[三十六歌仙]6 小野小町。99首の歌

有名人が続きます。

小野小町

わびぬれば 身を浮草の 根を絶えて 誘ふ水あらば いなむとぞ思ふ

((そうですね)わび住まいの憂き身の上ですので、浮草のように根を断って、誘ってくれる水でもあれば、そのまま流れていってしまおうと思います)

(そうですね)から始まっていて意味が分かりませんね
シチュエーションを説明します。
小野小町は以前文屋康秀(ぶんやのやすひで)と付き合っていた
元彼って感じでしょうか

百人一首でいうと
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ
小野小町も文屋康秀も六歌仙の一人です。

その文屋康秀が三河の国に赴任することになった
一度下見に行きましょう
そういう時に、小野小町に歌を渡す。

一緒に行かない?

その返事です。

良い感じですね。
ほんとに行く気はないかも知れませんが
「何言ってんのよ、あんたなんて10年早いわよ」的歌よりも
情が豊かです。

こういう軽いジョークのやり取りは、どんどん奨励されるべきです。
今だと、セクハラになっちゃうから、面白くもなんともない。

セクハラ防止法(?)を改正し
セクハラはしてはいけません。但し、短歌のやり取りを除く
にすべきです。
そうなると、次女にも短歌の猛特訓をさせましょう。

百人一首だとこれです。
花の色は うつりにけりな いたずらに わが身夜に降る ながめせしまに

小野小町が生まれたのは今の秋田県湯沢市
幼い頃から歌や踊りはもちろん、琴、書道となんでも上手にこなし、
13才の頃には都へのぼり、都の風習や教養を身につけました。

宮中に仕えるようになった小町は、
その容姿の美しさと優れた才能から多くの女官中、比類なしと称されます

退官後は、故郷に戻り、歌を作りながらひっそりと暮らします。

そんな小町を想っていたのが、深草少将
小町に会いたさから郡代職を願い出て、都から小野の里へとやってきました。

会っていただけませんか

わたしを心から慕ってくださるなら、
高土手に毎日一株づつ芍薬を植えて百株にしていただけませんか。
約束通り百株になりましたら、あなたの御心にそいましょう

なんて高慢ちきなと思うなかれ
事情があったのです。
その時、疱瘡を患い、顔にできもの
なんとか時間稼ぎをして、きれいな顔でお会いしたい
乙女心です。

深草少将は、芍薬を持っていっては植え、99日間

小町は小町で磯前(いそざき)神社の清水で顔を洗う日々

いよいよ、100日という日は運悪く大嵐
それでも休んでいる訳にはいきません。
約束の100日目
芍薬を手に、ずぶ濡れになりながら。

ところがちょうど橋を渡っているその時に
鉄砲水で橋ごと流されてしまったのです。

小町は深い悲しみに暮れ、少将の亡骸を森子山(現在の二ツ森)に葬ると、
供養の地蔵菩薩を作り向野寺に安置し、芍薬には99首の歌を捧げました

思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを
(あの人のことを思いながら眠ったから夢に出てきたのだろうか。夢と知っていたなら目を覚まさなかったのに)

[短歌]シリーズはこちら(少し下げてね)

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