[仏像の見分け方]明王とは。なに怒っているの?

仏像の見分け方
前回で、菩薩が終わり、今回から明王。

明王って何かをおさらいしておきましょう

明王
仏像は4つのグループに分かれるんでしたね
如来、菩薩、明王、天
その他、を加えて5つと考えた方が良いかも知れませんが。

明王は、その内の3つめということになります。

明王が何かを理解するためには
以前お話しした大乗仏教とか密教というのが分からないといけないんだけど
まあ、日本に入ってきた仏教は、密教という種類の仏教。
大きく言うと、ゆるーい仏教。

お釈迦様の言ったことだけガッチガチに信じましょう、ってのじゃなく
色んな考え方と混ざっても良いんじゃない?

仏教はインドなので
既に、仏教以外にも、ヒンズー教だのバラモン教だのゾロアスター教だのがあった。

密教は、そういうのとも仲良くしましょ。
言い方変えると、取り込んじゃえ。

うちの宗教、呪文とかとなえるんだけど・・
いいねいいね、さっすがー、センスいいっ
うちにもいただきっ

そもそも、うちは唯一絶対の神様なんだけど・・
ええそうなの?
こっちはお釈迦様がいるんだけど
まあ、いっか
唯一絶対の神様、採用!

おたく、とっても良い顔してる仏さんだけど
うちの神様、怒ってはるの
えっ!そりゃまたなんで
おこってるんかいな
まあ、それはそれでエエかもね
それも魅力的。

ってことで、色々考えた。

唯一絶対の神様か
そんな偉いんなら
お釈迦様と同じグループに大日如来っていうのを作ってそれにしょう

そっちにも神様いるんだったっけ
シバ神?
もう、唯一絶対の神様作ってもうたがな
怒ってはるんよね
ちょっと、違うグループということにさせてもらっていい?
その代わり、大日如来の化身ということにしますから。

天との違い

実は、4つのグループのうち、次の天も、他の宗教の神様達なんだけど
その中で、ひときわ怒っているのを、明王としてまとめた。
もうひとつ、観点があって
天は、日本の神話やギリシャ神話のように神々って感じなんだけど
元々、そういった神様たちよりワンランク上だった神様達をまとめたので
一緒というのもなんだしなぁ、ってことでグループを分けた。

二つの要素が絡んでいるから、明確な基準じゃない。
大体ね

早い話が、〇〇明王ってついてるのが明王ね
説明になってない?

怒りなや
不思議ですね
なんで、怒ってるんでしょう。

どの本見ても、なかなか教えに従わない人々を
怒った顔で導くというように書いてあるんだけど
そうかなあ

それって、そっち側の事情

導かれる側の我々として、
私はなかなか教えに従わないから
この怒っているスタイルで仏像作ろうっ
とか思う?
苦労して仏像作る時点で、かなりヘビーに教えに従っていると思うけど。

別の理由があるに違いない

基本的に、お釈迦様が始めた仏教と違い、
自然発生的に民衆から沸き起こってきた宗教なので
信仰というものはどういうふうに発生するのかという問題だと思う。

ひとつのヒントは、菅原道真の天神様とか崇徳上皇の金比羅様とか
非業の死を遂げた者の祟りを恐れて祀る。
明王に関して、具体的な人物ははっきりしない。

もっと根本的なこと?
そもそも、「恐い」ということは信仰になりやすい。

太古の日本では、山は大体神様なんだけど
山って暗くて恐いから神様という説がある。

「恐れる」=「畏れる」で神に通じる。

雷様もそう。
恐いけど恵みの雨をもたらしてくれる。
ああ恐い、ありがたや

恐い顔は、ありがたや、の象徴なのかも知れない。

もうひとつの視点でいうと
全ての仏様が慈悲深い顔だと、
物足りないと感じる人がいるのかも知れない

全員が全員、
慈悲深い顔の方が良いに決まってるでしょ
って言い張る世の中は
それはそれで、恐いかも知れませんね。

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