[明治]4 松方正義。近代経済の基礎を作った人。

明治、かつ歴代首相かつ元老シリーズ
歴代首相としては、4人目です。

首相の最初は伊藤博文
次は黒田清隆
次は山県有朋

その次は、伊藤博文が再登板
と思ったんだけど、伊藤博文が辞退

大蔵大臣で、経済政策に実績のあった松方正義に出番が回ってきます。

松方正義

薩摩藩出身

薩摩閥としては、黒田清隆に次ぐ二番手

幕末にはあの生麦事件にも島津久光の側で遭遇した実力派

大蔵卿を経験し、
内閣制になると大蔵大臣
伊藤内閣、黒田内閣、山県内閣ともに、ずっと大蔵大臣

さあ、いよいよ内閣総理大臣

なんだけど
この人を首相として評価するとちょっと可哀想。
首相としては、民党の抵抗に会い
予算がどうにも立ちいかなくなって
議会を解散
初めての議会の解散です。

その後の総選挙で、民党の力を削ごうと、やってはならないことをやってしまった。
あからさまな選挙干渉

結果は、民党の優勢は変わらず。

大批判をあび、退陣します。

ところが、そのあと引き継いだ、第二次伊藤博文内閣のあと
第二次松方正義内閣

今度こそ

前回の反省に基づき
民党の親玉、大隈重信を内閣に取り込む
かつて大隈重信が大蔵卿だったとき、松方はその部下だった大蔵仲間

でも、最初から経済についての考え方が違うのは分かっていながらの見切り発車だった。

結局は、最初から分かっていた考え方の違いはいかんともしがたく、分裂し、退陣。

ただ、2度の首相経験は大きかった。
その後の元老としての活躍は、黒田清隆との立場を逆転し
薩摩閥の中で、一番手となっていく。

この第二次松方内閣まで、ほぼ大蔵大臣を独占。
首相の時も大蔵大臣を兼任した

はっきり言って、大蔵大臣としてはいくら評価してもし足りないほどのことをやり遂げた人

経済政策
最初の大蔵卿の時、作ったのが日本銀行
新紙幣を発行。

政府は明治10年の西南戦争後、紙幣をバンバン刷ります。

結果的に長期的インフレ
紙幣は金や銀に変えられる兌換(だかん)紙幣ではなく不換紙幣

インフレを押さえるため、増税や緊縮財政で松方デフレといわれる政策に転換します。
国民の生活は苦しくなり、大きな反発を招きますが
それでもやめなかった。

結果として、インフレはおさまり、結果として輸出が好調になり
経済が活況を呈し出します。

好転した財政により、銀を大量に準備し
日本銀行から、銀に交換できる兌換(だかん)紙幣を発行します。
銀本位制の始まりです。

ところが、日清戦争後、状況が変わってきました。
殖産興業により、輸出より輸入が増えていきます。

実は銀は輸出には有利だけど、輸入には不利なんです。

経済の本質が分かっている松方はそこまで見通していた。
あくまでも銀本位制は通過点。
金本位制こそが、世界的に採用されている制度
西洋と肩を並べるためには、次なるステップとして、金本位制を見据えています。

ところが政府の面々にことごとく反対される。
当時、日本で銀は豊富に産出されたが、金はほとんど採れなかった。

特に伊藤博文に反対されたのは大きかった。
民間では福沢諭吉
財界でもこぞって反対

でも持論を曲げるわけには行かない
日本は、世界の仲間入りをしなければいけない。
そのためには、誰が何と言おうと、金本位制は大前提なんだ。

一人ずつ説得していく。

とうとう、自分の第二次内閣の時、法案を通す。

決め手になったのは、天皇の言葉だった。
「従来、松方がことにあたって成功しなかったことはない
今回も、信頼して裁可する」

後年、伊藤も松方の政策が正しかったことを認めている

松方の残している言葉です。
我に奇策あるにあらず。我はむしろ奇策を忌む
ただ正直あるのみ。正直にこれを行えば、人民必ずこれを信ぜん

子沢山
奥さんは、満佐子(まさこ)さん。四男一女の5人を産んでいる
さらに、他の女性にも子供を産ませている
その数なんと、満佐子さんの5人も含め26人。

さらに驚くべき事に、満佐子さんはその全ての子を引き取り
自分の子か否かに関わらず分け隔てなく育てている。
松方コレクションの幸次郎氏は有名

天皇から何人の子供がいるのか訪ねられたとき、咄嗟に思い出せなかった。
後日、調査の上、ご報告申し上げます。

満佐子さんは、政治には全く口出ししなかったが
日本赤十字社特志婦人会を創設し、福祉活動に奔走する。
日露戦争では、戦地に出向き、負傷者の救護に当たっている。
松方正義は日本赤十字社の社長に就任した。

元老として
首相としてこそ、パッとしなかった松方だが、薩摩閥第一人者となってからは
何かにつけ多大な影響力を及ぼし続ける

そして最晩年の大仕事。
病気により公務を休みがちだった大正天皇を案じ
皇太子(後の昭和天皇)を欧州に留学させて経験を積ませ
摂政の座に付かせている。

[明治]シリーズはこちら(少し下げてね)

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