あやまるのはタダ。はいゴメンナサイ

金田一先生の美しい日本語シリーズです。

あやまる
金田一先生は、日本人は感謝するのも好きだが
あやまるのも好きだと言います。

分かるわぁこれ

バスに乗っていて席を譲られた場合とか
ありがとうございます。
でも良さそうなものだけど
どうもすみません。
と言って腰をかける。

あなたが変わりに立つことになりますね。すみません。
な訳だけど
さらに言うと
自分がここに立っていたが故にあなたに気を使わせてしまった
すみません。
も含んでいる。

単にありがとうございます、よりもっと色んな意味を含んでいるのです。

谷崎潤一郎の「細雪」
失礼でございますけど、相良さんはどちらにお住まいでいらっしゃいますの?
というところを
サイデンステッカーさんが英訳するときに困ったらしい。

向こうでは住所を聞くくらいはちっとも失礼ではない。
May I ask where you live?
なんですって。
短かっ

あやまると損?
本多勝一の「極限の民族」の中の話。
外国人を家に泊めた。
ところがその家のストーブが壊れてしまった。

外国人は「ストーブが壊れました」と言う。

日本人なら「ストーブを壊しました」と言う。
なぜ日本人はそう言うかというと
そう言うと次に言われることが分かっているから。
「いえいえ、そのストーブはもともと壊れかけていたんです。
あなたのせいではないので、気になさらないでください。」

外国で事故を起こしたら絶対にあやまっちゃダメって言いますよね。
否を認めることになるからって。
次の「いえいえ、」が返ってくるか分からないとそうなっちゃいますね。

私はよく、あやまるのは只。とにかくすぐあやまりなさい
と言われて育った。
特に私はその傾向が強く、ハイハイ只只みたいなところがある
間髪入れずにあやまっちゃうので
心がこもっていないと逆によく怒られた。

絶対あやまらない人もいますよね。
カミさんはそっちのタイプ。
あやまるのは只だと思うけどなあ。

たらちね
落語は詳しくないんですが
たらちね、というのがあるんですね。

八つぁんというひとのところへ思いがけなく
お屋敷に奉公していた鶴という娘さんがお嫁に来る。
一晩たった翌日の事
「一旦、偕老同穴の契りを結ぶうえは、百年千年経るとも、君、心を変ずることなかれ」
と、大変難しい言葉で挨拶をする。
ちっとも言っていることが分からない。

ええ、何だか知らねえが、お気にさわる事があったらご勘弁願います。

何だか分からないけど、あやまっときゃ何とかなるだろう

分かるわぁその気持ち。

あやまるのはタダ。はいゴメンナサイ」への2件のフィードバック

  1. おはようございます。
    うーん、相変わらず文章の持っていき方がうまいですね~♪

    知人がイギリスに行っていたとき、
    日本人はすぐ謝ると言われて返事ができなかったそうです。
    謝るのと気遣ってるのと両方の意味があるのですが。

    でもこれは和を重んじる大和民族の特技のようですね。
    和語ヤマトを漢字で“大いなる和”にしたのはじつにアイディアです。

    「どちらにお住まいでいらっしゃいますの?」
    このツンと澄ました山の手の奥様らしき言葉も英訳しにくいでしょう。

    > 分かるわぁその気持ち。
    あはは、この言い方もうまいもんですわ~。(笑)

    • いやあ、嬉しいコメント。
      ありがとうございます。

      私に関して言えば
      昔から、競争とか、勝負事にあまり熱くならなかった
      自分が負けても、誰かが勝ったという事なんだから
      良かったじゃないですか、って

      唯一の例外が仕事で
      仕事の事だけは、人以上にやって来た。
      でも軋轢も多くて、会社もコロコロ変わった。

      結局、この歳になってやっと分かった。
      「負けない」ように頑張るって
      良いことがあんまりなかった。

      何はともあれ、ゴメンナサイ。
      はい、私が悪かったんです。
      今はそれを選ぼうと思っています。

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