[てんてん] 濁音は積極的に避けられた

[てんてん]日本の文字の始まり
[てんてん]昔、日本語に濁音はあったのか
の続きです。

穢れ
濁音の特色って何だろう

一番分かりやすいのはオノマトペでしょう
擬音語とか擬態語とか言われているもの

サラサラ ザラザラ
スルスル ズルズル
コツコツ ゴツゴツ

清音の方は清らかだけど、濁音の方は汚いイメージ
清音と濁音という漢字自体、そう言ってます

オノマトペじゃなくても、傾向として
ゴミ、ガラクタ、クズのように、汚いものに濁音がついたりします。

古代から平安にかけて、神様というのが、生活や政治の中心にあり
穢れ(けがれ)というのを極端に嫌ってきた
神社に入るときは、手水舎で手を洗いますが
あれはウィルス対策ではなく、穢れを落としている訳です。

前回、連濁の話の中で、濁るかどうかは人により地域により時代によりまちまちだから
清音の文字だけで表現していても読み手が勝手に解釈できるという事を言いました。
さらに言うと「ほ」と「ぼ」ってほぼ一緒だなと認識していた訳です。

分かりました?
「ほ」と「ぼ」は、ほぼ一緒
うまいこと言いましたね

ここまでは必要性の問題です。
漢字を当て字にした万葉仮名で、清音と濁音が別々の文字だったのに
崩し字になったり部分を取ったりして、平仮名片仮名ができる時点で
70個を作らずとも、50個で良いよね、分かるよね、と

さらに、積極的に、
穢れを嫌うがゆえに
濁音の文字を作りたくなかった

いまだに百人一首の下の句の札には濁音がないと言いました

和歌の世界は特に穢れを嫌うからです。

でも不思議ですね
そう言われると、
下の句の札には濁音が付いてないけど適宜補って考えてね、
なんて説明は一度も受けたこと無いのに
なぜか「はいっ」って取れちゃいましたからね
ほぼ一緒だからでしょうか

不便
まだ、仮名が出来立ての頃は、「てんてん(゛)」の濁点が開発されていません。
正直不便です。

読む側が、濁音として読むべきかどうか考えながら読まないといけません

そっちはざらざらだけど、こっちはさらさらなので良いね
と言おうとすると
そっちはさらさらたけと、こっちはさらさらなのて良いね

何言いたいねん

ところが、これをむしろ楽しんじゃおうというのが昔の人
当時「仮名は読みなし」という諺があり
勘違いした笑い話を楽しむ

明確に相手に伝えるより、ぼわっと漠然とした感じで伝えることを良しとした。
「もののあはれ」はそういった事も含む

上から読んでも下から読んでも同じという、回文も出来やすい

なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな
(長き夜のとおの眠りの皆目覚め波乗り船の音のよきかな)

お正月に紙に七福神の宝船と共に書いて、枕の下に置いて寝ると良い初夢が見られる回文
これも濁音無視のルールあっての賜物です。

次回は、漢字や中国語、と日本語の関わりの時代的な変化から
進めて参ります。

[仮名]シリーズはこちら(少し下げてね)

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