[神社]縄文時代からの、おむすびの神様

前回、イザナギがよみのくにから帰ってくるところまでお話ししました
このあと、アマテラスオオミカミやスサノオノミコト等の超大物が誕生する訳ですが
その前に、ちょっと戻って造化三神の話をもう少ししておきましょう

造化三神
こちらに書きました、イザナギイザナミよりもっと前の、最初の神様。
[神社]日本誕生のその前
造化三神は
天之御中主神(アメノミナカヌシ)
高御産巣日神(タカミムスヒ)
神産巣日神(カムムスヒ)

この内、アメノミナカヌシは名前だけしか出て来ません。
残りの二人は、後々再登場します

どちらにも「ムスヒ」が付いています。

「ムスヒ」の表記は、産巣日、産霊、産日、武須毗、武須比などさまざまです。
「結び」もそこから派生した言葉だと考えられます。

「結び」に派生したこと自体かなり昔で
万葉集ではすでに混在して使われています。

「ムスヒ」とは、「苔生す」などの用例もあるように、芽生える、発生するという「産生」の意味になります

再登場するタカミムスヒは天岩戸開きを指示して夜明けをもたらし、
カミムスヒの方はオオクニヌシを生き返らせたことから「蘇生」の意味も持ちます。

すなわち、万物の生成発展に寄与する力であり、神道の根元思想です。

ムスヒのひは漢字で書くと「靈(霊)」
「精霊」のことで、自然崇拝の本質です。

霊の旧字である「靈」は、元々の漢字の成り立ちとしては雨乞いを意味します。
「靈」という文字の象形は、地上で巫女が祈り、
降り注ぐ雨をたくさんの器で受ける様子を表しています。

後に、神霊を降下させることそのものをもいうようになり、
わが国では当初よりその意味で用いられました。
「ムスヒ(産巣日、産霊など)」が神名に含まれる神は、
ムスヒの働きをする神々のことであり、
神々の大本となる原初の神です。

皇居内には宮中三殿(賢所、皇霊殿、神殿)の神殿には
天神地祇および天皇守護の八神が祀られていますが、
八神のうち五神は「ムスヒ神」です(神産日神・高御産日神・玉積産日神・生産日神・足産日神)。

ムスヒ二神は神話の冒頭に登場することから、
神々の系譜においても祖神を示すもの。
すなわちムスヒ神こそは、弥生以前の神であって縄文の神です

折口信夫に『産霊(ムスヒ)の信仰』という特別講義があります。
幕末の国学者たちがこぞって「ムスヒ」の研究に手を付けたように、
最晩年の折口もついにはこれに至ったものと思われます。

ムスヒの神は、天照大神の系統とは系統が違う
もっと前の神様です

イザナミを死に至らしめたカグツチ(火之迦具土神)の別名
日本書紀では火産霊(ホムスヒ)と表記

次の時代へのバトンタッチを意味しているようにも取れます

ちなみに「ムスメ(娘)」は「ムス・ヒメ(産す姫)」の短縮形で、
ムスヒのヒメであることの証し。

「ムス・ヒコ(産す彦)」すなわち「ムスコ(息子)」はその対置語として生まれています。
むすこ・むすめというのは、とても古い言葉
きっと、縄文時代から使われている言葉でしょう

「おむすび」もやはりムスヒから派生した言葉
お米一粒から稲穂が産まれ
その稲穂が何百と重なってできたものがおむすび
無数の命を結びつけたもの
おむすびは縄文の神様だ、と思いながら食べてみると
みるみる力が沸いてきます。

[歴史]シリーズはこちら(少し下げてね)

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