ヒトはなぜ太るのか(後編)

最初に謝ります。
「ヒトはなぜ太るのか」の本を紹介しましたが、かなりの反響をいただきました。
できるだけ早く、次回続きをとコメントしましたが、結構経ってしまいました。
いくつか理由はありますが、実は、結論に私が納得いっていないからです。
でも、自分の考えと違うからと、ポイできる理論ではない。
魅力的すぎます。
何とか好意的に考えたいと思い、何度も読み返し、自分なりの解釈も付け加えていきます。
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脂肪と脂肪酸と中性脂肪の関係
食物としてとった脂肪は粒が大きい。
血管の壁にあいた小さな穴を通り抜けられないから、分解して小さな粒の脂肪酸に変えます。
脂肪酸は、血液に乗って運ばれた上、必要なところの細胞に取り込まれます。
そこで、細胞が、このまま置いておきたいと思えば、出ていかないようにまた大きな粒に組み立てます。
それが中性脂肪。
血液から、各細胞へ脂肪酸を取り込ませるのはインスリンというホルモンの役割。
そして、インスリンは、さまざまな細胞の細胞膜上に突き出しているLPLという酵素を利用して、取り込ませます。

2つの細胞の種類で
ここでいう、細胞は大きく二つに分かれます。
筋肉と、脂肪細胞。
筋肉に取り込まれるときは、ほぼエネルギーとして消費されます。
脂肪細胞に取り込まれるときは、先程説明した中性脂肪になるのです。
(ここから)
ということで、LPLが身体中にどう分布しているかが太りやすいかどうかに関わります。
もし、筋肉の方に多く分布しているなら、とった食事はうまくエネルギーに変わります。
余らないので中性脂肪になることもないし、不足もしないので「またお腹がすく」こともありません。
逆に脂肪細胞の方に多く分布していると、中性脂肪はできるのに、筋肉側では必要な分が足りない。
余ったから中性脂肪ではなく、先に中性脂肪として取り込まれる
ちょっとまってよ、こっちはまだ足りないんですけど、と筋肉は主張し「またお腹がすいて」
また食べて、やっと筋肉側に回る。
もちろん、脂肪細胞側はどこ吹く風。
自分の分の中性脂肪を確保した上で、
いいんじゃない、筋肉さんのためにはまた食べてもらえばいいんだからって感じ。

大変面白い理論だと思いませんか。
ところが、根本的にとても大きな問題点があります。
何かと言うと、
「本にそう書いていない」ということです。
私の勝手な創作です。
それでは本にはどう書いてあるのか。

インスリン
(ここから)と書いてあるところ以降が私の創作です。
私は、物理的にLPLが体の中に「分布」しているような表現をしました。
本は、そうではなく、「活性」を言っています。
インスリンが働くと脂肪細胞のLPLを活性化させ、筋肉のLPLは低下させる。
筋肉には、脂肪分ではなく糖分をどうぞエネルギーとしてお使いくださいと渡す。
他の文献にもあたりましたので、ここまでは正しいと思います。
ここからが納得のいっていないところです。

だから、インスリンこそが私たちを太らせるのですと。
そう結論付けているのです。
インスリンの濃度が問題で、濃度を低く保たなければならないと。

すごーく違和感ありませんか。
直感的に、逆だろって叫びたくなりませんか。

インスリンはスーパーヒーロー
インスリンの働きは、必要だからやっている。
あらゆるホルモンの中でも、働きが極めて重要かつ多彩。
血液の中の糖分の割合、即ち血糖値は多すぎても少なすぎても体に害で、一定範囲に保っていないといけない。
少なすぎた場合に血糖値を上げていく仕組みはいっぱいあるのに、多すぎた場合に下げる仕組みはインスリンしかない。
そのインスリンを悪者扱いするのは驚きでもあります。
インスリンの濃度が低すぎたり、働きが十分でない時におきるのが糖尿病。
インスリンの濃度を低く保つべしってどうなんでしょう。

対策
そして、その対策、「太らない体質になるためにどうすればいいか」も飛躍している気がする。
インスリンが、多くすい臓で作られるきっかけになるのは、血糖値が上がった、ないしは上がりそうなとき。
糖分や、炭水化物を食べた時です。
だから
「炭水化物をとるのをやめましょう」

要は、世にいう糖質制限ダイエットです。
せっかく、ものすごく魅力的な展開で、途中までは斬新なのに、最後はそこに行くのかと。
炭水化物は3大栄養素の中の一角です。
それは、バランスとして、とてもまずいでしょう。
私は、食事の4つの原則を信奉しているので、
第三原則「バランスよく食べる(○○だけを食べる、○○を食べないはダメ)」で、この結論は受け入れがたい。

理由も、炭水化物を食べたらインスリンができちゃいますからやめましょうって。
飛躍しすぎでしょう。
インスリンは「取り込み屋」さんで、糖分、脂肪分、タンパク質あらゆるものを取り込んでくれる。
取り込んだ後、エネルギーになるか中性脂肪になるかが問題なのであって、
インスリンを悪者にしちゃうと、そもそも代謝が成り立たない。

ただ、糖質制限ダイエット、炭水化物抜きダイエットはかなり一般的で強く信じられていることも事実です。
その理論的根拠を教えていただきたいなと思います。

基本的には、バランスよくなのですが、あえてどれかを抜くとすれば、やっぱり脂肪分でしょと思うのですが。
代謝の仕組みでもお話しした通り、脂肪分は他の栄養素、炭水化物からもタンパク質からも作られるが、逆は出来ません。
脂肪分が体の中で果たす役割は他でも代役可能だけど、炭水化物=糖分は脂肪分からは作りえない。
無酸素運動や、脳の中で使えるのは、糖分しかない。

もう一度読んでみたいと思います。
翻訳本なので、とても読みづらく、何度も読み返す必要があります。
「脂肪調整機構」という考え方にはとてつもない魅力を感じますので。

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