庭園で極楽浄土に行けますよ

前回、庭園の基礎、分類の話をしました。
庭園の愛し方

どういう鑑賞の仕方をするかを中心にした分類

今回は、庭園で何を表わそうとしているか、を中心にした話になります。

浄土式庭園
庭園の作り方にも流行りがあって

ある庭園が流行ると
良いね良いね、って
似たような感じの庭園が作られる。

後の時代になってある頃流行った庭園たちをまとめて
何とか式の庭園、みたいに名前をつける

そんな名前のつき方で名前がついたのが、浄土式庭園

平安時代の後期に、末法思想というのが大流行する
この大流行にはちゃんとした理由がある

お釈迦様が死んだあと、1000年間は効き目が長持ち。
フマキラーみたいですね。

1000年越えると、ちょっとやそっとじゃ往生できない「末法」という時代に突入する
往生出来ないと、地獄に行くか、その辺をふらふらさまよう。
次に世の中を救ってくれる救世主が現れるのは弥勒菩薩(みろくぼさつ)

お釈迦様が死んだあと、実に56億7000万年後
ちゅうことは、56億6999万9000年間は末法。

真っ暗闇じゃあござんせんか。

そこで、極楽浄土に導いてくれる阿弥陀如来が大流行。

どうも、「観想」といって、頭の中に極楽浄土を明確にイメージ出来れば大丈夫らしい。

みんなイメージトレーニングにやっきになるけど

だめですぅ
見たことないから良く分かりません。

関白、藤原頼通

良いこと考えた!
目の前に極楽浄土を作っちゃえば良いんだ。

作ったのが、平等院。
10円玉ですね

天才!
さすがは関白

♪お前を嫁に
それは、関白宣言ね。

当麻曼荼羅
良いのあったよ。当麻曼荼羅(とうままんだら)
極楽浄土の絵
どうやって見てきたのかは、ちょっと置いておきましょう。

何だか建物が書いてあるような
そのまま作ろう

庭園
そのあと、続々と各地で作られる浄土式庭園とはどのようなものか
池には、蓮っていうのがひとつの特徴ですが
それ以外でいうと
キーワードはお日様です。

古今東西、太陽が偉大なのは当然ですが
日本は神様とお日様が密着していますね。
日の丸、天照大御神、ひみこだってそうですね。
日本という国名がそもそもお日様です。

お日様が上がって、現世に生まれ
お日様が沈むところが極楽浄土。

真西に阿弥陀如来を祀る阿弥陀堂を真東を向けて建てる
その前に池を作り、西側を彼岸(ひがん)と呼び
東側を此岸(しがん)と呼ぶ
彼岸はあの世、此岸はこの世ですね。

橋を渡して阿弥陀堂に渡れるようにする場合もあります。

自然暦と言うんですが
それだけじゃなくて、色んな仕掛けを作るんです。

夏至、冬至、春分、秋分がちゃんと分かるようにする
夏至の日は、この場所に立つとあの山の頂上にお日様が沈むとか
春分の時は、薬師堂の丁度てっぺんから日が昇るとか

平等院なんてものすごくて
庭園だけじゃなくて、その地域全体を自然暦にしちゃいます。
平等院からみて、夏至の日の出が仏徳山山頂から昇り、
冬至の日没は県(あがた)神社に丁度。
宇治神社も夏至の時の方角。

夏至の日に、鳳凰堂正面の扉を開くと、
仏徳山山頂から昇った直後の日光が
池に反射して堂内に入り
阿弥陀如来座像の天蓋にある銅鏡に再び反射して
暗闇の中の阿弥陀様をスポットライトのごとく浮かび上がらせる

さらに鳳凰堂天井の66枚の銅鏡が光を集め
背後にかけられた雲中供養菩薩一体一体を見事に照らし出す

そんな仕組みになっていたんだということが判明したんです。

おお!
ワンダフルイリュージョン

一年に一回の夏至のためだけの仕掛けですよ
なんて豊かな、贅沢な考え方なんでしょう。

これを作った関係者達は
毎年夏至のたびに集まって
鏡の角度を微調整したんでしょうね

もうちょっと左

今年は曇っちゃったね
また来年集まりましょう。

こういった自然暦の考え方は
四季とりどりに趣を変える庭園に彩りを添えますし

庶民の農耕には欠かせないんです。
お日様があの屋根のあの角から上がったら田植え開始だっ

改めて、昔の人の前向きなパワーに感心しちゃいます。

末法です。真っ暗闇です。
普通なら、うなだれて下向いちゃいそうなのに

極楽浄土に行く方法を作り出したばかりか
庭園で、四季折り折りを楽しみ
さらに、農耕の仕事にも活用する。

三倍返しです。

ノストラダムスの大予言とか、2000年問題の時とかも
世紀末式庭園とかを作るべきだったんですね。




索引はこちら
[庭園]シリーズはこちら(少し下げてね)

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  1. ピンバック: 寝殿造り系庭園の特徴 | でーこんのあちこちコラム

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