[日本語の発音] ゐ、ゑ、を

[日本語の発音] 奈良時代に母音は8個あった
[日本語の発音] ハヒフヘホはパピプペポ
[日本語の発音] 発音通りに書いた時代
の続きです
「日本語の発音はどう変わってきたか」からの引用です

平安時代の後期

いろはにほへとちりぬるを わかよたれそつねならむ
うゐのおくやまけふこえて あさきゆめみし ゑひもせす

日本人なら誰でも知っているいろは歌
いろは四十七文字をひとつずつ使いつつ、仏教の教えを説いたとても優れた歌

色は匂へど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ
有為の奥山今日越えて 浅き夢見じ酔ひもせず

(すべて形〔色〕あるものは滅び去る。この世の誰が永遠の命を保つというのか。
諸行無常・有為転変の真理を説く仏教の奥山に今日分け入って、
軽薄な夢を見まいぞ、現実に酔いしれることなく)

現代人にはまず違和感があるのは、ゐとゑですね
現在の「イ」の発音には「い(i)」と「ゐ(wi)」があり
現在の「エ」の発音には「え(ye)」と「ゑ(we)」があった
現在の「オ」の発音には「お(o)」と「を(wo)」があった

母さんが、よく、それはどっちの「い」やねん、いは二種類やで
と言っていたのを思い出します

いろは歌が作られた時には、別々の発音だから、別々の音が当てられていたということになります
ところが、平安時代後期には、発音が一緒になってしまい「i」と「ye」と「o」に統一されてしまう
平安時代の中頃は「ye」だったんです
yesterday の発音のyeです
平安時代の後期に、「ye」は「e」に変化します

発音は統一されますが、文字は統一されなかった。
そのあと、昭和に至るまで、ずっと二種類

統一前は「をかし」は「wokatsi」と発音していたからそのまま書けば良かった

統一後の人々は、耳で聞いたことばを文字に書き表そうとしたとき、
どっちで書くべきか悩み続けることになります
この問題を「仮名使い」の問題と言います
助詞についての仮名使いは以前にも書きましたので、よろしかったら
を は へ、変な助詞には歴史がある
は へ 、には長い歴史が

室町時代に来日した宣教師が作った辞書では、音の区別が無いことが明確に分かります

ハ行
ハ行が最初はパピプペポの発音だったという話はしました
それが、平安時代になると、fa、fi、fu、fe、foになる
2音目以降はwa wi u we wo
ここは、wa i u e o に統一

1音目のfa、fi、fu、fe、foはというと
平安時代の後期には、ha hi hu he ho
そうです。今と同じです
1音目も2音目も今と同じ

ハ行の発音の変化の長い旅はここで終結するのです

[日本語]シリーズはこちら(少し下げてね)

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