和田英の富岡日記、やっぱり有名なのか
の続きです。

和田英の富岡製糸場での日記
強制労働させられた女工さんたち、というイメージを一気に覆してくれたこの日記
読んでいてもとても楽しい

一にも二にも英さんの性格なんだと思う
この人だったら、どこでどういうことしても楽しみながらやれるんだろうな

製糸場へ
前回のおさらいから

国の威信をかけて出来上がった官営の富岡製糸場
女工さんの募集があるが応募が全くない

長野県での人材募集係りはお父さん

悪い噂が蔓延していたけど
興味津々の少女、横田英（和田は結婚後の姓）は
やりたいやりたい

そうすると不思議なもので、英の耳に入ってくるのは良いことばかりになる
あちらへ行けば学問も出来る、機場があって織物も習われると、
喜び勇んで日々用意

そうすると、あまりにもニコニコしているので
よほど良い場所なんだという噂になり
英さんが行くのならと、申し出が増えていき
英のお姉さんも含め、16人にまでなりました。

この時、英は17歳

富岡製糸場

最初は新人なので、まだ糸を作る操場には入れさせてもらえません
まゆを選り分ける場所

選り分ける作業もなかなか難しく一苦労
でも慣れてくると退屈で退屈で
少しでも喋ると、ベランというフランス人の監視役が
「日本人娘、大変怠け者おります」

眠気も襲ってくるし、一日の長いこと
あまりに退屈なので誰かが蝿を捕まえ、羽根をもぎ
まゆの先をゆわえつけると、糸が引っ張られつーっと
一同大笑い

それを見た監視の高木さんも大笑い
でも、急に真面目になって
誰がやりましたか

みんな、シーン

いつになったら、操場に出してくれるのか、高木さんに聞くと
今度山口県から20人ほど入るので、そうなると入れ替わりで出してくれるとのこと

その日を待ちに待って、とうとう山口県からの人達が到着

一堂大喜び

すると、どうしたことか、山口県からの人たちは、まゆえり場へ入ることなく
いきなり操場に

一堂思わず泣き崩れてしまいました。

何を泣いているのか聞かれて、事情をるる説明

それは申し訳なかった。フランス人が間違えたので
もう少し我慢してくれないかとのこと

何とか気を取り直して、4～5日たつと
呼ばれて、操場に
みんな糸揚げをやらせてもらえる事になりました。

糸揚げ
これがものすごく難しい
プツプツ切れてしまい、なかなか糸になってくれません。

丁寧に教えてくれるのですが
どうしても切れてしまう。
格闘の日々が始まります。

ここで、英が取った解決策がとても面白い。
日記の文をそのまま紹介します。

「毎朝人より一時間位早く起きまして、
両親兄弟姉妹その他の心願を一朝もかかさず祈念致して居りましたから、
このような時も神の御力を願うより外はないと存じまして、
糸を揚げながら一心不乱に大神宮様を祈って居りまして、
南無天照皇大神宮様この糸の切れませぬよう願いますと、
このことを申続けまして、少々切れぬことがありますと全く神の御助けと信じまして、
その間は大枠と大枠の間の板に腰をかけまして、
糸を見つめて両手を合せ指と指とを組み、大声に申しつづけて居ります。
しかし蒸気の音が実にひどう御座いますから、そばに居る人にもわかりません」

静岡から来た、今井おけいさんという人が
「あなたは毎日何を言ってなさるのです？」

あまりに何度も聞いてくるので、ついついしゃべりますと
可哀想だと、最初のところを手伝いながらやってくれた
不思議。
切れずにうまくいった
見ていた隣の釜の人も手伝ってくれる

これもひとえに神様のおかげ

その後も神様に感謝しつつ頑張っている姿を見て
いよいよ糸とりの係りに回してくれる事になりました。

ほぼ同時期に、一緒に行った同郷のみんなが糸とり係りになった。
神様への信心はその後も続くんだけど
面白いのは、みんなが大神宮様を信じるようになったこと

日曜日になるとみんなで、一ノ宮へ参詣致して、業の上達致しますように祈り
昨日はうまく行っただの、切れただのとペチャクチャ
楽しくて楽しくて
夜が開けるのが待ち遠しい。

このあとも続きます。
続きはシリーズの次回ね

[人物]シリーズはこちら（少し下げてね）