新しく就職した会社で、仕事が・・ない

いよいよ会社がたたまれることになり、さようなら。
新しい就職先を見つけないといけません。

ハローワークで探して面接に行きました。
面接したのはガランとしたフロア。
面接してくれたのは社長と所長。
富山が本社の会社でちょうど、東京に東京営業所を作ろうというタイミング。

今度は、面接の時にノンプログラミングの話もちゃんとしました。
これをやりたいとまでは言いませんでしたが。

ラッキーにも採用していただけました。

その会社は
日本最大手の飲料メーカーの、北陸地域でのシステムを開発している子会社があります。
H社と言いますね。
私が就職した会社はそのH社から100%注文をもらっている。
北陸だけでは仕事が完結せず、東京とのやり取りがどうしても発生する。
H社も東京に東京営業所を持っています。

所長さんは、元々富山の人ですが、家族ごと東京に引っ越して
H社の東京営業所でずっと仕事をしています。

入社して
入ったのは、私と、若いFさんの二人。
所長は別の場所での仕事なのでいません。

すぐに、客先に派遣で出るということで、
私もFさんも出先が決まっておりました。

さあ、どこへでも参りますよ。

あれっ?
入った連絡は、
プロジェクト自体が無くなっちゃった。

じゃあ、Fさんの方は?

えっ?
そっちも無くなっちゃった。

とりあえず、色々勉強しておいて。
次の客先がすぐに決まると思うから。

二人で、顔を見合わせ
まあ、そういうんだから、すぐに決まるんでしょう。

ところが
待てど暮らせど、出先が決まる気配がない。
だんだん分かってきました。

通常、そんな小さなソフト開発会社って、
自分のところで開発するような力はなく
派遣で出ていく人材が所属してますよ、ってだけのこと。

必ず、営業さんがいて、
お客さんを開拓し、
良い人材おりまっせ。

でも、どう見渡しても、営業さんはおらず
技術者が二人だけ。
頼みの所長はどこにいるのやら。

かねてから、社長は、
100%ひとつの会社に頼りっきりというのは
安定するけど、とてもこわい。
むこうの社長と喧嘩したら
次の日から会社無くなっちゃいますからね。

よし、新しい会社を開拓しよう。
でも、富山じゃそんなあからさまなことは出来ない。
東京しかないな
って発想。

おそらく、社長のつてで、たまたま二つの現場が出てきた。
これを皮切りに、東京で市場開拓だ

こんな感じ。

ところが、東京の会社なんてほとんど知らないし
そもそも、今まではほっといても仕事が舞い込んできた。
営業するという発想がそもそもない。

こりゃあかん。

どうするよ
いざとなれば、やっぱりH社に引き受けてもらえれば良かったんでしょうが
H社としても、所長一人引き受けるので精一杯。

絶体絶命のピンチ。

私は、色々苦労してきましたので
置かれている状況が分かりすぎるくらい分かります。
若い、Fさんは分かってるんだかどうなんだか。

F君さあ
やばいと思わん?

そうっすねえ

仕事知らん?

えっ、私ですか?
そんなん分からないから
ここに来たんですけど

そらそうやなあ。
今までの会社は営業さんが仕事探してくれてたもんなあ

待ってましょ

さんざん待ったで
営業いないのに、
待ってどうにかなる?

まあ、そうですけど。

提案
ひとつしか方法ない気がするんだけど

何ですか?

自分達で営業して、
自分達の出先を見つける。

えっ?
そんなことやったことないです。

俺だってないよ。
でも、仕方ないよ
それしか方法ない。

私は嫌です。
佐々木さん一人でやったら良いじゃないですか

それから
今まで、ブログ読んでいただいていた方には予想つきますよね
それからどうなったか

続きは次回ね

売れたのか、売れなかったのか

ノンプログラミングのSグリッドをみんなで売ろうってとこまで話しましたね。

給料
給料は、遅れてはいたが2ヵ月ほど、何とか出た。

ある意味、時間稼ぎが出来たことになる。

色んな意味で追い詰められる
急がなければ。

日に日に
お客さんの電話が日に日に厳しくなっていく。

はい
と言ったっきり、何もしない訳だから。

そして、やっぱり一番きついのはカミさん。
当然ですね。
分かってます。

今月は、いつになったら給料出るのよ。
早く、次探しなさいよ。

大丈夫。
次探してるから。

半分嘘で、半分本当。

みんな
みんな、すごかった。
鬼気迫るものがあった。

正直言うと、ノンプログラミングの細かいところなんて分かっていない。

でも、愛してくれた。
この商品を。
何だか訳の分からない、この商品を。

世の中になくちゃならないもんなんだって、信じて。
プログラムを作らないことこそが正しい道なんだと
その考え方に惚れ込んでくれた。

ずっと一人でやって来た。
土日にコツコツと一人で組んできた。
何年も何年も。

でも、初めて、仲間が出来た。
同志だった。

この時の事は一生忘れることがないだろう。

やっと、電話のアポがとれて
浅草橋にある会社だったなあ
やまちゃんと一緒にノートパソコン持っていった。
一生懸命、デモをした。
何故、これが必要なのか
その考え方も語った。

面白いじゃない。

でも、こんなのあると
うちのメンバー、プログラムますます組めなくなっちゃうよ。

社長
対立している相手だけど
普通に考えると敵なんだけど
考えないようにした。

誰も社長のことを口にしなかった。
口にすると辛かったから。

社長は社長で、最後の命を振り絞って
金策に走り回っていたのかもしれない。
返す当てのない借金。

もう
みんなには、もう分かってしまった。
これ以上は無理だ。
全く、生活が出来ない。

これが、テレビドラマだったら
一発逆転が用意されている。

でも、生身の
そのままの現実だった。

解散会
会社の近くの飲み屋さんに集まった。

解散会。
明日からは、100%就職活動だ。

お疲れ様。
カンパーイ。

ダメだ。
これ書きながら
思い出して涙が出てきた。

やまちゃんが

振り絞るように
振り絞るように言った。

ひとつ

ひとつ売りたかったぁ

そして、
震えて

泣いた。

男4人が、
飲み屋で、泣いた。

一番若いシステムの新人は
俺が社長やるから
会社をやらないか、って
そこまで言ってくれた。

いくらなんでも、って
説得したけど。

誇りに思う。
彼らと出会えたことを。

結果なんて、どうでも良い。

彼らと同じ目標を持てた
あの短い期間を
誇りに思う。

この会社に入って

良かった。

給料遅配から、会社がつぶれるまでの間に

つぶれることがほぼ分かっていながら
どうしてもノンプログラミングがやりたくて入った会社。

やっぱり思った通り
給料遅配になっちゃった。
結局、ノンプログラミングはひとっつもできなかった。

こんなドアホはなかなかいませんね。
心底、カミさんには悪いと思っています。
ひたすら、奴隷のようにカミさんの言う通りにハイハイと動き
罪滅ぼしをしています。

仲良し4人組
仲良し4人組で集まったところまで話しましたね。
対策会議。

対策会議って言ったって
すでに給料は遅配。
会社が復活することはない。

やることは3つ。

ひとつ
ひとつはあらゆる手段をこうじて、給料を手にすること。
当然の権利。

これは、この4人組に限らず
みんなで一致団結した。
労働者側代表は私。

労働基準監督署に何度も通った。
労基署ってすごいよ

無茶苦茶親切。
弁護士代なんて払わなくったって
ありとあらゆる色んな方法を
手取り足取り。

結論から言うと、給料が出なかった期間の分の給料。
随分たった後だけど
7割戻ってきました。
税金で立て替えてくれるのよ。

この話し出すと、長くなりすぎ
一番良い話が出来なくなるので、一旦ここまで。

給料を取り戻すノウハウは後日ね。

ふたつ、の前に割り込み
でもね。
実は、誰も社長のことを恨んでいない。
もちろん、私は分かって入ったから、私が恨むのは筋違いなんだけど
他の誰もがね。

複雑な情況があった。

実は、私が入社したあと、社長は若い奥さんをもらった。
いわゆる、飲み屋のお姉ちゃん。
出来ちゃった結婚。

飲み屋のお姉ちゃんで、イメージする、感じとはかけ離れた、
とても朴とつとした人。
奥さんとしては、社長婦人になって悠々自適のはずだった。

奥さんのお腹が随分大きくなってから
社長の様子がおかしくなった。
体調がおかしくなり、みるみる痩せていったんです。

病院に行って、分かった。
あと、数ヵ月の命。

奥さん、どうするよ。
若いのに。
そして、会社も、まもなくつぶれる。

超ワンマンな社長だった。
病気になっても全く変わらず
お前達の仕事がなってないから、
会社が傾いたと言い続けた。

みんな言いたいことは山ほどあったけど
奥さんの事、考えるとね。
気持ちの持って行き先がない。

ちょっとだけ、弱いとこ出せばね
色々あっても、最後は握手してさよならしたかったのに。
みんな、ほんとはそう思ってたのに。

対策会議に話を戻します。

ふたつ
もちろん、次の就職先探すことですね。
すぐにでも、これをやらなきゃいけないですね

みっつ
営業のやまちゃんが口を開いた。
やまちゃんは、あれ以来、何年も付き合いがつづいている生涯の友達です。

でも
佐々木はそれでいいのか?
(佐々木は私の本名ね)

俺達協力するよ

ええっ

良いのか?
給料出えへんねんで。

そんなもん
前から分かっとる。

やるべきことのみっつめ
二つ目と兼ねりゃ良い。

売れりゃ良いんやろ
自分達の給料。
自分達で稼ごうやないか。

佐々木はそれがやりたくて
こんな会社に入ってきた。

知ってる。

俺達だって、夢は見たい。

ノンプログラミングを売る
ノンプログラミング。
当時まだ、DBコンシェルジュ(でーこん)という名前ではなかった。
Sグリッド
何でエスかというとちょっとした自己主張ね
佐々木のS

翌日から全ての業務はほっぽりだす。
電話がかかってきても
はい。
今、調べてます。

東京のシステム開発の会社をリストアップ

徹底的に電話をかけまくる。
スクリプトっていうんだけど
応酬和法集。ああ言えばこう言う。
上佑ふみひろ
みんなで作って、ひたすらテレアポ。(電話アポイントメント)

デモの練習みんなでして。

もし売れたら
微々たるものかも知れないけど、
みんなで山分けね。

もし、その会社が、あっ、この会社良い会社だわ
という会社なら
そのまま、自分達も就職させてもらおうという作戦。

燃えたなあ
ご存じの通り、波瀾万丈の人生を歩んでいます。
振り返ってみて
ここっ、ていうポイントがいくつもある
宅配寿司もパチンコ屋も

この時も、燃えたなあ
みんなでよく頑張った。
ここっ、ていう
誇りの持てる期間

普通に考えて
作戦会議では
ふたつのことを頑張ろうね
で終わるはず

やまちゃんのおかげ

さあ、どうなったか
次回ね

待っていたのは社長。そして

前回、電話がかかってきたというところまで話しましたね

待っていたのは
指定の日に指定の場所に。
待っていたのは

社長だった

システム部長はどうされたんでしょう。

それがな
失踪した。

辞めたんだろうとは思ったけど
失踪したとは思わなかった。

突然来なくなって
家に行ってみたら
家にもいなかった。
家族を残して。
家族も訳が分からない。

お願いがあってね。

また来て欲しいと思っているんだ。
この前とは違った形だけど。

実は、社長にも簡単ではあるけど
ノンプログラミングのデモを見てもらったことがある。

前、見せてもらった、ノンプログラミングっていうのかな
面白かったね

やらせていただけるんでしょうか。

もちろん、そのつもりだ。

ありがとうございます。

で、違った形という意味なんだけど
今度は、社員として来てほしいんだ。
もう少し言うと
システム部長として来てほしい。

システム部長ですか。

危ない
どう考えても危険極まりないですね。
支払いが滞って、引き上げざるを得なくなった会社。
さらに、システム部長が失踪している。

末期的状況。
私は会社を潰している人間
そういったことには敏感。
まあ、どんなひとでも分かるか、この状況。

待ち合わせ場所に行くまでに
色々予想した。
失踪とは思わなかったけど
システム部長は辞めたんだろう。
私に直接声をかけるとなると
派遣ではない。
どうする。
聞きたいのは、ノンプログラミングをやらせてもらえるのか
その一点。

返事
お世話になるとすれば
お給料はどれくらいになりますでしょう。

そうだね
どれくらい欲しいかな

かなりの金額をふっかけてみた。
なにせ危険料を上乗せする必要がある
いずれにしても長くないから
会社がつぶれたら、そのあとまた就職活動をして
どこかの派遣会社にお世話にならないといけない

分かった。
その金額なら大丈夫だ。

お世話になります。
よろしくお願いします。

やっちゃった
あああ
やっちゃいました。

バカですね。
とてつもなくバカ。
ここで、はいって言うやつはいないでしょう。
なんでつぶれるのが分かっている会社に入るのか。

こういうことをカミさんには相談も無しでするから、
むちゃくちゃ怒られて
いまだに頭が上がらない。

でも、会社やるて言ったときも、会社潰したときも、この時も、
不思議と離婚しましょうとはならないんですけどね。
今、家事手伝って、命令には一切逆らわず、罪滅ぼししています。

それだけノンプログラミングに対する想いが強かったということ。
あんなにお客さんに喜ばれて。
業界をガラッと変えられるものなのに
毎週土日ひたすら組んでいるのに
派遣でやっている以上、
日の目を見る可能性は、かなり低い。

入ってみて
さあ、ノンプログラミングやるぞ

に、ならなかった。

公益法人向けの会計パッケージと
国公立大学向けの会計パッケージを持っていたんだけど

特に、国公立大学向けの会計パッケージがひどかった。
それでも、いくつか地方の大学に導入が決まっていて
打ち合わせで出張が続いた。
九州で4大学、広島1大学。
打ち合わせ、カスタマイズのプログラミング、元々の機能の直し。
ずっとそればかりで追われた。

そして、とうとう
ひたすら目の前の仕事をこなすことに終われ
時が過ぎていった。

一年は経っていないと思う。
とうとう、その時、が訪れた。

給料遅配。

給料日なのに給料が出ない。

ノンプログラミングなんて、結局何一つ出来なかった。

どうする
どうするもこうするも無いんだけど

仲の良い4人で集まった。
山ちゃんという営業さん。もうひとり営業さん。
システムの新人一人。

何と、ここからドラマが始まります。

何をしたのか
続きは次回ね。