胸も腹も使って、全体呼吸

全体呼吸
・胸式呼吸と腹式呼吸の両方を一緒に行うのが全体呼吸。
・理屈的には胸を広げたときに腹も出す。
・胸を縮めたときに腹をへこますということになります。

やってみると
・ただ。やってみると難しいことが分かりました。
・両方同時になんて、こんがらがって訳わかりません。
・そこで、分担させることにしました。
・吸うときは胸さん担当、吐くときは腹さん担当です。
・そうすると楽チンです。

吸うとき
・吸うときは、心持ち両肩を後ろでちょっと下に下げると胸が若干張る感じになります。
・いわゆる深呼吸をするときの感じでいいんですが、ここであまり無理をしない方がいい気がします。
・9対3だと吐く9に対して3で吸わないといけませんから、いやがおうにも気合いが入っちゃいます。
・できれば、自然に3で一杯吸えちゃったというのが理想です。

吐くとき
・やっぱり意識という意味では、こちらです。
・重要なのは吐き切ること。
・代謝のことを考えると、大量の空気を取り入れる必要があります。
・大量の空気を吸うとなると、いっぱい吸おうと思いがちですが、実はそれはあまり効果がありません。
・肺には空気が残っているからです。

肺活量
・平均で言うと、以下の通り

・予備吸気量(がんばればもっと吸える量)→2リットル
・一回換気量(通常の呼吸量)→0.5リットル
・予備呼気量(がんばればもっと吐ける量)→1リットル
・残気量(絶対にどうしようもない残ってしまう空気)→1.5リットル

浅い呼吸はとても浅い
・何とかなる3.5リットルの中で、通常の呼吸はたったの0.5リットル。
・7倍の可能性があるってことです。
・ってなると自分でも5倍ぐらいまでいけそうって思いませんか。
・がんばって1.5倍とかそういうレベルではないのですから。
・吐きましょう、吸える量を増やしましょう。

索引はこちら
[ウォーキング]シリーズはこちら(少し下げてね)

腹式呼吸は何故いいの?

腹式呼吸
・腹式呼吸は、横隔膜を上下させて肺を膨らませたり、縮ませたりする。

横隔膜
・横隔膜は膜とは言っていますが、筋肉です。
・この横隔膜は非常に特殊です。
・随意筋(自分の意識で動かせる)か不随意筋(動かせない)かですが、半随意筋ということになります。
・通常、インナーマッスル(体の深いところにある筋肉)は不随意筋です。
・ところが、横隔膜は横紋筋といって構造自体は随意筋の範疇になります。
・で、どうなるかというと、訓練次第で動かせるようになる筋肉=半随意筋だそうです。

腹式呼吸の方法
・横隔膜を意識して動かせるのは、かなりの極意と考えて、当面はお腹の筋肉で腹式呼吸をしましょう。
・お腹の筋肉はまちがいなく随意筋です。
・腹芸だって出来ますから。
・お腹をへこませる→内蔵が押される→横隔膜が上がる→肺が縮む(吐く)
・お腹をふくらませる→内蔵が下がる→横隔膜が下がる→肺が膨らむ(吸う)
・となります

9対3での腹式呼吸
・胸式は吸うことに重点をおいた方法。深く吸うには胸式。
・腹式は吐くことに重点をおいた方法。深く吐くには腹式。
・9対3では3セット目「さあん」の時はかなり頑張って腹をへこませないと無理です。

内蔵が動く
・腹式呼吸のメリットの一つ目は内蔵が動くということです。
・これは実感として分かります。
・お腹がすくのです。
・食事に関わる4つの原則の一つ目「お腹がすいてから食べる」にぴったりです。
・会社帰りにウォーキングしてから帰宅後、食事をするとおいしいおいしい。
・美味しく食べないとダイエットにも健康にも悪いので、腹式呼吸はバッチリです。

副交感神経が活性化
・横隔膜が半随意筋だということは、半分を司っている自律神経を、もう半分の「意識」で制御できるという特殊な関係になります。
・特に横隔膜は副交感神経と密接に関わっており、副交感神経が活発化します。

腹横筋が鍛えられる
・どこかの筋肉を動かすとその回りの脂肪が取れる、部分痩せというのはかなり難しい。
・代謝の仕組みでも分かったように、どこの脂肪が使われるかというのは、トータルで不足していることから来る現象だからです。
・唯一、部分やせ的効果を得られるのが、下腹ぽっこり対策です。
・そのためには「腹横筋」という筋肉を鍛える必要があります。
・この話は長くなるので、別立てで説明します。
・いずれにしましても、この「腹横筋を鍛える」ことが腹式呼吸でできます。

あとは、腹式呼吸だからというより、全体呼吸で呼吸が深くなるからというメリットになるのでまた後日。

胸かな、腹かな。(呼吸法、まず胸の話)

ウォーキングでの呼吸法を、9対3の呼吸法、鼻呼吸と話を進めてきました。
今日は、胸式呼吸・腹式呼吸に関してです。

全体呼吸
胸式呼吸と腹式呼吸では腹式呼吸の方が良い呼吸法であるというイメージがあるようです。
どちらが良い悪いという問題ではありません。
腹式呼吸がいいとする理由を見ていくと、呼吸の深さを理由にしているものが多いように思われます。
胸式呼吸だけより腹式呼吸も組み合わせた方が呼吸が深くなります。
胸式呼吸、腹式呼吸どちらかってことではなく「両方」なんです。
「全体呼吸」と言います。

全体呼吸の話に入る前に、一旦、胸式単独と腹式単独をまず見比べましょう。

2つの方法の違い
対に言うと胸式=胸(肋骨[ろっこつ])、腹式=内蔵(胃腸等)です。

胸式呼吸
肋骨にはそれぞれ筋肉がついており、肋骨を広げたり狭めたりは自分の意識でできます。
肋骨が広がれば肺が広がり、狭まれば、肺も狭まる。
従って、意識して呼吸しようとすると、深呼吸などでも、特に考えなければ胸式呼吸になります。

腹式呼吸
それに比べて、腹式呼吸は考えて呼吸する必要があります
なぜなら、横隔膜は基本的には不随意筋(=自分の意思では動かせない筋肉)だからです。
随意筋であるお腹の筋肉でお腹を引っ込め、結果として横隔膜を押し上げて肺を狭め、逆にお腹を膨らませて、肺を広げる。
ええい、ややこしい。
間接的なので、慣れるまでは、ちょっと考える必要があります。
でも、分かって慣れてしまえば、どうっちゅう事はない。
お腹を出したり、引っ込めたり。
腹芸をイメージしてみてください。楽しいですね。

胸式呼吸で肋骨の強化
胸式呼吸だと呼吸が浅いので、腹式呼吸を…
となりがちだが、通常は胸式呼吸はまともにできていない。
まずはそこからなんです。
意識しない呼吸では、肋骨を広める狭めるといったことも、ほんとに最低限しか行われていない
まずは、胸式で深呼吸を出来るようにし、肋骨回りの筋肉の強化を図る。
そうしないと、いわゆる「ねこ背」になり、病気の原因になります。
人体力学という本を読むと、病気には直接的な症状ではなく、その原因となる遠因が存在すると書いてあります。
その原因のなかで、もっとも多く指摘されているのが、この肋骨の弱体化。
ええっ、こんな病気まで?と驚くほど、実に多くの病気の遠因となる。
9対3の呼吸法では、「吸うとき」がポイント。
胸を張る感じにして、大きく息を吸い込む。
この繰り返しで、肋骨を動かす筋肉が強化されます。

長くなったので、腹式呼吸、全体呼吸に関しては、また改めて

ウォーキング 吐く方が吸うより長い

ウォーキングのときに、なぜ9対3の呼吸法がいいか、もうちょっと補足説明しましょう
(9対3の呼吸法のやり方は目次からたどってみてね)

吐く方が吸うより長い
・健康を考えた時、大きな分野として、自律神経、代謝、免疫がありますが、その中でもすべてに関連して司令塔としての役割を果たすのが自律神経。
・自律神経というくらいなので、体が勝手に自律して「いい具合」にやってくれちゃう。
・逆に言うと、意識して自律神経に対して働きかけることができない。
・唯一の例外を除いて。

・それが呼吸。
・呼吸はしないと死んじゃうから、意識して呼吸を止められないよう、自律神経が司る。
・ところが、呼吸って、「リズムを一定にする、深く吸う、吸うことと吐くことの長さを変える、腹式呼吸にする、鼻呼吸にする」等を意識して行うことができ、即、自律神経に直結する。

副交感神経を活性化する
・歩くことって、もともと「運動」である以上、交感神経が活性化する。
・「イケイケ」の神経だ。
・となると、もう一方の副交感神経の活性化を意識して図ってやらないと、バランスがとれなくなり、体に悪い。
・交感神経が優位になりすぎると、活性酸素という毒性のある物質が発生してしまう。
・大体、世の中に出回っている「スポーツは体に悪い論」はこれを根拠にしている。

吐く=副交感神経
・吸う=交感神経を、吐く=副交感神経を優位にする。
・「吸う」は「やったるで」であり、「吐く」は「おだやかに」な訳。
・通常は、バランスとしてほぼ同じなので、とくにどっち優位にも働かない。
・意識してバランスをかえてやる。
・「吐く」を「吸う」の倍、ないしはそれ以上にして、ある程度継続させると、副交感神経が活性化する。
・また、同じ呼吸のリズムを刻み続けるとか、深く吸うことをすると、気持ちが落ち着いていくから、副交感神経が活性化される。
・深呼吸で、気持ちを落ち着かせるというのは、手っ取り早い方法で、皆さん経験あるでしょう。
・9対3の呼吸法は、かなり深呼吸をせざるを得なくなります。
・やってみていただければすぐに分かりますが、9-3の6の部分を普通より多く吐かないと成り立ちませんので。

心肺機能の強化
・2つめの根拠は「心肺機能の強化」です。
・呼吸法を組み合わせないウォーキングは、筋肉強化にしかなりません。
・もちろんそれはいいことなのですが、「健康」のためのウォーキングとなると、もっと体全体を良くする必要があります。
・体の中から健康になる必要があります。
・体全体をよくするためには、代謝を良くする必要があります。
・60兆個の細胞全てに、栄養分と酸素を届けてやる必要があります。
・そのために、心臓と肺を鍛えてやる必要があります。
・深呼吸を余儀なくする9対3の呼吸法こそ、健康のためのウォーキングの「決め手」です。