六義園は和歌のテーマパーク。その2

昨日は六義園の前半でした
六義園は和歌のテーマパーク。その1

吹上の松

この松は園内で、99%柳沢吉保時代からずっとここにいる松です

不知汐路
⑨不知汐路(しらぬしほぢ)
わかのうらやしらぬしほぢにこぎいでて身にあまるまで月を見るかな
(和歌の浦のどこに流れていくかわからない汐路に漕ぎ出でて、自分にとって十分過ぎるほど、月を眺めようか)
藤原光俊朝臣 続古今

しらぬしほぢを通っていくと、そこは中国
ここから見た山が
安倍仲麻呂の
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いでし月かも

ようやく百人一首が出て参りました。
遣唐使で中国に行った、安倍仲麻呂がようやくもうすぐ帰れるという時に
故郷を懐かしんだ歌

あの月は、日本の月と一緒なんだなあ

六義園って漢詩の6種類のこと
「風」「賦」「比」「興」「雅」「頌」
これは、そのまま和歌の種類にも当てはまるんですよ
と言ったのが、紀貫之(きのつらゆき)
そえ歌・かぞえ歌・なずらえ歌・たとえ歌・ただごと歌・いわい歌。
六種(むくさ)と言います。

柳沢吉保も中国と日本の歌の道は一緒と言いたかったので
中国から見た、日本と同じ月

中国ゾーンでは、今は枯れちゃっていますが、蓮池
蓮を見ながら、安倍仲麻呂とその友達、李白が酒をくみかわした。
出ましたよ、蓮池
極楽浄土、浄土式庭園ですね

秋には見事な紅葉になるこの場所

中国の王子猷という人が
雪の積もった月夜の日に、
一人で見てるのももったいないなあ
友達んちで酒でも飲むかな

舟を繰り出した。
家の前まで行って

やっぱりやーめた

帰ってきちゃった

なんで?

興が乗ったから行ったが
興が乗らなくなったから、帰ってきただけのこと

衣通姬
⑩蛛道(ささがにのみち)
衣通姬(そとおりひめ) 古今
わがせこが来べきよひなりさゝがにの蜘蛛のふるまひかねてしるしも
(今宵はいとしいあのおかたが来てくれそうだわ。縁起の良い(ささがにの)クモがいたんですから)

細くて長い蜘蛛の糸のような道です。

衣通姬は神様です。
和歌の神様。
絶世の美女でした。あまりにも美しく、着ていた衣を通して輝いて見えるほど。
かぐやひめみたいですね。
六義園は、この和歌の神様を祀っている神社のような役割も担っています。

藤代峠
藤代峠(ふじしろとうげ)
僧正行意 続後撰
ふぢしろのみさかをこえて見わたせばうすみもやらぬ吹上の浜

和歌山の藤白峠を模しています。
山の手線内で2番目に高い山。(一番は戸山公園の富士山)

見事な眺めです。

ツツジの時期は、この下がツツジで満開になる筈ですが、
惜しい!若干時期が遅かった。

やっぱり、柳沢吉保は大したもんです。
公園内に山作る場合は例外なく富士山だったんですけどね
富士山外しますか
しかも、藤白峠って、こりゃまたえらいものを持ってきました。

孝徳天皇の皇子として生まれながら政争に巻き込まれ、処刑された有間皇子
その処刑の場所なんですね。

謀反をおこすことをそそのかされて、ばれちゃって
中大兄皇子、後の天智天皇に処刑されちゃうんですね。
19歳です

処刑の前に詠んだ歌です。

家にあれば 笥(け)に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る
(家にいれば器に盛って神様に供えるご飯を、こういう旅だから椎の葉に盛ることだ)

渡月橋(とげつきょう)
後堀河天皇 新勅撰
わかのうらあし辺のたづのなくこゑに夜わたる月のかげぞひさしき
(和哥の浦の蘆辺にいる鶴の鳴く声がして、夜の間に渡ってゆく月の光が寂しく照り続けている)

宿月湾(つきやどるわだ)
源親長朝臣 新千載
玉津島やどかる月の影ながらよせくる浪の秋のしほ風

奥の橋が渡月橋で、手前のところが宿月湾

ここも、藤代峠同様、最も有名ところを外してきます。
この渡月橋は京都の渡月橋じゃないんです。

和歌の浦で詠まれた歌に従って、そこに渡月橋という名前の橋がある訳じゃないけど
情景として、月が渡る橋としての渡月橋

京都の渡月橋って川面に映る月影が、橋を横切って反対側に渡る。
六義園の渡月橋の場合、中秋の名月の時、宿月湾に渡月橋の影が映るんだけど
その上を月が移動していく
こういう事ね

見てみたいなあ。

おでかけマップ
[庭園]シリーズはこちら(少し下げてね)

カタバミ

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