過度のストレスが体に悪いというのは常識ですね
疑う余地はないですが、「何故ですか」と聞かれるとなかなか答えられないもの。
コルチゾールというホルモンに焦点をあてて、そのひとつの理由を考えていきましょう。
健康だけじゃなく、ダイエットにも悪いことがお分かりいただけます。
本来のコルチゾール
コルチゾールは、睡眠中あるいは、ストレスを受けたときに多く分泌されるホルモンです。
血糖値が低すぎる場合に、血糖値を上げる働きもあります。
血液への入り口で、糖分(グルコース)を血液へと流し込むための仕事をします。
適度に分泌されると強い抗炎症作用があるのでアレルギーを押さえ、発熱も押さえます。アレルギー性の病気は治す力があります。
睡眠中のコルチゾールは、午前3時ごろから明け方にかけてのレム睡眠の時にたくさん分泌され、目覚めの準備をします。
さらに、エネルギーの消費をしてくれます。
脂肪を分解する働きや、ブドウ糖をグリコーゲンにして利用する働きがあります。
これが睡眠中に心臓などの臓器のエネルギー源となります。
つまり、眠っているときにダイエット効果が得られることになります。
もうひとつのコルチゾール
そんな、正義の味方であるはずのコルチゾールは、場合によって「やりすぎコルチゾール」になってしまいます。
ポイントは、ストレスです。
ストレスがかかったときに多く分泌されるホルモンでもあります。
ストレスが適度であればコルチゾールは代謝のためにとてもいい働きをします。
ただ、コルチゾールは脳のことを愛しているようで、脳のためならどんなことでもします。
脳はストレスがかかってコルちゃんを読んだわけですから、男冥利につきるわけです。
脳は脂肪をエネルギーとして使えない特性を持っていますから、何といっても糖(グルコース)です。
ストレスのかかった脳のために、あらゆる手段をつかって糖(グルコース)を捧げようとします。
グルコースは何をするか
1.まずは異化としてのグルコース生成を助けます。炭水化物や糖分を分解する訳です。
2.次に手っ取り早い貯金に手をつけます。グリコーゲンです。グリコーゲンはグルコースに一番近いですから。
肝臓および全身の筋肉に働きかけてグリコーゲンを引っぺがします。
3.その貯金を使い果たすと、今度は中性脂肪に手を出します。
ここです。コルチゾールがダイエットのために善玉としてもてはやされるのは。
中性脂肪は、脂肪酸に戻ってしまえばグルコースには変化できませんので、コルチゾールの働きはかなり貴重です。
ここまでで終わっておけば万々歳です。
コルチゾールの働きは末代まで称えられることでしょう。
ところがさらに強いストレスがかかった場合です。
コルチゾールは愛する脳のためならと盲目的な働きをしてしまいます。
4.筋肉自体を分解し、アミノ酸→グルコースと作り出します。
脳のためなら筋肉なんてどうでもいいわけです。筋肉がやせ細っていきます。
さらにすごいことをやってのけます。ライバルを蹴落とすのです。
5.インスリンの働きを押さえます。
コルチゾールにしてみれば、せっかく流し込んだグルコースをまた筋肉に使われては元も子もありません。
「取り込み屋さん」のインスリンを邪魔して、血糖値を高いままにし、脳さんのために差し出します。
愛は報われるのか
そこまでしても、脳がそのすべての愛を受け入れてくれれば、筋肉はやせ細るにしても血糖値は正常値に戻り、ストレスも完全に解消され、まあよかったんじゃないとなるでしょう。
ところがです。
「やりすぎコルチゾール」のやりすぎたるゆえんで、往々にして多すぎるのです。
また、脳にしても気まぐれです。すべてをストレスへの対処に使ってくれるとは限りません。
「うざったい」とか「おもすぎるのよ」とか言われて愛を受け取ってくれないことがあるのです。
さあどうなるでしょう。
ライバルインスリンは邪魔されているので、血糖値が高い危険な状態が続きます。
それでも、なんとかガンバって筋肉側に糖が移ったとしましょう。
代謝の仕組みを思い出してください。
グルコースはグリコーゲンとして蓄えたり、脂肪酸→中性脂肪となったりはできますが、アミノ酸からタンパク質へは変換できないのです。
グリコーゲンとして蓄えられる量はそれほど多くありませんから、結局のところ、最初より、より多い量の中性脂肪になってしまいます。
筋肉が脂肪に変わってしまうのです。
何が言えるか
コルチゾールは何も悪くありません。
コルチゾールを「やりすぎコルチゾール」に変えてしまう過度のストレスが悪いのです。
我慢のダイエットじゃなく、楽しいダイエットじゃないと痩せないと言っているのは、こういう理由です。
健康上「危険」でもあります。
美味しいものを感謝しながら美味しく食べる
運動を「楽しむ」
ダイエットや健康のために義務的に運動しているなら、「楽しい」と思える工夫をするか、「楽しい」と思える運動に切り替えましょう。