[百人一首]77 瀬をはやみ~。鬼が作った歌

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむとぞ思ふ

川瀬の速い流れが、岩にせき止められてふた手に別れても
いずれ一緒になるように
今は別れていても、いつか一緒になるつもりだよ

崇徳上皇
来ましたね。超大物
鬼ですね。
可哀想な日本人、歴代トップです。
日本三大怨霊の他の二人
平将門、菅原道真を寄せ付けぬ恨みっぷり

この人の怨念の深さは、とてもさっとは説明しきれないので
まず、前提の保元の乱を説明しました。
ややこしい、保元の乱ってこんな感じ
以前、こんぴら様の説明の時もお話ししました。
金毘羅さまはしゅらしゅしゅしゅ

保元の乱に負けた訳で
それまでのいきさつがどうあれ、戦に打って出て
負けたとあれば、敗者の扱いを受けるのは当然。
讃岐に流罪にされます。

ところがその扱いが、それにしてもあまりと言えばあまりの扱い。
天皇だった人なのに。

でも、負けた訳だし
と崇徳上皇も反省し
写経をして、京都に送る。
はい、反省しております。

ところが、
京都からの返信は破られてそのまま送り返し

それを見た瞬間から

うおおおっ
私は
私は、鬼になろう

生きながらにして鬼になると宣言し
鬼になるための努力をした人はこの人ぐらいじゃないでしょうか

髪も切らず、爪も切らず
人間的な生活は自ら全てたちきって
怨みのためだけに生き
最後の総仕上げに
舌を噛みきり
その血で、怨みの呪文を書きつける
「我、日本国の大魔王となり、天皇家を呪う」

反撃
死んだの? あっそう
京都では、元天皇としての葬儀を一切しなかった。
完全無視。

ところが、ここから、崇徳上皇の怨霊が猛反撃を開始します。
後白河法皇、藤原忠通、の関係者がことごとく不審死を遂げる。
京都の町は大火に見舞われる。
次から次からおかしな出来事が起きる。

これは、もう怨霊の仕業に違いない。
菅原道真の例もありますし。
民衆もそら怨霊だ、やれ怨霊だ。

どないしょう。

大丈夫、菅原道真の時の前例があります。
天神様として神様にして祀ったら
逆に強力に国を守ってくれましたよ。

そうなの?
良いこと聞いた
ってことで
罪人扱いを解き、「崇徳院」という称号を与え
保元の乱の古戦場に「崇徳院廟」を設置
菅原道真の天神様のように、こんぴら様として厚く敬っていくことになります。

すごいのが、700年もたった、明治維新。
ようやく、その後、武士に取って変わられた政権が
朝廷に戻ってきた。

明治新政府はどう考えたか。
長きに渡って天皇家が実権を持てなかったのは、崇徳院の怨霊のせい
讃岐に勅使を遣わして崇徳院の御霊を京都へ帰還させ、
白峰神宮を創建しています。

そして、その後、節目になる年には日本に良いことが起こっているそうです。
東京オリンピックとか。

面白いですね。
日本独特なんでしょうか、この発想。
非業の死を遂げた人は怨んでるにちがいないから、逆に神様にしちゃおう。

えっ、そんなんで解決できるんだ。

ねえねえ、怨んではると思うけど
今後、神様とさせてもらいますんで。

あらそうなの?
それやったら、怨みは全部忘れて
誠心誠意、神様として守らせてもらいますわ。

鑑賞
歌を見てみましょう。
昔からかなり人気の高い歌ですね。
落語の題材にもなるほど。

悲恋の思いを歌った歌
生まれ変わったら一緒になろうね
冬ソナのような世界。

ただ、もちろん、藤原定家が崇徳上皇の作品としてこれを選んだのは
「もうひとつの意味」があるからに決まっています。

われても末に あはむとぞ思ふ

鬼となった崇徳上皇の復讐の歌です。

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