西郷隆盛。不思議で複雑で不可解な征韓論

西郷隆盛シリーズの4回目です。

西郷隆盛。なぜ江戸城総攻撃を中止したか
西郷隆盛。薩摩藩へ
西郷隆盛。中央政界で大親分。

征韓論
どうにも難しいですね。征韓論
読む資料によって、征韓論の捉え方が全然違う。

そもそも、征韓論ってどういう所から始まったか

仲良し
仲良し女子高生二人組がいるとします。
大体彼女たちは、彼氏作らない同盟を結びます。

幕末の時期の日本と朝鮮(韓国)は大の仲良し
開国なんて、とんでもないよね
そうそう、攘夷に決まってるわね

ところが、「裏切り者」が出ます。

その裏切り者が看板を変えて、
開国しなさいと行ってきたりします。

あなた変わったわね。
以前のあなたじゃないわ。

まあ、そうなんです。

朝鮮は、日本に嫌がらせを始め、
二人の仲は最悪に。

日本としても、そんな事されると我慢できないわ

と、そういうことです。

留守組
この問題が持ち上がる前は、うまく行っていたんです。
岩倉具視使節団の鬼の居ぬ間に、ガッシャガッシャ洗濯して
西郷隆盛は、やれやれ。わしが責任を持つ。

留守組の中で、意見が割れてしまった。
強行派と穏健派。
ここで一つ目の「ふ」「不思議」です。

今までほとんど前に出てこなかった西郷が、前に前にと出てきます。

わしが朝鮮に行って話つけてくる。

強行なのか穏健なのかどっちのつもりで言っているのか、良く分かりません。
ここが、読む資料によって大きく違ってくるところです。
確かに、戦争を仕掛けてくるとは一言も言っていません。

ひょっとすると、あの江戸城無血開城の前例があるので
自分が行けば、平和裏に解決できると純粋に思っていた可能性がある

でも、当時の大勢の見方は、
それなりの誰かが行けば、絶対に朝鮮はただでは帰さない。
そうすると、それを理由に宣戦布告が出来る。
すなわち強行論の第一歩。

そんな危険な役回りを
我らが西郷どんにやらせる訳にはいかん。

でも、あまりの強い主張に、みんなたじたじ
せめて、海外渡航組が帰ってくるまで決定は待とうという意見にも

とんでもない、そんな事じゃ、我々の存在価値はゼロに等しい。
どうしてもそうだというのなら、いなくても良いわけだから
全員荷物をまとめて田舎に帰れ。

とうとう、
西郷どん、よろしく
に、決定する。

ここから、二つ目の「ふ」どんどん「複雑」になっていきます。

帰国
海外渡航組が帰って来るんです。

えっ、そんな重要な事を決定したのか
重要な事は決めずに待っていろと言った筈

お前達は海外を見てきていないから
そんな出来もしない夢物語を言っている。

朝鮮に戦争を仕掛けるだと?
バカも休み休み言え。

完全に強行論の第一歩だと決めつけての発言です。

そもそも、征韓論という言葉自体、
歴史の教科書までもが、西郷隆盛は朝鮮(韓国)を征する論を言った、と。
そう読めますね。

どうしても決定だと言うのなら
分かった。

ただし、その実行は数年後まで、延期だ。

今度は、即時か延期かでつかみかからんばかりの大激論

それでも、大激論の末には、西郷の「即時」で
またまた「決定」します。

問題ないですね。
納得です。

ところがです。
なんと、この大激論の心労がたたり
形式的トップの三条実美が病気で倒れてしまいます。

えらいこっちゃ
最後にハンコ押せば良いだけなんですけど

当時から、日本の社会はハンコがないと何ともならん世の中だったんですね

ここで、お公家さん出身のツートップ
三条実美ともう一人の、岩倉具視が
決めたことをひっくり返す、ビックリ仰天の反則技に出ます。

仕方ないので、もうひとつ上の天皇陛下にハンコもらいましょう。
そのための文章は私が作りますんで。

即時、西郷隆盛が朝鮮に交渉に行きます。
ハンコください。

で、良い筈ですね。

ところが
実行を無期延期するという、個人的意見を併記するんです。
こっち、B案ね

まだ若い天皇陛下

どこにハンコ押せば良いの

もうちょっと下
もうちょっと

B案にハンコもらっちゃった。

良くも悪くも岩倉具視という人はすごい人です。

下野
もうやっとれん
西郷隆盛、板垣退助、江藤新平、後藤象二郎、副島種臣が辞任します。

それ以外にも桐野利秋ら、征韓派の、官僚やら軍人やらがごそっと。

三つ目の「ふ」「不可解」
どうにも分かりません。
この一連の騒動

主義主張のぶつかり合いではないと思います。

征韓論へ反対だった筈の内治派が
翌年台湾に、そしてその後に朝鮮に出兵しています。
全く意味不明

詳細を細かく追っていっても意味ないかも知れません。

結局は単純な勢力争いと見るべきだという気がします。
あいつは気に入らんとかそういうこと
大久保と西郷だけなら何とかなったんでしょうが
あまりにも船頭が多くなって、
あいつは気に入らんが、ぐちゃぐちゃに入り乱れたんだと思います。

私学校
鹿児島に戻った西郷
私学校というのを作る

ここがまた、不可解
何の意図で作ったのか
西郷が実際にどの程度関わっていたのか

私学校とはいえ、実態は完全に「軍隊」と化して行きます。
鹿児島にいる人は強制参加のスパルタ的軍隊になっていきます。

鹿児島県庁を私学校が完全に牛耳ります。
中央からの指示は一切無視
独立国のごとく変貌していきます。

どっちから仕掛けたかは微妙なんですが
西南戦争に突入してしまいます。

桐野利秋らが勝手にどんどん進めて
西郷は祭り上げられてしまったという見方が大勢ではありますが
西郷としても、一連のゴタゴタで相当頭に来ているでしょうから
今となっては真意は分かりません。

最終的には「わしの体をやる」と言ってしまいます。

最後のその時は、
次回お話いたします。

索引はこちら
[人物]シリーズはこちら(少し下げてね)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です