道祖神(どうそじん)

かつて、悪霊や疫病は、村と村の境、峠、辻などから、
村に入ってくると考えられていました。
それらをはね返すために、道祖神という神様が祀られるようになりました。
「村を守って繁栄させる」という観点から、
道祖神には、五穀豊穣、縁結び、夫婦和合、子孫繁栄などのご利益も期待されるようになりました。
また、交通の要衝になる峠や道の分かれ目にあるため、
旅人が道中の安全を祈って供え物を手向けることも多く、
手向けの神との別名があります。
同様な形態の石造物は地域により、サイノカミ、ドーロクジン、ドーソジンなどとも呼ばれ、
これらを総称して道祖神とされています。
道祖神は、素朴な民間信仰から始まっており、
何をご神体とするかはさまざまです。
最も多く見られる素材は石で、
自然石を道端に置いているだけのことも珍しくありません。
夫婦和合、子孫繁栄のご利益への期待から、
陰陽石(男女の性器に似た形の石)を安置することもあります。
石造道祖神の分布は、主に本州中央部に多く見られ、
この地域では小正月にセートバレーやサギチョウ、ドンドヤキなどと呼ばれる火祭りと
道祖神の祭りとを結びつけようとする傾向が見られます。
サルタビコ
サルタビコと同一視される
男女2体が刻まれた道祖神は、
特に双体道祖神(そうたいどうそじん)と呼ばれ、
多くは『古事記』『日本書紀』にも出てくるサルタビコノカミと、
その妻のアメノウズメノミコトをかたどっています。
サルタビコは、ニニギノミコトが高天原から地上に降りた際に道先案内をしたとされ、道中の安全の神様として信仰を集めているため、
道祖神と同一視されるようになったのです。
道祖神というと、
野ざらしにされているようなイメージがあるかもしれませんが、
全国各地に、道祖神を祀る道祖神社もあります。
そこでもサルタビコとアメノウズメが祭神として祀られています。
道祖神はまた、仏教の地蔵菩薩と習合しました。
お地蔵さんが集落の入り口などに立っているのも、道祖神と同一視されたためです。
