保つのは、みんなの気質なんでしょうね。
みんなが一様に頑張りすぎない社会。

宵越しの金を持つつもりないから、
薪割ろか、と言われれば、
割ってもらって「余分な」お金をポンとあげる方がいい。
その代わり、自分が足りないときはそうしてもらえる。

お金はみんなのもの。

昔、近いことがありましたよね。
醤油。
醤油が足りなくなったら、ご近所にもらいに行ってた。
当たり前に持ちつ持たれつやってた。

無茶苦茶、真面目な頑張り屋さんは
月半分じゃなく、フルフル働いて、貯金もしたんでしょうけど
江戸は何度も大火事に見舞われて、家ごと無くなっちゃう。
そんなときに、
もう、いっか
って思ったんでしょうね。

幸せって何だろう。

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